――10年間を振り返って、ターニングポイントになったことから教えてください。
SU‐METAL(以下S):個人的には2014年のイギリスのフェス、ソニスフィアです。5万人の前でのライブだったんですけど、自分たちの音楽が国境を超えた瞬間を体感して。「音楽に言葉はいらないんだ」って感動しました。
MOAMETAL(以下M):私はありすぎて絞りきれない。だからBABYMETALになったことかな。グループの存在が、私を一番変えてくれたから。
――節目に特別な会話はありましたか?
M:お互い気付いたら10周年で。特に何も言葉はなかったから、ずっとそばにいてくれてありがとうって伝えたいです。ふふ。
S:こういうこと、インタビューを通して言ってくるんですよ(笑)。
M:もう家族みたいな存在で。だから改めて感謝とかを伝えるのは恥ずかしくて…。
S:ふふふ。
――では、お互いの成長したところは?
S:ダンスのレベルですね。特にこの2~3年、いろんなダンサーの方にサポートしていただいているんですけど、普通は誰かに合わせるってしたくないと思うんです。でも、彼女は素直に受け入れてレベルアップしている。元々素直だし、社交性と表現力がある。この部分がずっと変わらないからこそ、成長がみられたのかなって。
M:SU‐METALも変わらないよね。礼儀正しいところ、何に対しても一生懸命で好きなものを追求するところとか。でも、曲を聴き直すと進化している。最初からうまいんだけど、声質も、表現の幅も広がって、この10年どれだけ努力してきたのかと考えると、家族として涙ぐましい(笑)。
S:あははは。
M:成長した部分はあるけど、尊敬できる部分が変わらないからこそ、私もずっとSU‐METALのことを信じていられるし、好きでいられるのかも。今、すごく恥ずかしくて彼女の目は見られないですけど。
――BABYMETALの活動を通して、奇跡を感じたことはありますか?
S:BABYMETALでいると、次々と奇跡が起こって。で、今に至るんです。
M:うん。もう、BABYMETALっていう存在自体が奇跡なのかもしれない。
S:これが夢だって言われたら、ある意味納得しちゃうくらい。ライブ中も、自分なのに自分じゃない感じがあって。どこか他人事のように、SU‐METALはカッコよくいてほしいと思っていたりするし。
M:私、ライブ中は無意識の中にいるかな。でも、リアルとファンタジーの二面を持っているという部分はすごくわかる。BABYMETALの中にいると、自然とMOAMETALとして生きられるから。普段の自分とは全くの別物なのにね。
――二人でいるときはどちらの自分?
M:ライブのときとは違うMOAMETAL。50%のMOAMETALです(笑)。
S:確かに普段の自分とも違うし、ライブほど全力でもない。私も50%くらいかも!
M:二人でちょうどひとつの感覚だよね。
――改めて、BABYMETALとは?
S:チャレンジ精神かな。最初は批判的な意見から始まったのに、不思議と自分たちの音楽をずっと信じてこられた。私たちの曲はひとつとして同じものはないと思うんですけど、それだけ10年間挑戦し続けているんです。それが成功か失敗か、今はわからない。でも、何にも囚われずに“BABYMETAL道”を進むだけ、というか。
M:私たち自身がしっかり愛を持っているグループだから、それが“らしさ”になるのかもね。メタルに対するリスペクトも、出会ってくれた全ての人への感謝も常に持っているから。愛に溢れているからこそ、自分の音楽に自信が持てているし、最善を尽くせるんだと思っています。
S:だからずっと挑戦し続けたい。メタルって、心に直接響く強いメッセージがあって。存在は知らないけど、実は必要としている人はたくさんいると思う。そんな人にメタルという音楽を届けたいし、ひとりでも誰かの心を音楽で救えられたらなって。
M:うん。待っていてくださる方がいてくれるってことは、私たちが届けなきゃいけない音楽があって、それを託されているんだとも思うんです。紅白も、来年の武道館での10公演も、できること自体が奇跡。
S:自分たちがライブを経て学んできたからこそ、ライブはすごく大切な存在で。この環境で10年育ってきちゃったからね。
M:うん。だからこそ、信じてきた音楽を少しでもみなさんに直接届けたいですね。
ベビーメタル 2010年結成。12月23日にベストアルバム『10 BABYMETAL YEARS』を10形態でリリース。来年、全10公演の日本武道館ライブも控える。
※『anan』2020年12月23日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・Shohei Kashima(W) ヘア&メイク・aya watanabe 取材、文・野村紀沙枝
(by anan編集部)