【睡眠よもやま相談室】日ごろ脳を使いすぎている人へ。機能脳神経外科医・東島威史先生が答えます

脳と睡眠の間には、深~い関係が。スマホやパソコンを手放せないデジタル社会で、普段、脳を酷使している私たちが抱えがちな眠りにまつわるお悩みを聞きました。

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    教えていただいた方

    Profile

    東島威史 先生

    機能脳神経外科医。横浜市立大学附属市民総合医療センター 脳神経外科助教。専門分野にパーキンソン病、てんかん等のほか、麻雀と脳機能活性化の臨床研究も行う。近著に『不夜脳 脳がほしがる本当の休息』(サンマーク出版)。

    Q. 寝ている間、スマホを頭の近くに置いておくと脳に悪影響があるという噂は本当ですか?

    A. 覚醒を促す音に注意! 目覚まし時計を使おう

    世間でよくいわれているブルーライトなどの影響はそこまで強くはありません。ただ、気をつけたいのが通知音をはじめとする音です。想像以上に脳への刺激となっていて、覚醒を促すこともしばしば。枕元に置くのは避けたほうが、快眠には繋がります。スマホのアラームを使っている人も多いと思いますが、質のいい睡眠をとりたい、熟睡したいと思うのであれば、目覚まし時計を導入して、スマホはベッドから離れた場所に置くか、通知音などは完全にオフにすることをおすすめします。

    Q. 「辛いことがあった時は寝て忘れよう!」は効果的ですか?

    A. 寝ると心の安定に作用するホルモンが増えます

    寝て忘れるというより、寝ることで脳の活力を引き出すホルモンであるドーパミンや、心の安定に作用するセロトニンが増えた結果、辛い気持ちを和らげている作用が大きいのだと思います。睡眠には記憶を整理する作用があり、不要な記憶を忘れさせ、必要な記憶を定着させます。忘れさせるほうはレム睡眠と呼ばれる浅い睡眠で起こり、ここが不十分だと記憶の消去がうまくいかず、トラウマとして辛い記憶が残ったりします。最近はショックな出来事があった際に、眠る前にテトリスなどのゲームをして脳を一度別の出来事に集中させてから眠るとトラウマになりにくい、という研究もあります。

    Q. 日中にスマホを見すぎるのは睡眠に影響しますか?

    A. コンテンツの内容次第! 刺激的なものは避けよう

    一概にすべてが悪い影響があるとは言えません。大事なのはコンテンツの中身で、メンタルが興奮するほど刺激の強いもの、落ち込んでしまうようなものであれば、当然、影響を受けて眠りにくくなります。特に寝る前は、カット割りが多い映像は脳への負担も大きいので、避けたほうがいいでしょう。

    Q. 日ごろから気圧のアップダウンが苦しいです。頭痛に睡眠は効きますか?

    A. 眠りが自律神経に作用して症状がラクになります

    すごく効きます。特に、片頭痛は自律神経と密接な関係があり、自律神経が活発に働くと改善することが多く、睡眠はそこに大きく作用します。眠ることができれば割と簡単にラクになることも多いので、状況が許すのであれば、ひとまず横になってみてください。

    Q. 日常に起こったことや願望が夢に現れるのはなぜですか?

    A. 夢で見た絵を脳が自分好みに繋いだ結果!?

    完全に解明されているわけではありませんが、夢は記憶と密接な関係があることはわかっています。多くの研究で、夢を見ている時は脳の視覚野が活性化しており、実際にフラッシュ映像のような画像を見ていることもわかっています。また一説にはその映像にはストーリーはなく、目覚めた瞬間、脳がそれを物語として繋いでいるといわれています。結果、強く気にしている事柄や、強く記憶に残った場面を繋いだ願望などが現れるのかもしれませんね。

    Q. 体は起きても頭がなかなか冴えない感覚があります。対策はありますか?

    A. 眠りと体調を記録して原因を探るのがベター

    睡眠の量と質が十分かということを、一度検証してみるといいと思います。女性の場合は生理周期が影響していたりもするので、まずは眠りの状態と体調を記録して、頭が冴えない日の原因を探ってみてください。体は起きているなら、睡眠は足りている可能性もあります。脳は脱水に非常に脆く、数時間水分を摂らないだけで注意力・集中力は大きく低下します。寝起きの体は軽度の脱水状態であることも多く、しっかりと水分補給をしてみてください。オレンジジュースは脳血流を増やし、注意力・集中力をUPさせるという研究もあるので、おすすめです。

    COLUMN

    脳の働きと、意外と知らない睡眠との関係性

    人間の体に睡眠が必要であることは、研究の結果からも解明されている周知の事実。

    「脳は、体のサインを読み取り、人間を寝かせるという役割を果たしています。また、睡眠中に脳で起こっていることもある程度わかってきている一方で、脳自身に睡眠が必要かどうかということは、いまだ解明されていません。脳を持つ生き物も、脳を持たない生き物も必ず眠ります。ただ、寝ないと死ぬというのは、脳が壊れるからではなく、腸管の機能が破綻して活性酸素が溜まることが原因といわれています。実際、ハエに対して行った実験では、腸管の活性酸素を除去すると、不眠でも死なないことが示されました。ショートスリーパーの家系の遺伝子を調べると、活性酸素が溜まりにくい遺伝子を持っていることもわかっています。この遺伝子を持っていると、睡眠時間が短くても老化しにくく、長生きすることが示唆されています」

    また、最近、耳にする機会が増えたドーパミンは、眠りに欠かせない物質なのだそう。

    「記憶と学習に不可欠なホルモンで、日中に起こった印象的な出来事を、睡眠中に脳に記憶させる、SNSのブックマーク機能のような役割を果たしています。人間の眠りは、脳から分泌されるさまざまなホルモンや体のシステムがバランスよく機能してこそ、得られるものだといえます」

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    イラスト・とみながしんぺい 取材、文・重信 綾

    anan 2508号(2026年8月19日発売)より
    Check!

    No.2508掲載

    睡眠の技術。

    2026年08月19日発売

    健やかで気持ちの良い眠りを手に入れるためのテクニックを、生活習慣、寝室環境、食事、姿勢などあらゆる角度から紹介します。灼熱の暑さの中、寝苦しい夜を過ごす方々が必読の内容です。

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