空き巣、ゴミ漁り、訪問者による犯罪…家の中での犯罪を想定した、ケース別対策

ライフスタイル
2024.11.05

あなたは身を守ることにどれくらいの意識があるでしょうか。怖いもので、本当に何かが起こった時には足がすくんで、息が詰まって、意外と体は動いてくれません。まずは知っておく、そして先回りで動いておくことでフィジカルの自己防衛は、女性にだってできるのです。家にいるからと安心してはダメ。空き巣、ゴミ漁り、訪問者による犯罪、盗撮・盗聴など家の中で起こる犯罪はたくさん!

“防犯5か条”を徹底して自分の身を守ろう!

「最近は闇バイトがらみの強盗事件が後を絶たず、物騒だ、怖い、などの“体感治安”はここ1~2年で約70%まで増えているのが現状です」(日本防犯学校副学長・桜井礼子さん)

一方で20~30代の女性の防犯意識は低いという調査結果もあり、「何から始めたらいいかわからない」という人が多いよう。

「女性は“犯罪弱者であること”を忘れないでください。夜道、自宅、電車の中やお店で。どこでも狙われる危険は潜んでいます。まずは、もし夜道で襲われたら…と“気にする”こと、これが意識。次にネットや本などで“知識”をつけてそれを実践する“対策”へ。これが防犯対策のステップです」

心がけるべきは、犯罪被害に遭わないための“防犯生活”。

「対策をしているという“アピール防犯”、意識を高め知識をつけ、グッズ等を使用し対策する“攻撃型防犯”の防犯生活で、被害を回避しましょう。具体的には次の5つを意識して。(1)防犯砂利を敷く、防犯ブザーを持つなどの“音”。(2)家の照明など“光”を活用。(3)破壊しにくい建材を活用し侵入に“時間”をかけさせる。(4)カメラや、近所とのコミュニケーションで人の“目”を光らせる。(5)不審な人や車を見たら110番“通報”。これら防犯5か条を実践しましょう」

こちらでは、家の中での犯罪を想定した、ケース別対策を桜井さんがアドバイスします。

防犯ガラスもしくは防犯フィルム+鍵付き補助錠で窓の安全を確保。

家での基本は、鍵をかけた生活。在宅時は玄関のドアチェーンやドアガードも忘れずに。ガラスドアの勝手口は狙われやすい。なかでも網入りガラスは丈夫そうに見えて、実は割った時に音が出にくくガラスが散らばりにくいため、犯罪者にはもってこい。防犯ガラスに替えるか、内側のガラス全面に防犯フィルムを貼ること。後者の場合は最も防犯性の高い“CPマーク”付きを選び、専門業者に貼ってもらおう。また窓の鍵は2重に。サッシのレールに取り付けるタイプの補助錠ではなく“鍵付き補助錠”を選び、さらに窓の衝撃を知らせるアラーム機器を併用すると◎。

ゴミは情報の山。レシート、伝票、下着…徹底処理を。

“ゴミ漁り”という犯罪があるほど、ゴミは私的情報の宝庫。過去には1か月間、特定の家のゴミを漁り続け、空き巣に入って住人の帰宅を待ち伏せたという事件も。住所、名前、カード利用履歴やレシートなどはクロスカットのシュレッダーにかけ、下着は細かく切って新聞紙で包んで紙袋に入れるなど2重に。必ず回収日の朝に捨てること。

“宵空き”多発! 夜や不在時は照明点灯。自動タイマーを取り入れると◎。

秋冬は、夕暮れから夜間にかけて“宵空き”という空き巣が増加。家の中が暗いと留守のサインに。通りに面した部屋のレースカーテンを閉め、ドレープカーテンは少し開けて電気をつけっ放しにしておこう。つけっ放しが難しい場合は、タイマー付きの照明を活用するなどして。就寝時もリビングの電気をつけておくと、忍び込み対策に。

旅行、出張…長期間の留守は新聞、郵便をストップ。

家を長期間留守にする時も、“宵空き”対策と同様、光を効果的に使って、留守に見せないこと。室内照明を活用して人が居る気配を出して。またポストに溜まった新聞や郵便物は、留守を主張しているようなもの。新聞は留守の期間だけ止め、郵便物は各地域の郵便局の本局に連絡をして、配送を止める手配をすると防犯対策に。

「訪問者は対面対応しない」が最新。名乗らずに相手情報の確認を。

いかなる訪問者でも、ドアを全開にするのは避けて。宅配はインターホンで、どこから誰宛てに、何の荷物が届いたのかを聞き、そのうえで玄関前に置いてもらうか、宅配BOXへ。簡易型の宅配BOXはナイフなどで切れない素材のものを選んで。ちなみに置き配は留守の目印になるうえ個人情報も記載されているため、防犯学校ではすすめていないそう。在宅時の配達指定をするか、コンビニや駅などの宅配ロッカーを使用するのがベスト。できればインターホンだけで完結するべきだが、やむを得ずドアを開ける時は、ドアガード・ドアチェーンをかけたまま対応しよう。

家選びでは、マンションの防犯カメラ位置と台数、盗聴/盗撮調査をチェック。

家選びの際は共用部の確認も必要。エレベーターは外から中が可視化できるモニター付きがより安心。廊下、非常階段や集合ポストにカメラがあるかを確認し、オートロックの場合は入り口から外の通り側を映すカメラがあるとベスト。外階段や屋上に簡単に侵入できないか、カメラがあるかも確認。また管理業者に「盗撮カメラや盗聴器の調査をしていますか?」と聞くこと。その際、どんな機械で調査したかもチェック。市販の“盗撮・盗聴探知機”を買うなら、安価なものは避けるべき。もし盗聴器やカメラが見つかったら、すぐに警察や管理会社に連絡をする。

洗濯物は室内干しがマスト。外に干すものは女性らしいデザインを避けて。

ベランダの洗濯物によっては、女性の一人暮らしが特定できてしまう。基本、室内干しをすること。またその場合は、外から見えやすいカーテンレールや窓際に干すことはNG。どうしても外に干したい布団やシーツ、バスタオルなど、またカーテンについても女性を想像させる色やデザインを避けること。あえてフェイクで男物を干すのも手。

ドアの出入りは必ず周辺確認。玄関ではアピール型防犯を。

家を出る時は一度ドアスコープをのぞくか、ドアガード・ドアチェーンをかけたままドアを開けて誰もいないことを確認してから。ドアスコープを“広角スコープ”に替えるとなおよし。玄関の外から見えやすい入り口付近には、男物の傘や靴を置いたり、また女性の一人暮らしの場合は、表札を父親など男性の名前にすると、いいアピール防犯に。

PROFILE プロフィール

桜井礼子さん

一般社団法人日本防犯学校副学長。日本初の女性防犯アナリスト。子育てなど自身の経験から女性、母親、高齢者の親を持つ子の立場の目線に立ち、予知防犯を提唱。弱者を犯罪被害から守るための活動を続けている。

イラスト・深川 優 取材、文・若山あや

anan 2420号(2024年10月30日発売)より

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