結婚生活の“不意キュン”がたまらない! 『婚姻届に判を捺しただけですが』

2019.8.8
結婚する理由は人それぞれ。結婚願望ゼロで、恋より仕事に燃えていた27歳の大加戸明葉(おおかどあきは)が、出会ったばかりの文芸編集者・百瀬柊(ももせしゅう)の電撃プロポーズを受けたのは、やんごとなき事情があってのことだった。そんなマンガ『婚姻届に判を捺しただけですが』の作者・有生青春(ゆきあおはる)さんにお話を聞きました。

それぞれが片想い中……。偽装夫婦の恋のゆくえは?

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「最初はどちらも報われない恋をしていて協力的な関係のイメージでしたが、結局、反発し合う関係に。だからこそ偽装までして結婚するのに納得のいく理由を見つけるのが、思いのほか苦労しました(笑)」

百瀬はイケメンだけれど、コミュ障気味の変わり者。明葉と結婚したのは「世間の目を欺くため」で、兄嫁に抱いている恋心を本人や周囲に気づかれないようにするのが目的だった。1~2巻では結婚に至る顛末や、ぎこちない新婚生活が描かれるのだが、明葉の心情にも変化が。片想いに苦しむ百瀬への同情が、より複雑な気持ちへと変わっていくのだ。

「明葉の場合は、恋心よりも愛情。ある意味、覚悟を持った片想いですよね。好きな人がいるという相手の気持ちを尊重したうえで、自分の気持ちも我慢しすぎないのが明葉らしいのかなと思っています」

一方の兄夫婦は、絵に描いたようなおしどり夫婦……だったはずが、こちらも雲行きが怪しくなる。

「兄夫婦のことは、明葉たちと比較できるような“まっとうな夫婦”として描いています。ただ、偽物か本物かは関係なく、どの夫婦にも善し悪しがあること、そしてその問題を極端に否定も肯定もしないで表現しています。結婚や夫婦の正解はひとつではないというのが、作品のテーマのひとつであったりもするので」

利害が合致して夫婦になった明葉と百瀬は、意外な一面を発見したり、悩みを打ち明けたり打ち明けられたりしているうちに互いにかけがえのない存在になっていく。普通に考えたらあり得ない設定かもしれないが、「こんな夫婦も楽しいかも」と夢を見させてもらえるところがいい。

「そう感じてもらえるのは、明葉たちが物語のなかでネガティブなだけの不平不満を口にしないからかもしれません。もちろん愚痴ったり、ストレスを溜めたりもしますが、最終的には今いる場所が居心地よくなる方法を探っているので、生活を楽しんでいるのが伝わるのかも?」

居心地のよさも大事だけど、やっぱり気になるのは片想いのゆくえ!

「百瀬の心変わりを楽しみにしてくださっている読者さんもいると思うので、ラブコメのラブな部分もより盛り込んでいきたいと思います!」

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ゆき・あおはる マンガ家。著書に『小悪魔くんの甘い囁き』(電子コミック全16巻)、『その罪を甘く溶かして』(同、全6巻)など。『フィール・ヤング』での連載は本作が初。

『婚姻届に判を捺しただけですが』3 愛情ゼロ&他人同然の偽装夫婦なはずなのに、妻が夫にまんまと恋をして……。意外と馴染んでしまってる結婚生活に押し寄せる“不意キュン”がたまりません! 祥伝社 920円 ©有生青春/祥伝社フィールコミックス

※『anan』2019年8月14日-21日合併号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子

(by anan編集部)

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