寄付で社会貢献しよう
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西山美紀(にしやま・みき)さん ファイナンシャルプランナー。お金、生き方などをテーマに取材を重ね、日々にうるおいをもたらしてくれるお金の貯め方、使い方を発信中。All About貯蓄ガイド。著書に『お金の増やし方』(主婦の友社)など。
貯蓄未知子(ちょちく・みちこ/34歳・会社員) 都内の賃貸で一人暮らし中。毎月の貯蓄は財形2万円+口座に残った分のみ。奨学金は完済。家を買うべきか悩み中。
寄付することで、幸福感にも影響が?
未知子:2025年の抱負を考えていたんですが、今年は社会に貢献できることに挑戦したいなと。
西山:それなら寄付はどうでしょう? 「災害後に寄付をした経験がその人の幸福感を高めている」という研究結果もあり、誰かのためにも、自分のためにもなる有意義なお金の使い方だと思います。
未知子:寄付ですか! 災害が起きた際、募金箱に小銭を入れるなどは意識してきましたが、寄付となるとやや気後れしてしまって…。
西山:寄付の方法によっては、税金が軽くなる場合もありますよ。
未知子:そうなんですか!?
西山:寄付金控除という言葉を聞いたことはありませんか?
未知子:ある…ような?
西山:これは、寄付した額に応じて税金が安くなる制度のこと。寄付先や控除方法によって異なりますが、寄付額から2000円を引いた金額に対して、所得税や住民税が軽くなります。その年の総所得金額の40%が寄付の上限額です。
未知子:さすがに所得の4割も寄付するのは現実的じゃないですが、少額でも大丈夫ですか?
西山:もちろん! たとえ1万円の寄付でも節税に。内閣府の「市民の社会貢献に関する実態調査」によると、2022年度に寄付をした人のうち寄付金控除を利用しなかった人は7割超。うち約3分の1が制度を知らなかったそう。
未知子:それって、節税の機会を逃したということに?
西山:その可能性があります。寄付金控除を受けるには条件があり確定申告も必要ですが、スマホからも申請できるので意外と簡単。せっかく寄付をするなら、ぜひ。
寄付の手段や方法が増え社会貢献しやすい状況に。
西山:近年はシステムやサービスの充実により、寄付の手段が増えました。手軽なのは、ふるさと納税やクラウドファンディングのポータルサイトを活用した寄付。ふるさと納税で寄付する場合、ワンストップ特例制度の範囲内なら確定申告も不要です。
未知子:それは便利!
西山:手持ちのポイントを寄付できるポイントサイトも増えていて、こちらは寄付のスタートとしては取り組みやすいはず。
未知子:ふむ…。寄付って口座振替など少し面倒なイメージでしたが、便利な方法があるんですね!
西山:サイトにより寄付できる団体が異なるので、支援したい団体や活動があるかを基準に選んでもいいかもしれません。
未知子:その点と、使い勝手を比較して検討してみようかな。今日はありがとうございました!
寄付金控除のPOINT!
【STEP1】寄付先の団体が控除対象であることを確認する
控除が適用されるのは、特定の条件を満たした団体(国や地方公共団体、特定の法人など)に寄付した場合のみ。寄付先が控除の対象になっているかどうかは、各団体のサイトなどで確認を。
【STEP2】領収書を保管しておく(寄付金の受領書等)
確定申告の際、寄付先から発行される寄付金の領収書(受領書等)が必要になる。領収書が発行されない寄付(街頭や店頭などの募金箱への募金、物品の寄贈など)は原則控除の対象外になるため注意が必要。
【STEP3】確定申告する
控除を受けるためには、年末調整を受けている会社員の場合でも確定申告が必要。ふるさと納税のワンストップ特例制度の手続きがすんでいても、ふるさと納税以外の寄付をした場合は、ワンストップ特例制度の分も合わせて、改めて確定申告が必要になるので注意したい。
手軽に寄付をする方法も!
・ふるさと納税を活用する
災害復興支援やガバメントクラウドファンディングなどのプランを利用したり、「返礼品なし」を選択するなどの方法で、特定の自治体へダイレクトに寄付することができる。ワンストップ特例制度の範囲内に収めることで、確定申告をしなくても手続きが完了できる。
・寄付型クラウドファンディングを活用する
社会問題の解決を目指すプロジェクトの資金を募る寄付型クラウドファンディング。動物愛護や自然環境保護、恵まれない子どもたちへの支援など、細分化されたプロジェクトが豊富で、活動報告があるため寄付金の用途がわかりやすいのもポイント。寄付先が条件に当てはまれば、確定申告することで寄付金控除を受けられる。
・ポイントサイトを活用する
各ポイントサイトでは、ポイントを活用した寄付の設定が。1ポイントから寄付が可能なサイトも多いため、消滅しそうなポイントを有効活用する手段としてもおすすめ。
イラスト・小迎裕美子 取材、文・宮尾仁美
anan 2430号(2025年1月15日発売)より