「真摯に取り組みたいと思っています。とくに仕事に対しては」
「そうだな…バランスのとれた人かなぁ。自分のやれることとやりたいこと、そしてできてることと要求されることとのバランスがうまくとれている人でしょうか。自分の中に“こう演じたい”というものがあったとしても、はたから見るとできていないと思うこともあれば、それが監督からの要求に合っていないこともあるし、やれたとして世間一般からそう評価されないこともあります。その全部がいいバランスで整っている人が羨ましいです。自分のことをすごく客観視できていて、そこに芝居をちゃんと当てはめていける人っていうのも素敵だなと思います」
硬軟ともに幅広い役を演じ分けるバイプレイヤーとして評価されながら、近年はドラマ『デザイナー 渋井直人の休日』のように主演も務め話題に。光石さん自身もまたバランスの整った俳優に見えるけれど…。
「自分はいまだにフワフワしたところにいる気がします。本当はこうやりたかったけれどダメだったとか、これは要求されなかったなって思うこともあるし」
この冷静さと誠実さ、そして仕事への探究心が40年以上に及ぶキャリアを支えているのだろう。
「すべてのことに真摯に取り組みたいと思っています。とくに仕事に対しては。でも人間、そうはいかないこともあって、時どき愚痴を言ったり弱音を吐いたりしちゃうんです。そんなことをしないでやれる人が“大人”と呼ばれる人なのかなと思っています。そもそも、こういうところが大人だとか思っている時点で、まだまだなんでしょうね。大人っぽく接しようとか、大人っぽい装いをしようとか思っているうちは全然なれていなくて、意識せずに大人な振る舞いができるようになった時が、本当の意味での大人の男になれた時なのかもしれません」
みついし・けん 1961年生まれ、福岡県出身。4月スタートのドラマ『桜の塔』(テレビ朝日系)に出演。Huluオリジナルドラマ『息をひそめて』4話に出演。配信は4月23日より開始。
ジャケット¥28,000 パンツ¥21,000(共にRANDT/NEPENTHES TEL:03・3400・7227) その他はスタイリスト私物
※『anan』2021年3月31日号より。写真・笠井爾示(KATT) スタイリスト・九(Yolken) ヘア&メイク・山田久美子 取材、文・望月リサ 撮影協力・AWABEES
(by anan編集部)