日本美術史上もっとも豪華絢爛な時代! 桃山文化がテーマの展覧会

2020.10.2
歴女はもちろん、戦国通も茶道ファンも! 華麗な桃山文化の美術品に注目した、特別展『桃山─天下人の100年』。

政治史における安土桃山時代とは室町幕府滅亡から江戸幕府開府までの、わずか30年間。織田信長と豊臣秀吉が政権を握っていたこの時代には南蛮文化が伝わり、ヨーロッパの美術品が本格的に日本に流入。日本美術史上もっとも豪華絢爛な時代として知られている。

そんな激動の時代に花開いた桃山美術に注目した本展。室町末から江戸初期に至る100年間の美術作品約230件を展示。美術品から日本美術の流れを知るのが狙いだ。

まず注目したいのが絵画。狩野永徳や長谷川等伯らによる障屏画を大々的に紹介。さらに桃山時代前後の作品も加える本展ならではの趣向も。例えば室町後期の禅宗寺院の大画面障壁画や洛中図は格式高く、安土桃山時代後の近衞信尹(のぶただ)や俵屋宗達らの作品は優美で自然な調和を重んじている。100年間という時の流れの中、時代を映した日本画の画風の変化を比較できる試みだ。

また桃山文化と聞いて外せないのが茶の湯の発展。こちらも千利休から古田織部に至るまで、時の人とともに育まれていった精神性や造形美を選りすぐりの名品から導き出す。

最終章では、豊臣家滅亡後の江戸の武家美術も紹介。徳川の時代になって、桃山美術がいかに受け継がれ、どのようにリニューアルしていったのか、その進化から未来を展望する。

戦国武将の肖像画から、茶道具、甲冑や刀剣といった武具まで名品が集結する圧巻の内容。美術史のバイブルとして楽しめるのはもちろん、戦国ファンにも、茶道通などカルチャー女子にも満喫できるはずだ。

唐獅子図屏風 狩野永徳筆 安土桃山時代・16世紀 東京・宮内庁三の丸尚蔵館蔵 後期展示

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2頭の威圧的な唐獅子は時代の空気を体現。狩野永徳の《唐獅子図屏風》。

重要文化財 松鷹図襖・壁貼付 狩野山楽筆 江戸時代・寛永3年(1626) 京都市(元離宮二条城事務所)蔵 通期展示 (部分)

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狩野山楽の《松鷹図襖・壁貼付》は京都・二条城の大広間の障壁画。

重要文化財 花鳥蒔絵螺鈿聖龕 安土桃山時代・16世紀 九州国立博物館蔵 前期展示

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《花鳥蒔絵螺鈿聖龕》は日本から欧州に輸出されたキリスト教の祭儀具。

『桃山─天下人の100年』 東京国立博物館 平成館 東京都台東区上野公園13‐9 10月6日(火)~11月29日(日) (前期:10/6~11/1 後期:11/3~11/29) 9時半~18時(金・土曜~21時) 月曜(11/23は開館)、11/24休 一般2400円ほか※事前予約制。詳細はhttps://tsumugu.yomiuri.co.jp/momoyama2020/ TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)

※『anan』2020年10月7日号より。文・山田貴美子

(by anan編集部)