ポイントを押さえてタイパアップ! つまずきタイプ別・タスクと時間の管理術

ライフスタイル
2025.04.19

いつもタスクや時間に追われて、本領を発揮できない…。ならば、自分のつまずき傾向を知って対策しよう! あなたのタイプ別に、さらに作業効率が爆上がりするタスク・時間管理術をご紹介します。

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INDEX

    自分に合った仕組みを作ることが大切!

    やらなきゃいけないことがあるのに、先延ばしにしたりいつもギリギリになってしまったり…。

    「それは性格のせいではなく、自分に合った仕組み作りができれば、すぐに解決できます」と話すのは、公認心理師の中島美鈴さん。

    「時間管理できないのは脳のクセ。だから自分を責める必要は全くありません。時間管理には大きく分けて4つのステップがあります。どの部分が苦手なのか、自分のつまずきタイプを知り、仕組みが作れればタスクや時間に振り回されることがグッと減ります」

    「タスク・時間管理は本来手段だけど目的として始めるのも有効」と、AI起業家の臼井拓水さん。

    「自分にとって重要ではなくても緊急なタスクに追われることがよくあります。しかし本当に大切なのは“重要かつ緊急ではないタスクに、いかに時間を費やせるか”。たとえば資格やスキルを取得するために勉強するなど、今までやれなかった新しいことに挑戦することこそが、自分のスキルアップに直結する。その時間を捻出するために日々忙殺されていることを管理すれば、やりたいことに時間を割けるようになります」

    まずは、下記のつまずきタイプ診断を。全部のタイプに当てはまる場合もあるので、その時は全ての管理術をチェックして、できそうなものから取り掛かろう。

    チェックが3 個以上ついたタイプに要注意! あなたのつまずきタイプは?

    □先延ばししがち! スタート遅延タイプ
    ・何かを始めても、飽きっぽくて長続きしない
    ・早めに取り組むのは時間のムダのような気がする
    ・ほかの人ができていることでも重い腰が上がらない
    ・締め切りギリギリで間に合った成功体験がある
    ・本当はやらないとまずい状況なのに現実感がない
    ・物事に取り組む際、自分では手に負えない気がする

    何かと言い訳して、最初の一歩が踏み出せない。
    「期限は先だから、まだ取り掛からなくても大丈夫」と余裕を持ちすぎて、スタートが遅いタイプ。「できないかもしれない」という不安や、何から取り掛かればいいのか考えるのが面倒だったり、完璧主義すぎて初めの一歩がなかなか踏み出せなかったりするパターンも。

    □モニタリングが苦手…細部こだわりタイプ
    ・もう時間がないのに気になったことをやめられない
    ・予定にはないタスクでも、こだわってやめられないことがある
    ・どんな仕事でもオリジナリティが大事だと思っている
    ・作業に没頭すると時間を忘れてしまう
    ・「気がつけばこんな時間!」とあわてることがある
    ・深夜や休日のほうが、圧倒的に仕事が捗る

    時間を確認しながら臨機応変に行動できない。
    ひとつのことを集中して行うのは得意だが、マルチタスクは不得意。気になったことを突き詰めていく研究者タイプで、決められたことをこなしたり、誰かに何かを言われたりすることが嫌い。時間感覚が鈍く、作業の進捗に応じて方向を変更できず、残業や休日出勤も多くなりがち。

    □いつの間にかプランが崩壊! 計画倒れタイプ
    ・「計画を立ててもムダかも」と思い始めている
    ・いちいち事前に物事を考えず、動きながら考える
    ・出発予定時刻に、家を出られたためしがない
    ・タスク進行中に向かう方向がわからなくなることがある
    ・タスク完了後「これを忘れていた!」と気づくことがある
    ・人からよく「待って」「落ち着いて」と言われる

    計画を立てるのが苦手で、見積もりも甘い。
    タスクの全体像を掴まないまま、無計画に着手して締め切りに大幅に遅れてしまうことがしばしば。夏休みの宿題を最後の日に必死に終わらせようとするのがこのタイプ。時間の見積もりが間違っていることもあれば、そもそも計画を立てることに対して意味がないと思っている。

