まるで映画のように全4曲で“堕ちていく”。
「『Angel』のMVでは男性とふたりで踊るパートと、ひとりで歌う(踊る)パートがあって、どっちも私は同じ表情をしています。あなたがいても寂しいし、あなたがいなくても寂しい、というのを伝えたかった。恋愛ってすごくパワフルな感情にさせてくれるけど、幸か不幸か私自身を変えることはない。この寂しさが埋まることはないんだなと気付きました」
ある事件が起こるのは2曲目の「Very Nice To Meet You」。少しの綻びがどんどん自分の心と相手との関係性を狂わせていくような展開にゾクゾクする。
「最初に『Angel』が一体何があったのかを説明する今作のダイジェストみたいな感じで始まって、2曲目で少し嫉妬のような感情を見せた主人公は、3曲目の『Rainy Friday』で一気に感情のトーンを下げる。4曲目の『As Hell』では相手との立場が完全に逆転し、救いようがない状態に。人間の欲望がどんどん剥き出しになっていくような展開です」
修羅場的なシーンになるほど、甘くアンニュイでセクシーなサウンドと声で魅了するのが聴きどころ。
「例えば映画でサイコパスが人を殺すシーンって、柔らかくて心地よい音楽やクラシックが流れるイメージがあって。救いようがない時って本人の頭の中には心地よい音楽が流れてるんだろうなって思うんです。堕ちちゃってるんだけど、それに心地よさすら感じているというか」
まるで一本の映画を観ているような、今回のシングルを「それぞれの解釈で聴いてくれたら嬉しい」と語る彼女のクリエイティビティは21歳の今、どんどん進化を遂げている。コロナ禍でライブができない状況の中でも、ポジティブに突き進む。
「他の人がやってないような、オンラインライブでしかできない面白いショーをやりたくて。これも人生のうちで何回かしかない機会だと思って楽しんでいると、アイデアもどんどん湧いてきます」
ビジュアルも大人っぽくなって更に磨きがかかる。制作以外のプライベートでもストイックな毎日を送っているようだ。
「最近は走って体作りをしています。グラマラスな体型でいるためにお尻のトレーニングをしたり。スラッとしたモデル体型にも憧れるけど、自分の個性を活かしながら努力していきたいですね」
メランコリックなギターリフが気だるい夏の恋愛を描き出す表題曲から始まる、全4曲のコンセプト・シングル。9月9日発売。【初回限定盤(CD+DVD)】¥2,300 【通常盤(CD)】¥1,300(ワーナーミュージック)
日本語・英語・韓国語を操るラッパー/シンガー。2017年、高校在学中に「FXXKER」でメジャーデビュー。リアルな心情を綴るリリックで絶大な支持を受け、YouTubeの総再生回数は1億回を超える。ドレス¥69,000(セルフポートレート/イザ TEL:0120・135・015) ピアス¥15,000(ビジュー アール・アイTEL:03・3770・6809) その他はスタイリスト私物
※『anan』2020年9月9日号より。写真・岡本 俊(まきうらオフィス) スタイリスト・カトウリサ ヘア&メイク・野崎裕子 取材、文・上野三樹
(by anan編集部)