お金に振り回されずに生きるために5つの力を身につけよう。
お金ビギナーが家計改善のために立ち上がると、まず取り組むのが節約。「今日からコンビニは禁止! 毎月2万円は貯めよう」と張りきるのはいいが、黒田さんはそれだけではお金に困らない状態を作るのは難しいという。
「どんなに節約を頑張っても、〈稼ぐ力〉が弱くては十分な額を貯められません。また、〈貯める力〉を上げるのはいいのですが、預貯金だけに資産を置いていると将来損をするリスクも」
自分の家計を強く豊かにしていくには、下の5つの力をバランスよく育てたい。なかでも20代、30代が強化したいのは〈貯める力〉と〈稼ぐ力〉。お金ビギナーは、まずは毎月安定して貯められる力と仕組みを作ることを目標にしよう。そして長く働ける特権を活かし、今のうちに資格を取るなど収入を上げる努力をしていけば、貯蓄や投資に回せるお金を増やせ、生涯のゆとりを大きくできる。
「仕事に直接は関係ないかもしれませんが、FP資格を取るのもおすすめです。貯蓄や投資だけでなく、ライフプランや社会保険など幅広く学べ、5つの力を伸ばすための基礎が身につきます。私も自己啓発の目的から20代で資格を取りましたが、起業につながっただけでなく、ライフプランを考えるうえで、非常に役に立ちました」
1、稼ぐ力
節約には限界があり、貯蓄を増やすには収入を上げることが不可欠。副業やポイ活もいいが、若いうちはまず本業の収入アップに注力を。「いろいろな資格を取得したり、語学力を磨いたりしておくことは将来にプラス。自己投資は惜しまないようにしましょう」
・現在の手取り額を知る
・働き方を見直す
・自己投資する
2、貯める力
多く貯めてもしょっちゅう取り崩していては意味がない。毎月、コンスタントに残高を伸ばすことを目指そう。「最も重要なのは、確実に先取り貯蓄できる環境を整えること。会社の財形や給与口座から自動的に積み立てる仕組みを、少額でよいのでスタートさせて」
・毎月決まった金額を積み立てる
・先取りで貯める仕組みを作る
・ライフプランを設計する
3、増やす力
貯める力があっても、超低金利の預貯金だけでは物価上昇に追いつけず、実質的なお金の価値が下がってしまうことも。「お金を運用して増やす力はこれからの時代に必要。ただし、投資をギャンブルにしないために、最低限の知識やリスクへの理解は必要です」
・金融商品の特性を知る
・長期・積立・分散投資を取り入れる
・インフレについて理解する
4、使う力
好きなように使っていては、お金はいつまでも貯まらない。必要なものを見極め、ムダを減らす努力は家計管理の基本だ。「とはいえ無理な節約は続きません。おすすめはお金を使わない日を作ること。普段、いかに安易に財布を開いているか気づけ、効果的です」
・家計の収支を改善する
・ムダな出費を減らす
・自分に必要な生活費を知る
5、守る力
増加する詐欺や契約トラブル、突然の病気や事故など、人生のアクシデントから資産や生活を守る力も大切だ。「ただし、保険に入りすぎてもムダ。会社員なら公的保障が充実しているので、まずその中身の確認を。若いうちは不足分だけ保険を使えば十分です」
・人生のまさかに備える
・契約トラブルや詐欺に注意する
・加入している社会保険について調べる
部屋が片付いている人は、お金に困らない!
黒田さんによると、お金が貯まらない人ほど物が多く、部屋が散らかっているのだそう。
「物が多いということは、それだけお金を消費したということ。しかも物が増えると管理できず、買ったことを忘れて使わずじまいになったり、賞味期限が切れたりして余計なロスが増えるのです」
下のイラストに当てはまるものがあれば要注意。節約する前に、物を減らして部屋を片付けよう。
「不用品を処分することで、自分のムダが浮き彫りに。きちんと収納できる状態を維持すれば、物の適正量がわかり、自分にとって何が必要かも見えてきます。結果、服も日用品も食品もムダに買いすぎないようになり、無理しなくてもお金が貯まり始めますよ」
片付ける→物とお金が見える化される→自分に必要な適正量がわかる→本当に必要なものと好きなものがわかる→ムダ使いがなくなり、家計にゆとりが出る→お金が貯まり始める
あなたはいくつ当てはまる? こんな人はお金が貯まらない!
□玄関にビニール傘が何本も!
□食べようとしたら賞味期限切れだった!
□知らないうちに同じアイテムを3着持っていた。
□「お得」「まとめ買い」が好き。
くろだ・なおこ ファイナンシャルプランナー。CFP(R)認定者、1級FP技能士、城西国際大学非常勤講師。セミナーや講演、メディアなど多方面で活躍。『マンガでわかる お金に人生を振り回されたくないから超ビギナーが今すぐやること教えてください』(主婦の友社)ほか、著書多数。
※『anan』2024年4月24日号より。イラスト・oyumi 取材、文・大上ミカ(カクワーズ)
(by anan編集部)