    □誘惑に負けがち…脱線しまくりタイプ
    ・タスク中に、動画やSNSを見るなど別のことを始めてしまう
    ・自分の部屋では集中できなくても、図書館なら集中できる
    ・作業中でも、別の締め切りが心配になって手がつかなくなる
    ・言い訳しながら、やりたくないことを先に延ばす
    ・片付けが苦手で、物を探している時間が1日に何十分もある
    ・仕事が忙しくなると、つい転職サイトを見てしまう

    気がついたら別のことをやってしまう。
    作業中についついスマホをいじってしまったり、締め切り間近なのに部屋の片付けをしたり…、やっていることと違うことにすぐ飛びつき、自分にブレーキをかけるのが苦手なタイプ。集中力が乏しく、誘惑にも弱いため、自宅でのリモートワークが苦手という方もこのパターンの典型。

    スタート遅延タイプの管理術

    4つの中で最も多いのがこのタイプ。未知に対しての不安や怖さを楽しさに変える仕組みを作って、エンジンをかけよう!

    1、最初の一歩をとにかくカンタンに!
    重い腰はなかなか上がらない。だからこそできることから始める。「最初から大層なことをしようとせず、まずはパソコンを立ち上げる、作業前にコーヒーを丁寧に淹れるなど、ハードルを極端に低くしてスモールステップを踏むとモチベーションに繋がります」(中島さん)。「完璧主義の人は最初から100点を取ろうとするからつまずくんです。今の自分は5点しか取れないと思って始めれば、肩の力を抜いて取り組めるようになるのでは?」(臼井さん)

    2、タスクの全体像を把握して「使う時間」を明確にしよう
    新しい仕事やプロジェクトが決まったら、全体像を把握するために、タスクのボリューム感と、おおよその所要時間をざっと書き出してみること。「頭の中で思い浮かべるだけでなく、ゴールをイメージしておおまかなリストを作っておくだけで、俯瞰できるようになります。さらに着手の時期がわかるので、『まだ始めなくても大丈夫』『始める前に不安な部分を解消するために事前に相談しておこう』など、心の余裕が持てたり、前向きに取り組みやすくなったりします」(中島さん)

    3、やらざるをえない環境を作り出そう
    「どうしても仕事モードにならない場合は、コワーキングスペースやカフェなど、いつもとは異なる環境に移動すると、スイッチが切り替わって始められるかもしれません」(中島さん)。できない自分を変えたいなら取り巻く環境をガラッと変えるのもあり。「いつもダラダラしてしまうのは、慣れやマンネリからきている場合が。そんな自分を本気で変えたいなら、住む場所、過ごす時間、付き合う人を変えて、新しい環境に身を置くと自分の行動も一気に変わってくると思います」(臼井さん)

    4、おすすめツールはガントチャート
    ガントチャートとは、作業工程や進捗を管理する際に作成する棒グラフを用いた表のこと。「どの期間にどの仕事をするか、スタート時から長期の視点を持ち、視覚的に管理することで初動の誤りを減らせます」(中島さん)。「ガントチャートはもちろん、データベースや議事録などまとめて管理できる『Notion』は、業務を一元化できて作業効率が上がります」(臼井さん)。Googleスプレッドシートにテンプレートもある。

    細部こだわりタイプの管理術

    すぐにひとつのことに没頭してしまうタイプなので、とにかく時間を気にしながらタスクをこなしていくクセをつけよう。

    1、タスクの全体像を把握して「使う時間」を明確にしよう
    すぐにひとつのことに集中してしまうのを防ぐために、取り掛かる前に今やるべきタスクを細かく書き出すことから始めて。「仕事はもちろん、プライベートでも今やるべきことを書き出して、それにどのくらい時間がかかるのか予測する習慣をつけることが、時間感覚を持つ良いレッスンになります」(中島さん)。メモアプリを活用するのも有効。「タスクを書き出し、終わったものからどんどん消していく。するとタスクがすべて完了した時、達成感を得られるはず」(臼井さん)

