
新たな世界遺産が登録され、話題を集めている奈良には、国宝の社寺建築だけでなく、明治以降に建てられたロマン溢れる建造物が点在。静寂とエモーショナルが調和する、気品を纏った古都の近代建築を巡る旅へ。
旧奈良監獄
竣工1908(明治41)年、司法省技師の山下啓次郎氏が設計した赤レンガ造りの建築物。日本の近代化の一環として築かれた明治五大監獄のひとつで、唯一全貌が現存する国の重要文化財。2017年3月まで使用され、歴史的建造物の保存と活用を目的に、2026年に「星のや奈良監獄」と「奈良監獄ミュージアム」が開業。
古都に佇む、中世ヨーロッパの城のような美しさと重厚感を兼ね備えた西洋建築。優美なアーチが印象的な表門、庭園を抜けた先に、赤レンガに花崗岩を組み合わせた壁と瓦屋根の和洋折衷仕様が独自の意匠を感じさせるメインエントランスが広がる。ここが"明けの重要文化財"をコンセプトに、100年以上の時を経てラグジュアリーホテルへ昇華した「星のや奈良監獄」。
館内は、重要文化財としての価値を保ちながらも、文明開化とともに豊かに花開いた西洋の美意識を随所に織り込んだ上質な空間に包まれ、まさに非日常そのもの。かつての講堂は「メインラウンジ」に生まれ変わり、ここでまずはウェルカムティーのおもてなしを。放射状に延びる舎房の中心に位置する「中央看守所」を通り、独居房9〜11個を繋いだ客室は、全室スイートルームで、アーチ状の窓から柔らかな光が差し込む。
日本の西洋料理の変遷をたどるディナーコースや、文明開化をテーマにした朝食など、明治のモダンに浸れる美食も楽しみのひとつ。随所に当時の意匠が残り、歴史の息遣いを感じる静謐な空間が心と調和し、情緒的なひとときが過ごせる。

放射状に延びる5棟の舎房の廊下を見渡せる中央看守所。天窓から降り注ぐ光が、刻々と表情を変える

開放的な吹き抜け空間に、ヨーロッパの家具が配されたメインラウンジ

ウェルカムティーには、奈良の月ヶ瀬産の和紅茶を。西洋建築の空間に浸り、優雅な時間を過ごす「茜のティーサロン」

現代のくつろぎに合わせて大胆に手を加えた空間と当時のままに残した空間が共存

和紅茶のお供に上品な味わいのカヌレを

10室の独居房を繋いだ客室「The 10-Cell」。アーチ状の天井を活かし、くつろぎに満ちたプライベート空間へと再構築
星のや奈良監獄
- 奈良市般若寺町18
- TEL.050-3134-8091(星のや総合予約)
- 料金/1泊¥147,000〜(1室あたり、食事別)
- チェックイン15:00 チェックアウト12:00
- アクセス/JR奈良駅より車で約10分、近鉄奈良駅より車で約6分


























