駒木根葵汰「いつでも自分の気持ちがワクワクする方向に進んでいきたい」

抜群のプロポーションや洗練された所作が織りなすオーラで、視聴者を魅了していく俳優・駒木根葵汰さん。ありのままに進んでいく、その愛される姿を読み解きます。


インスタグラムをきっかけイにスカウトされ、芸能界入り。以降、『機界戦隊ゼンカイジャー』や『25時、赤坂で』をはじめ、主演ドラマの続編が次々に決まるなど、俳優として躍進中の駒木根葵汰さん。そんなシリーズ作品のなかでも、自身が「とても大切な作品」と語るのが、ドラマ『天狗の台所』だ。駒木根さんが演じている飯綱基(いづな・もとい)を中心に、天狗の末裔たちが織り成す丁寧な暮らしを描いた本作は、30分枠のドラマでありながら、五感を刺激する四季折々の料理や圧倒的な映像美で視聴者を魅了。その反響の大きさから異例のスピードでシリーズ化が進み、ついにSeason3がスタート。

── 駒木根さん自身、はじめからこの作品がここまでたくさんの人に愛される未来は想像できていたのでしょうか?

いえ、正直これほどまでとは思ってなかったです(笑)。自分はすごく大好きな作風ですけど、今の時代の最先端かと言われると、その逆を行っているようなイメージの作品なので、この時代のスピード感に追いつけないな、ちょっと疲れちゃったなって思う人の心の拠りどころになればいいなと思っていました。それが、これほどたくさんの人に愛されて、続編を求めていただけるというのは、すごくありがたいです。僕もSeason3が決まった時は“また戻れるんだ”と嬉しくなりました。この作品が、どこまでも続いていったらいいなと思いますけど、“もう一回”は、決して当たり前のことじゃないので、今回も自分ができるすべてを出し切らないとと思いました。

── 駒木根さんにとって、『天狗の台所』はどんな作品でしょうか。

僕は茨城出身で、農業高校に通っている時にスカウトされたんです。いざ上京すると、やっぱり東京ってすごく楽しいし、明るくて賑やか。でも正直、自分には合わないのかなと、少し疲れてきてしまって…。そんな時に出合ったのが、この作品だったんです。『天狗の台所』を通して、こんな生活スタイルもあるのかと、大きな気づきにもなりましたし、それから基を追う…ではないですけど、撮影をしていく中で気づいたこと、感じたことを自分の私生活にも取り入れるようになりました。何より、それからはあまり無理をしないようになって。それは自分にとってものすごく大きなことでしたし、出合ったタイミングも含めて、この作品は僕にとってなくてはならない存在になりました。

── 基のような丁寧な暮らしが、性に合っていたんですね。

スローライフへの願望はずっとありましたし、撮影中は“自分がしたかったことはこれだ”と思う瞬間もたくさんありました。それまでは、夜ごはんも時間がなくてささっと作ることが多かったんですけど、『天狗の台所』に出合ってからは、野菜を丁寧に切ってみようとか、普段やらない一手間を加えるようになりました。そうすると、食がもっと輝いて見えるんですよね。

── ちなみに、劇中で目を引かれる所作の美しさは演技ですか?

演技です、演技です(笑)。もともと僕、すごく姿勢が悪いんです。でも、たしかにあの空間にいると、自然と背筋が伸びる感覚があるんですよね。

── では、Season3の見どころを教えてください。

Season1、2は夏の話だったんですけど、今回は春の話ということもあって、桜をはじめとする春の美しい景色、春の食材、春の音というのも楽しんでいただけると思います。オン(越山敬達)の成長ぶりや基の心の変化がわかるような、いいセリフもたくさんちりばめられているので、何かを感じてもらえたら嬉しいです。

この世界に入ったのは単純に面白そうだったから

── そもそも、昔から表に出る仕事に興味があったのでしょうか?

いえ、まったく(笑)。

── インスタも、そのつもりでやっていたわけではなく?

ないです、ないです。学校の友達がみんなやっていたので、僕もやらないとと思ってやっていただけで。作業服を着てスイカを収穫してるところだったり、体育祭の写真だったり、何気ない日常をのせていたら、なぜかフォローしてくださる方が増えていって…。

── スカウトされて、やってみようと思った理由は何ですか?

単純に面白そうだったからです。その直前まで、留学するつもりでいたんですけど、それもただ単に面白そうだからという理由でした。

── そこからモデルなどさまざまな活動をされていたと思いますが、俳優業をやろうと思ったきっかけは何だったんでしょうか?

この世界に入って、初めてオーディションに受かった映画が『LAPSE』の「失敗人間ヒトシジュニア」という作品だったんですけど、もう全然演技ができなくて…。めちゃくちゃ悔しかったですし、初めての映画なのに、ファンの方に「ぜひ観てください」って言うことさえも苦しくて。だったら、胸を張って「観てください」って言えるように、ちゃんとお芝居を勉強していこうと思ったんです。それが、この世界に入って初めて味わった挫折でした。でも、いま思えば、その時ちゃんと悔しいと思える自分でよかったなって。

── 以来、出演作にも恵まれ、順調にキャリアを築いていらっしゃる印象を受けます。

自分でも恵まれすぎているなと思います。でも、それが悩みでもあって…。苦労を知っている人間のほうが、ここから先、踏ん張れるんじゃないかなって。だから順調だとは思うけれど、不安がないわけではないし、現状に満足しているわけでもありません。

── ターニングポイントになった作品は何ですか?