    2、10分単位の細かいTO DOを作ってみよう
    時間を気にしながら行動できる人になるために、10分単位の細かいTO DOで時間を管理してみる。「1日、1時間など長い単位で管理するから、気がついた時に手遅れになるんです。ならば料理の工程のように細かく刻んで、10分単位で管理してモニタリングしてみること。時間と勝負しながらゲーム感覚でタスクを終わらせていけるので、没頭しすぎることも減るし、途中で少し時間がオーバーしても修正が利きやすくなります」(中島さん)

    3、TO DOを実践してみて間に合うか計測しよう
    時間感覚が未熟な人ほど、“自分はできる!”と思い込みがち。「だからこそ自分で作成したTO DOと時間を照らし合わせることを忘れずに行い、時間感覚を育てていきましょう。今の自分のスキルに見合った時間の見積もりができるようになると、自分の思い込みだけで突っ走ることが少なくなりゴールを見据えることができます。自己流のワナに陥ると、努力しても認められず悔しい思いをするだけ。そうならないように都度やり方を見直して、軌道修正力を養うことも必要です」(中島さん)

    4、おすすめツールはリマインダー
    時間を気にしてモニタリングする習慣を持つために、スマホのアラームやリマインダー機能を有効活用すべし! 「行動に移すことは誰しも難しい。でもそんな行動できない自分から脱却するには、便利なツールを利用して、時間通り動く仕組みを作るに限る。特にiOS端末に標準搭載されているリマインダーは直感的に使えて便利。通知で知らせてくれるので効率的にタスク・時間管理ができます」(臼井さん)

    計画倒れタイプの管理術

    計画立ては、結果にコミットするために大事な要素。実践を積み、上手くできるようになると、自分の大きな手助けになる。

    1、ルーティンを整えてスキマ時間を把握しよう!
    計画立てが苦手な人は、まずは失敗してもさほど影響がないプライベートの時間を利用して、比較的見当がつけやすい毎日のルーティンを整えて慣れることから始めよう。「たとえばあまり時間がないけれど、誰かに邪魔されることが少ない朝のルーティンを見直して、効率を重視して動いてみては。メイクしている間にお湯を沸かすなど、行動のムダを省いて効率化することで、計画立てによる快適さを味わい、仕事でもやってみたくなるかもしれません」(中島さん)

    2、一回計画を立ててみたら、10分の1にしてみよう
    計画倒れになるのは、自分の体力・能力・集中力を過大に評価し、無理なスケジュールを組んでしまうのが大きな要因。「100mを7秒で走れるからといって、フルマラソンを1時間で走れるわけがない。でもみんな、1時間で走るような無茶な計画を立てがち。大体その10分の1もできない人がほとんどなんです。だから今日のTO DOをバーッと書き出したら、そこから10分の1の本当にしないといけないことを厳選してみて。すると大体ちょうどよくできるようになります」(臼井さん)

    3、実計測に基づいた見積もりを立てよう
    新規や大きな案件は、全体を把握するのが困難で、計画立ての段階からすでに投げ出したくなることも。「全体を見ると未知数だと思うかもしれませんが、細かく分けていくと、これまで経験したことのあるタスクがたくさんあったり、実計測に基づいてイメージできることもあるので、小さいことから少しずつ突き詰めていくと、見積もりを推測しやすくなります。すると、全体の輪郭が掴めて、計画立ての精度を上げられるようになります」(中島さん)

    4、おすすめツールはカレンダー・TO DOリスト
    今やカレンダーアプリは時間・タスク管理の必需ツール。スケジュール帳の代わりになるだけでなく、計画も立てやすくなる。「どんな人でも簡単に使いやすいのが『Googleカレンダー』。毎日の予定や計画を書き込んで管理できるだけでなく、マイタスクの部分に『ToDoリスト』という表示があり、この中にやるべきタスク・所要時間・期限などを入力できます。カレンダー上にタスクを表示することもでき、通知音で知らせることもできるので、うっかり忘れることもなくなります。このタスクは30分で終わらせるなどと決めて入力するクセをつけて、小さな成功体験を積んでいくことで、大きな計画も立てられるようになります」(臼井さん)

