今田耕司&霜降り明星・せいや “本当にヤバい人たち”『てれびのおばけ』を舞台で
現代と’80年代、2つの時代が交錯し、テレビのリアリティを描き出す。
――今田さんとせいやさんという組み合わせが意外でした。
今田:面白いですよね。おさむさんから「せいやとやるというのはどうですか?」と提案されて、最初は驚きましたけど、ええんちゃう? と。まあ、大阪で一緒に番組もやっているし、知らない仲ではないので。真面目なのもセリフの覚えがいいのも知ってますから、安心感はあります。ただ自分が下だと考えると、僕が(桂)文枝師匠と本気の舞台をやるようなもの。しかも、せいやはこれが(演劇では)初舞台なんやろ?
せいや:そうなんです! 最初、マネージャーさんから「舞台の依頼が来てるよ」と言われたときは興味が70%くらいだったんですけど、それが今田さんとご一緒で、脚本と演出は鈴木おさむさんと聞いて、もう「やらせてください!」とその場で即答しました。今田さんとはMCとひな壇という関係なので、今まで共演していたといっても、やっぱり距離感がありましたから。これでがっつりご一緒できるのは本当に勉強になりますし、うれしいです。
――今回の舞台は、テレビ業界を描く物語です。テレビを作ることに取り憑かれ、魂を売る……どんな物語になりそうでしょうか?
今田:今回、2つの時代を描きますけれど、’80年代というのはまさに僕がデビューした頃。あの頃は本当にヤバい人たちがむちゃくちゃいたんですよ。プロデューサーやディレクターだけでなく、現場の技術さんとかも、職人気質で厳しくてすごく怖かった。テレビという業界に取り憑かれたおばけは、確かにたくさんいたと思います。お笑いの演出も過酷でありえへんもの多かったですから。
せいや:そういう先輩たちの苦労のおかげで、今のちょうどええテレビバラエティがあるんやな、と思いますね。ありがたいです。
今田:先輩たちが臨床実験をめちゃくちゃしてるからな。
せいや:皮膚がただれない、ちょうどいい温度のアツアツおでんとか、体に悪くない程度のビリビリ電気とか(笑)。これくらいやったら死なへんやろ、ケガせんやろ、というのを、みなさんが実際に体験しながら実用化してくださってる。とはいっても、今でも“てれびのおばけ”はいると思います。たまにバキバキの目をして、“せいやギャグ”ってカンペを出されることありますから……。
――せいやさんの初舞台に今田さんからアドバイスはありますか?
今田:いや、僕自身が憂鬱ですから。やりたくないですもん。
せいや:(笑)。どうなってるんですか、やりたくないんですか!?
今田:それくらいプレッシャーがあるってことや。演劇はお笑いのステージとは別物。何回やっても慣れへんし、幕が開くまでセリフがちゃんと入っているか不安になる。最後まで気が抜けないです。
せいや:いや、今田さんがこんな緊張しているとわかって、僕もさらに緊張してきました。『テセウスの船』のときは、家で大声出して練習しすぎてご近所トラブルになったので、今回は喉を潰しても大変なので、慎重に取り組みたいと思います!
『てれびのおばけ』 現代と1980年代、2つの時代でテレビを作る人たち。テレビを作るために取り憑かれ、魂を売り、てれびのおばけになるしかなかった…。4月14日(水)~18日(日) 下北沢・本多劇場 脚本・演出/鈴木おさむ 出演/今田耕司、せいや(霜降り明星)、藤田玲、石井杏奈 全席指定7000円 配信チケット3500円 チケットよしもと問合せダイヤル TEL:0570・550・100(10:00~19:00)
いまだ・こうじ 1966年生まれ、大阪府出身。1986年に舞台デビュー。『人生が変わる1分間の深イイ話』(NTV系)、『炎の体育会TV』(TBS系)など、MCとして多数番組を抱える。YouTubeの「今ちゃんねる。」も話題。
せいや 1992年生まれ、大阪府出身。2013年にピン芸人として活躍していた粗品と霜降り明星を結成。2018年にM-1グランプリで優勝。ものまねや演技にも定評がある。冠番組に『霜降りバラエティ』(テレ朝系)など。
※『anan』2021年4月14日号より。写真・小笠原真紀 インタビュー、文・梅原加奈
(by anan編集部)