「睡眠の悩みを訴える人は年々増えています」と話すのは、自律神経専門の整体師・永井峻さん。
「人は睡眠中に体の修復をするため、しっかり眠れていないと修復できずにいろいろな症状となって現れます。体の不調を訴えて僕の整体院を訪れる患者さんの多くは、睡眠の悩みを抱えているのですが、その9割に“目の疲れ”が見られ、これが快適な睡眠を妨げていることがわかったのです。この大きな原因は、ネットや動画を長時間見続けること。例えば布団の中で、目と近い距離で、寝る直前まで光る画面を見続けることで瞬きが減り、ドライアイや眼精疲労を引き起こします。そもそも目は、感覚器官の中で唯一脳と直接神経で繋がっていて、ものを見ているだけで無意識に多くの情報をキャッチしてしまうパーツ。脳に興奮状態を作りやすく、これにより自律神経を乱してしまうと、理想的な睡眠がとれなくなるのです」
このような体の一部分の疲労感を“局所疲労”という。
「パソコンやスマホなどの使いすぎで凝り固まった腕、運動不足や冷えなどで血流が滞り、むくんだりする脚も局所疲労の代表パーツ。寝る前の簡単なマッサージによって局所疲労を取り除くだけでも、眠りの質は改善するでしょう」
【目】目の周りのツボをつまんでひねって凝りを解消!
体のツボは大体、筋膜上に点在していて、これをほぐすだけで、疲れや凝りの解消に。特に目まわりは即効性を感じるはずなので、ぜひ毎日やってみて。
おでこ(左右各10回)
目の見開きで固まりがちなおでこの筋肉をほぐす。
「パソコンやスマホの画面を見る時、自然と目を見開くことでおでこの筋肉は疲労します。まゆ毛上の中央の皮膚を親指と人差し指でつまみ、そのまま45度ひねり、3cmほどの範囲で上下に10回揺らします。反対側も同様に。ちなみに片方ずつやるのは退屈かもしれませんが、退屈なほど眠くなりリラックスできます」
下まぶた(左右各10回)
痛いと感じたら疲労や凝りが蓄積しているサイン!
「要領はおでこと同じ。下まぶたの少し下、目と頬骨の中間の皮膚を親指と人差し指でつまみます。そのまま45度ひねり、3cmぐらいの範囲で上下に10回揺らします。反対側も同様に。皮膚のたるみを心配する方もいるかもしれませんが、もともと皮膚には遊びがあり、軽く動く範囲内の動きであればたるみません」
上まぶた(左右各10回)
つまむ位置は大体でOK。上下1回に1秒かけて。
「上まぶたの真ん中あたりの皮膚を、親指と人差し指でつまみます。そのまま45度ひねり、3cmぐらいの範囲で上下に10回揺らしましょう。反対側も同様に行ってください。これらすべてのマッサージは、やりすぎることはありません。気がついた時に、オフィスや外出先、家などで毎日、何回やっても大丈夫です」
永井 峻(たかし)さん 整体師。楽ゆる整体院長・スクール代表。“早い、かんたん、なのに効く!”をモットーにした「楽ゆる健康ラボ」所長。著書に『快眠1分マッサージ』(自由国民社)ほか。
※『anan』2024年9月4日号より。イラスト・佐久間 茜 取材、文・若山あや
(by anan編集部)