写真・村上未知 文・鈴木恵美 PR・JR東日本
【山形】東北随一の温泉と食材の宝庫。冬の時期は一段と趣が増す。
月山、蔵王連峰、飯豊連峰など、日本百名山に数えられるダイナミックな自然に囲まれた山形県。実はあまり知られていないが、全市町村に温泉が湧き出す隠れた温泉王国。その中でも冬場に高い人気を誇る温泉地が、大正浪漫の面影を残す銀山温泉。冬は周りの山々が一面雪に覆われ、静寂をまとい、一層ノスタルジックな世界に心惹かれる。
また日本の縮図のように多彩な地形と自然環境に恵まれ、食材の宝庫としても知られる。そんな山形で、最近注目を集めているのがユニークな肉グルメ。クセがなく、柔らかくジューシーなジンギスカンやイタリアの伝統的技法を用いて手作りする生ハム目当てに美食家が山形に押し寄せている。
<銀山温泉>
大正浪漫の面影と白銀に包まれたノスタルジックな温泉街を散策。
郷愁を感じられる人里離れた場所に佇む銀山温泉。江戸時代初期に銀山の鉱山作業員が疲れを癒したことに始まり、その後、銀山川の両岸に宿が続々建てられ、温泉街に発展。しかし、大正初期の銀山川の大洪水でほとんどの温泉宿が流され、当時流行していた洋風の木造構造の旅館に建て替えられたことで、今のような趣深い温泉街の街並みが形成された。そんな銀山温泉の真骨頂を味わえるのが厳寒の冬。あたり一面の山々が雪で覆われ、木造旅館の屋根も真っ白に。銀山川に雪が舞い、水墨画のような見事な雪景色が広がり、まるで時が止まったかのよう。
温泉街の入り口から一番奥にある「白銀の滝」までは徒歩約10分。こぢんまりとしているが、銀山川に沿って小道を歩いていると、どこを切り取っても絵になるような見どころスポットを多数発見できる。なかでも重要な歴史的建造物を名工の手によって現在に蘇らせた旅館「本館古勢起屋」はひときわ存在感を放つ。
昼間は『湯けむり食堂しろがね』をはじめ、飲食店や土産処に寄り道しながら冬化粧した温泉街をそぞろ歩き。銀山川に面した足湯や共同浴場「しろがね湯」に浸かり、冷えた体を温めるのもおすすめ。日が暮れてガス灯に明かりがともると、深々と降り積もる雪と相まって、さらなる幻想的な世界が広がる。風情ある温泉街でしっぽり過ごせば、心身ともにリラックスできることうけあい。
【銀山温泉】東京駅からJR山形新幹線で大石田駅まで約3時間15分、大石田駅から定期路線バスで約40分。
本館古勢起屋
日本建築美を楽しむ、オールインクルーシブの温泉宿。
大正3(1914)年の建造から昭和7(1932)年の増築。約100年前の大正・昭和初期に建造された登録有形文化財の建物を活用し、長きにわたる改修を経て、令和4(2022)年7月にふたたび現代に蘇った旅館。様々なテイストが心地よく調和する客室、銀山温泉の歴史をテーマにしたノスタルジーな佇まいの温泉でのんびり過ごせる。滞在中の飲食すべてが宿泊料金に含まれたオールインクルーシブシステム。夕食は温泉街にある2つの飲食店で、料理やドリンクを好きなだけ注文できる。
DATA 尾花沢市銀山新畑412 ☎0237・28・2322(銀山荘) 1泊2食付き¥34,100~。チェックイン15:00 チェックアウト10:00 アクセス/JR山形新幹線大石田駅よりバスで約40分、銀山温泉入口より徒歩6分。
湯けむり食堂しろがね
一日中便利に利用できるカフェがオープン。
温泉街の奥にひっそりと佇む古民家風の一軒家カフェは、散策中に訪れたい新店。ランチは、山形牛や庄内豚など、地元食材を盛り込んだプレートや丼ものメニューを気軽に楽しめる。ディナーは、山形の地元食材の持ち味を生かした香ばしい炭火焼き料理や、温泉の源泉を利用したせいろ蒸しなどバラエティ豊か。地元尾花沢産ブルーベリーの甘酸っぱさを生かした「尾花沢特産ブルーベリーパフェ」¥600など、スイーツも秀逸。温泉散策のお供に最適なテイクアウトグルメも。※メニューは季節により変動あり。
DATA 尾花沢市銀山新畑451 ☎0237・48・8558 営11:00~13:30LO、15:30~21:30LO 無休 アクセス/JR山形新幹線大石田駅よりバスで約40分、銀山温泉入口より徒歩8分。
<肉三昧>
生産者や職人が丹精込めて作る話題の肉グルメで最高のおもてなし。
山形は、豊かな風土に育まれた食材の宝庫。新鮮な野菜や魚介、米沢牛をはじめとした銘柄肉を使った美食文化が息づく中、最近話題を集めているのが、熱き職人たちが手作りする肉料理。ここにしかないレアな味を求め、国内外の美食家が山形発の料理に注目している。
その代表格が、常に1か月先まで予約でいっぱいの村山市にあるジンギスカンレストラン『ひつじや』。ここで生まれ育った店主の西塚洋平さんが、丘の上で羊を飼育しながら料理人としても自家飼育100%の羊肉を使用したジンギスカンを振る舞う。そして西塚さんと公私ともに仲が良い、山形出身の佐竹大志シェフもプロフェッショナルなハム職人。山形市にある『イル コテキーノ』で、イタリアの伝統的技法を用いて手造りするバラエティに富んだ生ハムを振る舞ってくれる。
