常にベストな判断が可能に!? 心理カウンセラー直伝“自己決定力UP”トレ

2021.2.18
人生は選択と決断の繰り返し。いついかなる時も自分で決めて、歩んでいければ、人生を切り拓くチャンスは広がるばかり! そこで、自分で判断する力「自己決定力」の育て方を伝授。

日々の些細な選択から、生き方を左右する大きな決断まで、人生における決心に迷いはつきもの。しかし自分の信念に基づいて物事を決めて、主体的に行動を起こせれば、自分に自信が持てるようになり、自己肯定感にも繋がると、心理カウンセラーの中島輝さん。

「心理学の研究で、自己決定力の高さと人生の幸福度は比例することが明らかになっています。人生をコントロールできている実感を得ると、周りに依存せず、自由に生きられるようになります」

しかし誤った決断を下してしまわないかと、決めあぐねることも。

「だからこそ意思決定を促す道筋を作る『直感』と『熟考』の精度を上げ、自己決定力の質を高めることが大事です。この2つの使い分けを上手くできるようになると、どんな時も迷わず、ベストな判断ができる自分でいられます」

そこで直感と熟考を磨くテクニックを紹介。日常的にトレーニングを積めば、目標達成の近道に!

自己決定力を構成する、2つの要素

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直感:過去の経験や学びが、ひらめきを生む。

「この人と気が合いそう」など、無意識に感じ取るものが直感。「脳科学の研究によれば、直感はその人が過去に学んできたこと、経験してきたことの膨大なデータベースから脳が導き出した答えだとする説があります」。直感が冴えれば、よりスピーディにジャッジができるように。

熟考:意識的に思考をじっくり整える。

時間をかけて考えることで、本質を見極められる。「メリットとデメリットなど、情報をかき集め、物事をさまざまな視点で捉えながら結論を論理的に導き出すことで、冷静な判断を下せます」。熟考力を鍛えれば、経験のないことに取り掛かる時も最善な方法を見つけやすくなる。

POINT

TPOに合わせて、「直感」と「熟考」の使い分けを。
使い分けのポイントは、主に3つ。「まず自己決定力は精神状態によって左右されるので、今の感情がポジティブ、ネガティブどちらに向いているかが判断基準になる。2つ目は目標達成に向けての期間の長さ。長期的ならまずは漠然とした願望を考え、短期的なら具体的な戦術が必要に。最後はタスク。膨大なほど、熟考力が肝に」。これらを日常的に意識すれば、直感と熟考の力をバランスよく使いこなせる!

精神状態
・ポジティブな状態…直感がおすすめ
・ネガティブな状態…熟考がおすすめ

期間
・長期的な決定…直感がおすすめ
・短期的な決定…熟考がおすすめ

タスクの多少
・タスクが少ない…直感がおすすめ
・タスクが多い…熟考がおすすめ

直感力を磨くトレーニング。

直感は、潜在意識から生まれるもの。だから過去のパターンを超越した思考・行動のプロセスを記録しておく3つの手法を駆使すれば、直感のアンテナが磨かれる!

1、リマインダーテクニック

目標は短期的・長期的どちらも有効だが、期限を決めることが重要。紙に書いて目に入る場所に貼っておくと、リストを見るだけで、ゴール達成のためのアクションを無意識にとれるようになる。

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目標を“見える化”すると、脳がゴールを実現するために動きだす。
「たとえばマンションの契約更新が近づいてくると、ただ歩いているだけなのにやたら不動産屋が目に付いたりしませんか? これは別々の状況や行動から共通項を見出して、直感的に正しい判断ができる無意識のパターン発見スキルが人間に備わっているから。これを利用して、目標ややるべきことを見える化し、脳に植え付けておくと、直感が働き、行動の量が増えていきます」。今まで避けていたことや躊躇していたことも、見える化することで脳の直感力が引き出され、関心が向くようになる。すると、目標に向かって迷わず進めるようになり、モチベーションも上がる!

2、スリーグッドシングス

一日の終わりやリラックスできる時間に、今日一日「よかったなぁ」と思えたことを3つ考える。手書きが最も効果的だが、スマホのメモ機能やSNSへの投稿でもOK。まずは3週間続けてみて。

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プラス思考で、運を味方にできると、鋭い直感力が開花する。
「直感と感情は密接に関係していて、ネガティブな感情は、防御反応が働き、直感力を鈍らせます。逆に、ポジティブな感情でいられれば、チャンスに気づく機会が増え、幸運を引き寄せやすくなります。だから日常的に、プラスに考える思考習慣を付けることが大切です。そのために毎日、『今日よかったこと』を3つ書き出してみてください」。プラス思考が生まれると、直感力が研ぎ澄まされ、自己実現も仕事の成功も加速度的にどんどん弾みがつく。また、一日一日への期待感が高まり、自分にはまだまだできることがあると、眠っていた可能性に気づくきっかけにも。