    脱線しまくりタイプの管理術

    仕事以外のことに気を取られて、なかなか仕事がはかどらないなら、集中できる環境や仕組みを物理的に生み出してみよう。

    1、とにかく物理的に娯楽と距離を取ろう
    「休憩中にちょっとだけSNSを見ようと思って開いたら、いつの間にか1時間が経っていた!」という人は多いのでは。仕事のさまたげになるものは職場に持ち込まないと決めたり、自宅に誘惑が多いなら出勤日を増やしたり、コワーキングスペースを利用したり、物理的に邪魔するものと距離を取るのが手っ取り早い。「実は僕もついついスマホをいじってしまうタイプ。だから本当に集中したい時は、スマホの電源をオフにするようにしています」(臼井さん)

    2、物の置き場所を見直そう
    仕事中に使うものを1か所にまとめたり、自分の動線を確認して置き場所を決めることで、時短に繋がるだけでなく、脱線防止にもなる。「何か探している時にスマホが目に入ってついついいじってしまったり、必要なものが見つからずにイライラして仕事どころではなくなるのはよくあること。だからこそ極力、ムダな動きをしないように目に見える場所に必要なものを置くように心がければ、ほかのことに気持ちが引っ張られることが少なくなり、脱線せずに済むのでは」(中島さん)

    3、「やめたい習慣」をご褒美にしよう
    “ついつい脱線して、作業が進まない”のは、そのデメリット以上に、現実逃避できるなど、脱線するメリットのほうが勝っているから。ならばそのやめたい習慣をご褒美にして、それを目標にして今やるべきことに取り掛かれる自分を作ってみて。「このタスクを終えたらSNSを見る、この仕事が上手くいったらネットサーフィンで思いっきり買い物すると決めてしまえば、ご褒美目当てに目の前の仕事を楽しく進められるのではないでしょうか」(中島さん)

    4、おすすめツールはスクリーンタイム
    自分のデバイスで何にどのくらい時間を費やしているのかをチェックできるのがスクリーンタイム。「どのアプリをどれくらいの時間使ったかが一目瞭然。また設定を変更すれば、アプリやWebサイトを利用する時間に制限を設けることができるので、たとえばSNSばかり見てしまう人は、Xやインスタを1日1分までなどと制限すれば、それ以上見られなくなり、SNSの見すぎを物理的に防止できます」(臼井さん)

    PROFILE プロフィール

    中島美鈴さん

    公認心理師、臨床心理士、心理学博士、中島心理相談所所長。専門は、時間管理とADHDの認知行動療法で、カウンセラーとしても活動している。著書に『マンガで成功 自分の時間をとりもどす 時間管理大全』(主婦の友社)など。

    臼井拓水さん

    AI起業家。Michikusa株式会社代表取締役。Amazon Japanを経て、法人向けのAI研修やDX支援を行う会社を設立。ChatGPTの第一人者。著書に『Notion AIハック 仕事と暮らしを劇的にラクにする72の最強アイデア』(翔泳社)がある。

    イラスト・MUCHI 取材、文・鈴木恵美

    anan 2443号(2025年4月16日発売)より

    MAGAZINE マガジン

    No.2443掲載2025年04月16日発売

    自分を高めるスキルアップ! 2025

    学びへの意欲が高まる春にぴったりのトピックスを集めた「自分を高めるスキルアップ!2025」特集。スキルアップを続ける小森隼さん(GENERATIONS)と武田梨奈さんのインタビュー、ChatGPT入門、野菜を育てるスキルを手に入れる方法、劇的成長が狙える大学院への道、趣味をスキルアップさせる愉しみなど、新しいチャレンジへの背中を押してくれる一冊です。さらに、初著書『半分論』が4月14日に発売される村上信五さんが今作に込めた想いを語るスペシャルな企画も。CLOSE UPには、B&ZAIのみなさんと、俳優の髙石あかりさんが登場します。

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