イラスト・二階堂ちはる 取材、文・音部美穂 PR・厚生労働省
働きながら自分らしく不妊治療に向き合うには?
制度の活用や職場への相談が
両立のカギになることも。
予定が読みにくく、ゴールが見えない不妊治療。治療後、体調を崩す人も。実は不妊治療によって、4人に1人が離職や雇用形態の変更を余儀なくされたり、治療を諦めたりしている。不妊治療に特化した休暇・休職制度を用意している企業もあるものの、まだ少数派だ。不妊治療と仕事を両立するために知っておくべきことを、厚生労働省の方に伺った。
「“不妊治療”と名前がつく制度でなくても、女性の健康課題への取り組みや働き方改革の制度を活用できる場合もあります。フレックスタイム制や、半日単位・時間単位の年次有給休暇を取得して通院するなど方法はさまざまです。自分の勤務先のサポートや休暇制度を調べる場合は、人事・労務の担当者や産業医・産業保健スタッフに聞いてみましょう。また厚生労働省ホームページの『両立支援ガイドブック』を参考にするのもよいと思います」
不妊治療は、非常にプライベートなこと。職場に伝えるかどうかは自身やパートナーの考えを大切にして決めるのが基本だが、伝えることで得られるメリットも。
「周囲にとっては、休んでいる理由が分からないことで誤解が生じることも。今後のキャリア面で不利にならないようにするためにも、ひとりで悩まず、勤務先の理解を得ることも選択肢のひとつです」
勤務先への相談を行う際は、「不妊治療連絡カード」を使うのもひとつの方法。
「このカードは、治療の実施時期や必要な配慮などを主治医に記入してもらい、制度を利用する際に、職場に提出することを目的としています。医師の助言を具体的に伝えることで、より配慮を得られやすくなると考えています」
また不妊治療を受けていることを職場の誰まで知らせるか、人事や上司と相談しておくことも重要。
「不妊治療の内容や心身への影響は人によって異なります。職場などに不妊治療中の人がいる場合、周囲は必要以上に詮索しないことも大切なことです」
CHECK!
産婦人科医・五十嵐敏雄さんに伺う
働きながら不妊治療と向き合うために
知っておきたいこと。
教えていただいた方五十嵐敏雄さん
帝京大学ちば総合医療センター・産婦人科教授。専門は子宮内膜症、不妊内分泌学、内視鏡手術。最近は骨盤臓器脱や就労女性の不妊治療も専門としている。
患者さんの多くが、次の予約に制限があるとおっしゃいます。みなさん、予定を調整し、仕事の合間に病院に来られているのだと感じます。
不妊治療は“性”に関わることのため、上司や周囲に言いたくないと考える方も多いようですが、「不妊治療連絡カード」を職場に提示するなどし、職場の理解を正しく得る“勇気を持つこと”が、自分らしく不妊治療と向き合うキッカケになる場合もあります。
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/index.html