3、if‐thenプランニング

自分の中であらかじめ行動パターンを決めておけば、どんなこともやり切れる人間になれる! これを日常生活に上手に取り込めれば、さまざまな目標を達成しやすくなる。

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前もって決めておき、成功体験を積み上げて、行動力を呼び起こす。
直感に従って実行し、成果が得られなかった失敗経験があると、なかなか思うように次の行動ができなくなる。「人間は変化して得られそうなものよりも、変えることで失うものを重要視します。しかし脳には『Xと決めたら、Yをする』というしくみを実行しやすい特性があるため、前もって、『もしXが起きたら(if)、Yをする(then)』と決めておけば、継続的に行動できる自分に変わることができます」。目標に向かって、行動の流れをセットで決めておくと、挫折を回避しやすくなる。この小さな成功体験の積み重ねが自信に繋がり、新たな行動を起こしやすくなる。

熟考力を磨くトレーニング。

未来を見据え、自分の力で、切り拓いていくために欠かせないのが熟考力。そのためには脳内整理がカギ。トレーニングで熟考力を鍛え自分の軸を確立できれば、夢を叶えるチャンスが広がる。

1、フォーシーズンズメモ

ノートに縦線と横線を引いて4分割し、春夏秋冬で分ける。各季節に自己実現を象徴するような漢字1文字を大きく書き、さらにその漢字を選んだ理由を、肯定的な言葉で書き込めば完成。

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一年を4つの漢字で“予祝”するイメトレで、熟考スイッチON。
じっくりと思考を巡らすのが苦手だったり、思考力が下がっている時は、まず脳に考える楽しさをインプットすることが大事。「『フォーシーズンズメモ』は、これから一年の自分を想像し、あらかじめお祝いしてしまうテクニック。未来の自分をあれこれとイメージすることで、柔軟な思考力が育まれ、できて当然だと思うことで、何事もポジティブに取り組めるようになります」。年末に発表される「今年の漢字」の未来志向バージョン。なんの制限もなく、自由にワクワク生きている自分を想像しながら、目標や夢を文字にするだけで、ポジティブに考える癖が身に付く。

2、レファレンスパーソン

自分の生き方の指針になる人物をあらかじめイメージしておく。何人いてもOK。できれば身近な人より、歴史上の人物や、生存しているけれど後世何代までも偉業が語り継がれる偉人がベスト。

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偉人を通して、セルフイメージを高め、人生の決断に備える。
困難に陥ったり、大きな壁にぶつかると、マイナス思考が優先し、冷静に判断できないことがある。「実はこんな時は、認知が歪んでいる場合が多いので、視点を変えて物事を考えることが大事。『レファレンスパーソン』は、歴史上の偉人や、自分が尊敬する人物だったら、こんな時にどうするか、その人の在り方、生き方、価値観などを参考にすること。すると、自分が今向き合っている問題を客観的に考えられるようになり、どう行動すべきか明確になります」。日頃から偉人の力を借りて、このトレーニングを積んでおくと、どんな時もブレない自分でいられる。

3、タスクマネジメントテクニック

第三者との間に何かしらの問題が起きたら、紙やノートに、自分、共同、相手の項目を作り、それぞれの問題点を書き出す。問題点がクリアになると、解決への糸口が見つけやすくなる。

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責任の所在を明確にすると、意思決定がサクサク進む!
タスクがたくさんあって混乱する時は、課題の分離チェックを行い、マネジメントから始めること。「周りに流され、自分ひとりに大きな負担がかかると、脳にも悪い影響を及ぼし、熟考力が鈍ります。だからまずは混同しがちな責任の所在をはっきりさせるのが成功への第一手。今直面している課題を掘り下げ、それぞれの責任は誰にあるのか仕分けしながら書き出しましょう」。見える化することで、全体を見られるようになるだけでなく、自分がすべきことに集中して取り組めるようになる。全てをシンプルにすることで、決断しやすくなり、スピーディな意思決定が可能に。

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中島 輝さん 心理カウンセラー、メンタルコーチ。自己肯定感を全ての人に伝え、自立した生き方を推奨する「肯定心理学協会」を設立。自己肯定感の第一人者。『1分自己肯定感 一瞬でメンタルが強くなる33のメソッド』(小社刊)など、著書多数。

※『anan』2021年2月24日号より。イラスト・小迎裕美子 取材、文・鈴木恵美

(by anan編集部)