1年ほど前、あるMVが注目を集めました。曲は、Sexy Zoneの「THE FINEST」(YouTube Ver.)。このミュージックビデオはアイドルの楽曲でありながら全編レトロ調のアニメーション。収録アルバムのコンセプトとアニメーションの世界観が見事にマッチし、話題となりました。このアニメーションを制作したのが、NOSTALOOKさん。'70年代~'90年代風の懐かしい世界観を描くアニメーター集団で、最近ではさまざまなアーティストのミュージックビデオ制作で活動の幅を広げています。
8月末、まだまだ暑い晩夏の午後、NOSTALOOKさんたちから見る昭和カルチャーの魅力について伺うべく、インタビューを行わせていただきました。着ていらっしゃるオリジナルグッズのTシャツやお持ちのポーチのイラストで、お会いした瞬間から伝わってくるレトロカルチャーへの深い愛情! いただいた名刺すら可愛くて、思わずため息が漏れます。
まず、はじめに伺ったのは、NOSTALOOKとしての活動を始められたきっかけ。コロナ禍、何か楽しいことができないかと模索する中、レトロ好きな人が集まり、「こんなのあったかもね」な架空の'70~'90年代風アニメーションを作り始めたのだそう。
セルアニメの技術を踏襲し、依頼主に合わせたコンセプト・画風のアニメーションづくり。アニメーションの歴史へのリスペクトに溢れるNOSTALOOKさんは、「“レトロ感”に令和の若者が惹かれるのは、レトロカルチャーが彼らにとって“あたらしいもの”だからではないか」と考えているそう。
現代の技術は、アニメに限らず基本的に不可能がとても少ない状態。なにをやっても、誰がやってもある程度完成されたものが出来上がる。一方で、昭和に生まれたセルアニメは、方法が限られる中で生まれた高い技術の芸術。“できない”が多いからこそ生まれた、ロストテクノロジー時代ならでの個性に溢れています。若者にとっては、レトロカルチャーから感じる個性はどこか懐かしくはあるものの、まったく新しい魅力を持ったものとして楽しまれているのではないか、という見解に、納得するばかりでした。
誰かにとっての「懐かしい」は、誰かにとっての「あたらしい」であることに気づくことのできた日。やっぱり、レトロカルチャーってすばらしい!(I)
架空のアニメのタイトルを乗せたアクリルキーホルダー。こういったタイトルたちは「パッと思いついた」ものだそう。フォント、言葉の使い方など絶妙な昭和感はもはや職人技!
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