30歳過ぎても実家に…アリ? ナシ? ジェーン・スー&堀井美香が回答

2021.1.10
現代人にお悩みは付きもの。考えても考えても五里霧中で、考え込んでしまう人も多いのではないでしょうか。今回はそんな時だからこそ肩肘張らずに楽に考えてみる、脱力のご提案。作詞家、コラムニスト、ラジオ・パーソナリティのジェーン・スーさんとTBSアナウンサー・堀井美香さんによる対談で、お悩み相談会を開催します。
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お悩みはゆるやかに乗り越えて。脱力相談会、始まるわよ。

ささいなことから、深みにはまるものまで、日々の悩み事は多種多様。そんな悩みが絶えない毎日だからこそ、ふっと心と体の力を抜いてあげることを大切にしたい。思考をゆるめることで、乗り越えられる悩みもあるかもしれません。

そんな前を向いた脱力法のヒントをくれるのは、人気上昇中の脱力系ポッドキャスト番組『OVER THE SUN』のパーソナリティ、ジェーン・スーさんと堀井美香さん。番組では、事前打ち合わせはナシ。スタジオに入り、ふたりが喋っているうちにいつの間にか番組が始まるという通り、ざっくばらんなトークが心地よく展開していきます。普段から互いの悩みを話し、感情を共にしている友人同士という息ぴったりのコミュニケーションで、世間話からリスナーの私的な悩みまで、愛情たっぷり、痛快に解きほぐしていくのです。

そんなスーさんと堀井さんコンビの力を借りて、悩める思考の余分な力を抜いてもらおうと企画した、“脱力”力強化のananお悩み相談会。今回は、「的外れなこと言わせたら世界一」(スー談)という堀井さんを〈脱力の女神〉、「中年界の麒麟児」(堀井談)というスーさんを〈お悩みのおば〉としてお迎えし、ユーモアとキレのある脱力思考でみなさんの悩みに答えていただきます!

ジェーン・スー(以下ス):堀井さん、『anan』ですよ。まさか『OVER THE SUN』の私たちに声をかけてもらえるなんて。

堀井美香(以下堀):本当に! ありがとうございます~。

ス:さあ、相談に参りましょうか。

堀:よろしくお願いしまーす。

お悩み:サブスクまみれからの脱出方法

おうち時間が増えてから、どんどんサブスクの登録媒体数が増加し、サービス自体に沼落ち状態。気がつけばたくさんの作品を追いすぎて1日が48時間でも足りない…。睡眠時間など、ありとあらゆるものを削ろうとしています。見ている時は楽しいのですが、コンテンツをただ消費しているだけで、生産性のない自分にハッと我に返る時も。欲望との折り合いのつけ方、教えてください。(25歳・ハウスメーカー)

ス:はい、朝から晩まで阿佐ヶ谷姉妹の配信映像を見ている堀井さんどうぞ。

堀:はい(笑)。そうですね、人生の中で自分が好きなものを好きなだけ見ていられる時ってそうないと思うんです。私は、出産後はテレビを見ている時間も読書をしている時間も罪悪感があって。

ス:そっかあ。

堀:うん、いまだに読書していてもすごく悪いことをしているような…落ち着いてゆっくり何かをすることに対して「私何してるの!?」って自分を責める癖が抜けないの。だから、こうして自分の時間がある時は、どっぷり浸かってもいいと思います。

ス:うん。あと、そのうち3時間も続けて見たら目の焦点が合わなくなってくるから。“ビンジウォッチングも40まで!”。だから今やりきったほうがいいよ。

堀:目がチッカチカしてきちゃってね。

ス:どうしても生産性がないと思うなら、SNSでもブログでもいいから、見た作品の感想を一行でも書けば、そこから何かが変わるかもしれないよ。でも、損したくないからという考えで動く人生が楽しいのかっていうと、それはまた別だよねという思いもございます。

お悩み:実家にこのまま住み続けたい!

30歳を過ぎたのに、実は実家を出たことがありません。でも金銭的に助かっているし、親も自分がいることで嬉しそうだし、出る理由が見当たらず…(汗)。ただこのままだと結婚もせず、ずっと実家に居座って、テレビで報じられているような老老介護みたいな未来しかないのかな、と不安も。実家っていつどのタイミングで出るべきものなのでしょうか。(32歳・メーカー企画)

ス:「実家に住み続けたい!」とは、素直でいいねえ。でもね、タイミングは「今だよ(微笑)」

堀:微笑ね(笑)。

ス:自分一人を食べさせていくのに、どういう作業が必要か、お金がいくら必要なのかをちゃんと把握しないと親には真の意味で感謝できません。あと、ちょっと浮世離れしたトンチキな大人になってしまう可能性があるので、それを避けたかったら、今だよ(微笑)。実家にいることで金銭的に助かったり、親も嬉しく思ってくれるだろうけど、親が亡くなったあと自分が使い物にならなくなると思うので、そろそろ自立しましょうってことです。

堀:私はね、いていいよって思っちゃう。

ス:いてほしいんでしょ! 息子に(笑)。

堀:娘にもね(笑)。だってなんのストレスもないんだったら別に無理して出ることもないかな。家でごはん作ってくれればいいし、掃除してくれればいいし…。

ス:すると思う!?

堀:う~ん…。

ス:やらないでしょ! あんたがしちゃうでしょ! 知ってるわよ。

堀:私、離れて暮らしていても家事をしに行くから。帰ってきた娘から電話が来て「なんかめっちゃローズの香りがするんだけど」って怒られて、「すみません、アロマをたいて帰ってきました」って。

ス:(笑)。自分が学生の時、親が家に来て勝手に掃除したら嫌だったでしょ?

堀:うーん、そうでもなかったかな。私の母親は、いつもコロッケをたくさん作ってくれて、「おいしいなあ」って食べていました。一人暮らしするとお金もかかっちゃうしさ。家にいてよくない?

ス:脱力だね~!

堀:あなたはだめ?

ス:私は、実家を出たほうがいい派です。32歳という年齢もそろそろだし、とにかく親と一緒に暮らしている限り自立はできないというのが私の考えですけど…。

堀:出なくていいよ、いていいよ。

ス:と言う人もいます(笑)。

ジェーン・スーさん 1973年、東京都生まれ。作詞家、コラムニスト、ラジオ・パーソナリティ。著書に、『これでもいいのだ』(中央公論新社)、『女のお悩み動物園』(小学館)など多数。

堀井美香さん 1972年、秋田県生まれ。TBSアナウンサー。多くのラジオやテレビ番組のナレーターを務める。TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』などに出演中。

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『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』 TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』から生まれた人気コンビ“スーミカ”がパーソナリティを務める、ポッドキャスト番組。リスナーとともに語らいながら、“太陽の向こう側”を目指す、OVER THE SUN。同世代のふたりが繰り広げるディープでリアルな雑談が人気上昇中。毎週金曜17時~配信中。

※『anan』2021年1月13日号より。イラスト・中村桃子 取材、文・菅原良美(akaoni) 写真提供・TBSラジオ

(by anan編集部)