米沢市に店を構える『なみかた羊肉店 めえちゃん食堂』は、老舗羊肉店が手がけるレストラン。羊肉の美味しさを世間に広めるために考案されたオリジナルの「義経焼」は、米沢では知らない人がいないほど地元で愛されている。最近その美味しさがどんどん広まり、県外からもファンが訪れ、知名度は全国区に。どれもビジュアルに一瞬で心奪われるが、さらに噛めば噛むほど深まる肉の旨味に悶絶必死。いまや山形は牛肉だけが名物ではない。ぜひ、山形の肉ととことん向き合ってほしい。
ひつじや
自家飼育100%のジンギスカンの美味しさに感無量。
山小屋風のログハウスレストランの隣の小高い丘で、黒い顔と脚が特徴のサフォーク種を約200頭飼育。国内に流通する羊肉の中で、国産羊はわずか1%未満。そんな貴重な羊肉を飼育し、1週間に1頭分をさばいて提供。1週間冷蔵庫で寝かせて味をなじませ、注文を受けてからスライスする新鮮な羊肉はクセがなく、口の中で脂の旨味があふれ出し、ジンギスカンのイメージが一変! 基本のジンギスカンコース¥6,050。羊肉に合うナチュラルワインも多数取り揃える。完全予約制。予約は1か月前から受付。
DATA 村山市富並4220-15 ☎0237・57・2862 営11:30~14:30、17:00~21:00 月・火曜休 アクセス/JR山形新幹線村山駅より車で約14分。
イル コテキーノ
見た目も味わいも圧巻のハム尽くしに心奪われる。
店内に入ると、壁一面の冷蔵庫に目を奪われる。60種類以上の加工肉が熟成を重ねながら、出番を待つ。イタリアの農村地域に受け継がれてきた作り方をベースに、山形の気候に合う熟成方法を編み出した佐竹大志シェフが、すべての仕込みを行う。メニューは「おまかせコース」¥5,280のみ。そのメインとして登場するのが本日のハム盛り合わせ。非加熱系の生ハムやサラミのほか、イカスミ、バナナ、ラベンダーなどで色付けされた加熱系のモルタデッラなど、全15種類。どのハムも風味豊かで、ワインがついつい進む。
DATA 山形市あこや町2-1-28 ☎023・664・0765 営18:00~21:30LO 水曜休 アクセス/JR山形新幹線山形駅より車で約14分。
なみかた羊肉店 めえちゃん食堂
羊肉×味噌ダレが奏でる、米沢ソウルフード「義経焼」。
米沢牛の町・米沢市で、1958(昭和33)年、羊肉専門の精肉店として創業。定番部位から希少部位まで取り揃え、絶品の羊肉メニューでもてなす。なかでも誰もが注文する「義経焼」は、初代・行方貞一氏が60年前に試行錯誤して完成させた味噌味の羊肉焼き肉。食堂で味わえる「元祖 義経焼」¥1,390は、特注味噌をベースに、地元産のリンゴやスパイスをブレンドした味噌ダレが決め手。旨味の濃い肩肉とコクのあるバラ肉の美味しさを一層引き立てる。1階の精肉店や店頭の自動販売機で、お土産用を買うことも。
DATA 米沢市東2-1-30 ☎0238・24・6887 営17:00~22:00 月・火曜休 アクセス/JR山形新幹線米沢駅より徒歩約6分。
冬の山形を楽しみ尽くす!
クラノバ
山形の食材が香るイタリアンが味わえる新館オーベルジュ。
銀山温泉の老舗旅館「古山閣」の新館として誕生したオーベルジュスタイルの宿。本格イタリアンのコース料理を堪能できる。
DATA 尾花沢市銀山新畑423 ☎0237・28・2039(古山閣) 1泊2食付き¥51,300~。チェックイン14:30 チェックアウト10:00 アクセス/JR山形新幹線大石田駅よりバスで約40分、銀山温泉入口より徒歩6分。
湯の沢温泉 時の宿すみれ
米沢牛づくしの料理に舌鼓。おふたり様専用の温泉旅館。
客室は趣の異なる全10室のみ。女将の実家の老舗精肉店『米沢牛黄木』から仕入れる米沢牛を使った創作料理はステーキやすき焼きなどから選べるメインが素敵。
DATA 米沢市関根12703-4 ☎0238・35・2234 1泊2食付き¥26,000~。チェックイン15:00 チェックアウト11:00 アクセス/JR山形新幹線米沢駅より車で約15分。
樹氷
大自然が生み出したダイナミックな雪と氷の絶景。
針葉樹のアオモリトドマツが雪と氷に覆われてできる蔵王の樹氷。温泉街から雪上を歩かずにローブウェイを乗り継いで行けるので気軽に樹氷鑑賞できる。毎年2月に最盛期を迎え、ライトアップも実施される。
DATA ☎023・694・9518(蔵王ロープウェイ) アクセス/JR山形新幹線山形駅よりバスで約40分。そこからローブウェイで約18分。
アル・ケッチァーノ コンチェルト
鶴岡の地産地消イタリアン『アル・ケッチァーノ』の直営店。
『アル・ケッチァーノ』の奥田政行シェフが考案した「オイル寿司」。醤油を使わずに様々なオイルと塩で楽しむというもので、山形県内で味わえるのはここだけ。
DATA 山形市双葉町1-2-38 やまぎん県民ホール 雁木棟内 ☎023・616・7040 営11:30〜14:00LO、17:00~20:00LO 火曜、第2・4水曜休 アクセス/JR山形新幹線山形駅より徒歩約3分。
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問い合わせ先・JR東日本