『機界戦隊ゼンカイジャー』ですね。あの現場で過ごした1年間は、1億円払ってもできるものじゃないと思っているんです。苦しくて、でも楽しくて。正直、今、あの経験を「もう一回できる?」と言われたら、絶対やりたくはない(笑)。何も知らないあのタイミングだったからこそできたことだと思います。スケジュールも超ハードでしたし、そもそも新人俳優なので、何もできないからしごかれる。でも、毎日が色濃くて、何もかもが輝いて見えました。毎日仕事があること自体も嬉しくて、「うわ、全然寝る時間なかった〜!」みたいな日々が続くこともなんだか誇らしかったです(笑)。

── 時代劇をはじめ、出演している作品も幅広いですよね。

時代劇、すごく好きなんですよ。これを言ったら斬られるかもしれない…という命のせめぎ合いをセリフの一言一言に感じるので、ちゃんと自分の意志で言わないとって考えすぎるあまり、セリフを言う度に涙が出てきそうになるんです。たぶん僕が、そこまで強くないからだと思うんですけど。でも、それをぐっとこらえて言えた瞬間は、すっごく達成感があって気持ちいいんです。『新・暴れん坊将軍』では、全然できなくて20テイクくらい重ねたシーンがあったんですけど、本当に生きるか死ぬかという気持ちでやったら、最後に三池祟史監督から「よかったよ」って言っていただくことができて。辛かったけど乗り越えられた時は本当にこの仕事をやっててよかったなって思いますし、ますますやめられなくなっちゃいます。

── 休日は、どんな過ごし方を?

ひとりで過ごす時間が好きです。散歩したり、映画を観たり、本を読んだり。人に会うと結構エネルギーを使うじゃないですか。それよりはインプットの時間を大事にしたいですし、「ここは東京じゃない」と自分に思い込ませるためにも落ち着いた過ごし方を目指しています(笑)。

── 同業のお友達と遊んだりすることはないですか?

よしミチのよしあきは一緒に旅行もしますし、「今から家行っていい?」って言って遊びに行けるような間柄。もう友達というよりは家族に近い感覚ですね。THE RAMPAGEの浦川翔平くんともよく会って話します。自分にないものを持っていて、違う世界で一生懸命頑張っている人がすごく好きなんです。僕自身、ちゃんと自分のことを大切にしてくれる人との時間を大事にしたいと思っているんですけど、いま名前が出た二人は、まさにそんな存在です。

── 今後、俳優として目指すもの、出てみたい作品はありますか?

いつか、脚本を含め、純度100%の自分の作品を作ってみたいです。そこに誰かの手や意見が加わると、あの人がああ言ったからだとか、逃げ道ができちゃうじゃないですか。そうじゃなくて、全部自分で全責任を背負って、これ以上求められても、もう何もできない! って思えるくらいの作品を残せたらいいなって思ってます。

── 駒木根さんは俳優業の他、ジュエリーブランドのプロデュースも手がけていらっしゃいますよね。

ものづくりが好きなんですよね。これも、やるなら一からやりたくて、デザインや石選びもすべて自分でやらせていただきました。この仕事をしていて感じるのは、世の中には魅力的な職業がたくさんあるということ。それこそ、カメラマンさんって楽しそうだなと思って、つい最近、趣味で写真を始めたんですよ。僕は、俳優だけをやり続けないといけない理由なんてべつにないなと思っていて。他にもやってみたいことはたくさんありますし、いつでも自分の気持ちがワクワクする方向に進んでいきたいなって思ってます。それは、人生において自分がずっと大事にしていることでもあります。

── いろんなことに挑戦できるこの世界が、本当に合ってらっしゃいますよね。興味がなかったということが信じられないほどに。

今も正直、楽しいからやっているだけで、自分が表に出ている感覚はそんなにないんです。だから、いまだに表参道を歩いて芸能人を探すのが好きなんですよ。大きいマスクをしている人を見ると、あの人、怪しいなって思ったり(笑)。

── テレビ局を歩いてたら、普通に芸能人に会えますよね?(笑)

それとこれとは全然別物です。やっぱり、野生の芸能人に会うと感動しますよ(笑)。

Profile

駒木根葵汰

こまぎね・きいた 2000年1月30日生まれ、茨城県出身。インスタグラムでイケメン高校生と話題になり、SNSでスカウトされ芸能界入り。モデルとして活動をスタートさせ、'19年に俳優デビュー。近作に映画『ホームスイートホーム』。ラジオ番組『駒木根葵汰のココはきいタウン1丁目』(文化放送、毎週土曜19:30~) のパーソナリティも務めている。

information

『天狗の台所Season3』

今作の季節は「春」。ニューヨークから戻り成長したオン(越山敬達)、会社を立ち上げた有意(塩野瑛久)、そして里で変わらず暮らす基(駒木根葵汰)が再び天狗の里へ集結。今回は“田んぼ”をキーワードに、新たな客人を迎えながら物語が動き出す。BS-TBSにて、毎週木曜23時から放送中。

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ジレ付きジャケット ¥323,950 クルーネックセーター ¥54,890 パンツ ¥49,940(以上FALCONERI/FALCONERI銀座店 TEL. 03-6264-5063) シューズ ¥97,900(ADIEU/BOWINC TEL. 03-6427-1590) その他はスタイリスト私物

写真・小笠原真紀 スタイリスト・杉山凌 ヘア&メイク・吉村健 インタビュー、文・菅野綾子

anan 2516号(2026年10月21日発売)より
Check!

No.2516掲載

秋の推し旅 2026

2026年10月21日発売

anan恒例の旅特集。今回は「“好き”をとことん満喫する旅」をテーマに、奈良では麗しの近代建築めぐりを、大阪ではお笑いと芸人メシ堪能旅、沖縄では沖縄タコスやスイーツを食べまくるローカル“粉モノ”旅を決行。

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