資料を読んだり、ひたすらネットで検索したり。新しいアイデアを生み出すために努力をしても、なかなか実を結ばないのはなぜ?
「ひらめきとは、もともと脳に蓄積されている情報同士が、新たな関連で結びつくことにより、初めて起こる現象。情報をただ詰め込むだけではひらめきません」と語るのは、実践的な立場から脳の機能を研究している菅原洋平さん。
「現代社会はインプットの機会が圧倒的に多い。だから情報は大量に入ってくるけれど、それを整理して有効に使うことができず、ひらめかなくなるのです。実は脳が“情報をまとめる作業”を行うのは、ぼんやりしている時間。ひらめくには、あえて脳を集中から解放することが大事。思考というものは神秘的に思われがちですが、脳は結局のところ臓器のひとつ。適切な使い方をすることで、合理的にコンディションを上げることは可能です。ぜひ実践してみて」
ひらめくメカニズム
- 情報を入れる(実行系ネットワーク)
- ぼんやりする(デフォルトモードネットワーク)
- 浮かんでくる考えをざっくり把握する。
- マインドワンダリング
- ひらめく!
ひらめきは、いわば情報同士の化学反応により起こるので、最初に入力作業は欠かせない。アイデアを得たいジャンルについて、資料を読む、詳しい人に聞くなど、まずは役立ちそうな情報を頭の中に入れていく。
「このとき脳では“実行系ネットワーク”という、現代人が最も使っているモードが立ちあがっています。注意する、集中する、覚えるなどといった、外の世界に働きかけるときに使うネットワークなので“外向きネットワーク”と呼ぶこともできるでしょう。ただし、この段階では単に情報を詰め込んでいるだけなので、まだひらめきには至りません」
次はまとめるモードにシフトを。これは胃が食べ物を消化するのと同様に、脳が情報を消化する段階。
「脳は集中して行う作業をしていないとき、ぼんやり=“デフォルトモードネットワーク”に切り替わります。一見休んでいるように思いますが、脳では実行系ネットワークのときとは別の部位が活発に働いています」。具体的には、読んだり聞いたりといった入力をすべてストップ。
「周りを見るともなしに見ているような感じで、ぼーっとして。何か考えが浮かんできてもOK。うまくぼんやりできない場合は、呼吸や心拍など、体の内側に意識を向けてみて」
ぼんやりモードのとき、“メタ認知”と呼ばれる一種のモニタリング状態になれば、ひらめきにぐっと近づいている証拠。「メタ認知とは、自分から離れて自分を見る状態。脳内を流れていく数々の考えを、別の自分が『こんなこと考えているな』と眺めているような状態。こうなると、目的に向かって思考が収束していきます」。メタ認知を呼び込むためには、頭に浮かんだことを紙に書き出し、“見える化”するのも有効。
何も思い出そうとしていないのに、一見無関係に思えることが、頭の中にとりとめもなく浮かんでくる。「これが起きたらひらめきのサインです」
ついに素晴らしいアイデアが降りてくる瞬間が! 「ただし、ひらめいた考えをキープできるのは約4分半といわれています。忘れないように外部記憶化(メモ)して、せっかくの収穫を逃さないようにしましょう」
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