Q. 最近よく聞くスーパーアプリって?
A. 一つのアプリケーションのなかに、コミュニケーションツールやショッピング、決済など、様々なコンテンツが集約されたアプリのこと。みんなが平等に、共通で使えるデジタルプラットフォームを作ることが求められています。
デジタルの分野は2023年以降も著しく成長するでしょう。現在たくさんのサービスがアプリになっていますが、それらが一つのアプリに集約される「スーパーアプリ化」が進むと思います。
ショッピングもコミュニケーションも決済も、一つのアプリに。
たとえば、今は決済サービスだけでも、PayPay、LINEPay、楽天Pay、au PAY、iDなど多数ありますが、いずれ淘汰されるでしょう。日本では、PayPayやLINEがスーパーアプリ化しています。ただ、国のほうでは、民間企業のスーパーアプリ化が進み、国民の個人情報が海外のサービスに吸収されることを大変警戒しています。
デジタルの分野でさらに広がりそうなのが、「PHR(パーソナルヘルスレコード)」です。健康に関する個人のデータがデジタルによって共有され、医療サービスに繋げたり、商業的に活用することも可能になるでしょう。同じような健康状態の人たちのコミュニティが作られて、一緒に運動を頑張る、個々の体に必要な栄養素の入った食材が示されて、それらの食料セットがレシピとともに家に届けられるというようなサービスも夢ではなくなりそうです。
PHRの利点は、データの可視化によって、病気を未然に防げる、健康な状態を保つ機会に繋がりやすくなる点です。たとえば、体に悪いと知りながらも、つい甘いものや揚げ物を食べすぎてしまうというようなよくない生活習慣も、日常的に体の数値を目にすることで、改善しやすくなるでしょう。
コロナ禍を経て、非接触で体温を測るなど、体に触れたり針を刺したりせずとも計測できる技術が進歩しました。カメラの前に立つだけでコレステロール値が測れる技術まで開発され、’23年以降はこういう技術が一般向けのサービスとして広がっていくと思います。
PHRによって、健康寿命が延び、高齢者が働けるように。
日本は深刻な人口減少に悩まされていますから、国民の健康寿命を延ばし、働ける人の数を増やしたいという国の思惑もあります。PHRは、経済産業省や厚生労働省が一般企業とともに、どうしたら普及させられるか、課題は何かということを現在協議しています。
マイナンバーカードを普及させたいというのも、国としては、皆が共通して使えるデジタル基盤を広げたいという意向があるんですね。将来マイナンバーカードはマイナンバーアプリとして利用することが主流となります。それがスーパーアプリ化されれば、マイナンバーのシステムを使い、国民の大切な個人情報を守りながら、サービスは民間に開放し自由にビジネスを展開するという理想が叶えられると国は考えているようです。
ここで注意をしなければいけないのはサイバー攻撃です。最近でも国税庁を騙った迷惑メールが多数ばらまかれました。民間の病院や水道会社がサイバー攻撃の標的になっています。これらは、個人ではなく、国家レベルの犯行関与も疑われています。
VPNのサーバーが古かったりすると、そこが狙われる可能性も。国家として、対策をとる必要があると思います。
五月女解読員のひと言
カメラの前に立つだけで健康状態がわかったらすごいですね。疲れてるので、サプリや漢方情報も同時に教えてほしいです。今も、アンチエイジングの広告が勝手にやってくるけど、信頼できる情報を選べる機能もできたら嬉しいです。
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民投稿型ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN Journalism」主宰。『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX)、『ABEMA Prime』(ABEMA)などに出演中。監督作に『わたしは分断を許さない』など。
そおとめ・けいこ イラストレーター。オンラインストア「五月女百貨店」では、面白楽しいオリジナルグッズを多数、販売中。LINEスタンプも各種展開。近著に細川徹との共著『桃太郎、エステヘ行く』(東京ニュース通信社)がある。
※『anan』2022年12月28日‐2023年1月4日合併号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 取材、文・黒瀬朋子
(by anan編集部)