白川さんって?
『メンタル強め美女白川さん』獅子
自己肯定感の高い美女・白川さんを描く痛快コミック。白川さんが僻みやマウントなど、女性を苦しめるプチストレスをはねのける様子に、現代女子が大共感。1~2巻 各1155円/KADOKAWA
イマドキの美女は、努力を隠さない。ウソのない姿に、親近感と憧れを抱くんです。
人に左右されることなく、自分らしく人生を歩みたい。そう思っている現代女子から強く支持されているキャラクター・白川さん。
「心を健康な方向に導く時、言葉はとても大きな役割を果たすのですが、白川さんの口にするセリフはいずれも、心理学的な立場から見てもとても効果的です」
と言うのは、公認心理師の塚越友子さん。また、白川さんが美人というキャラ設定が新鮮だとも。
「今の女優やアイドルは、可愛さや美しさ、心の健康のために努力する姿を隠さない。白川さんもまさにそう。その“頑張りの先にある強さや美”に、女性たちは共感するのではないでしょうか」
公認心理師の解説付き! メンタル強化に効く名言リスト。
名言が溢れているといわれるこのマンガ。現在刊行されている1~2巻の中から、特に心を強くしてくれるお言葉を9つご紹介。公認心理師の塚越友子さんが、心理学の側面から読み解きます。
白川さんの言葉は“心のサプリ”なのかも。
つらいことから立ち直ったり、心の健康を取り戻すために、人は言葉をサプリのように使うことがある、と塚越さん。
「例えば映画やドラマ、マンガでは、言葉が使われる状況、口にする人や受け取る側の思いも描かれるので、読み手は“自分ごと”として共感しやすいもの。白川さんは25歳の働く女性。ananの読者世代からするととても自分に近い存在。ストーリーとともに彼女の行動や言葉に触れることで、“こうしたら心を強く持てるのか”と自然に学んでいるのでしょう。白川さんの思考や行動ができるようになれば、適切な自己肯定感が身につき、健康的な心を持てるようになるのでは、と思います」
1、自分に自信が持てない時“褒め言葉ありがたく受け取っても誰も何も損しないから!”
【心理学的解説】謙遜も悪くないけれど、密かに受け取り栄養に。
2巻エピソード23「林檎ちゃんと缶コーヒー」より。22歳の新人・朝比奈さんは、能力を見込まれて上司から新規プロジェクトメンバーに抜擢された。しかしその高評価に対して謙遜。そんな朝比奈さんに、白川さんがかけた言葉。
「日本は“謙遜の文化”が根付いている上に、最近は褒められると、周りに嫌われるのではないかと思う人が増えており、ますます褒め言葉を素直に受け止められない人が多いように感じます。でも褒め言葉は心の栄養ですから、逃してはもったいない! 表向き謙遜しつつも、心の中ではありがたくいただきましょう」
2、自分と周囲を比べたくなった時“「私もキレイあの子もキレイ」でいいじゃん”
【心理学的解説】自分と他者は別の人間。それを理解することが、強い心を得る第一歩。
1巻エピソード01「白川さんと人気モデル」より。カフェでお茶中、女性2人組が、人気モデルの容姿を揶揄する会話を耳にした。カフェからの帰り道、その会話を思い出した白川さんのモノローグ。
「心理学でいう“I am OK, you are OK”というマインドで、自分と他者が別々の人間であることを理解している状況。この思考を持っていると、いい人間関係を構築でき、自分に自信が! “メンタルヘルスの基本”的な考え方です」
3、マウントに心が折れそうな時“私 美に競争は持ち込まないタイプなので”
【心理学的解説】比較するのは当たり前。優劣つけるから疲れる。
2巻エピソード09「羽柴さんと白川さん part.1」より。本社から異動してきた羽柴さんが美人だとざわめく社内。“ウチの美人といえば白川さんだったけど、並ぶとかすんじゃう…”などとうるさい外野に対して、白川さんがひとこと。
「この言葉のいいところは、“比較はするけれど、そこに優劣(競争)は持ち込まない”という意思があるところ。人間は他者と比較することで自分を知る生き物。ただ比較し、その優劣で一喜一憂するのではなく、結果から自分なりの目標を定め、努力をすることが大事なんです」
4、生き方に迷った時“私の幸せは私が決めるの”
【心理学的解説】多様な人生が選べる今だから響く言葉。
1巻エピソード18「クリスマスケーキと白川さん」より。祖父の一周忌で近所のおじさんに“そろそろ結婚か?”と言われた白川さん。おじさんの妻から“桃ちゃんは桃ちゃんらしく! ねっ!”と言われて帰宅。その後のモノローグ。
「人生の選択肢が増えた今、とても大事な言葉です。人は選択肢がありすぎると迷いますし、さらに責任も自分の肩に乗ってくる。たまに心の中でお守りのように唱えると、効き目が増すと思います」
5、誰かに悪意を向けられた時“私の笑顔を自由を権利を奪える人なんかどこにもいない”
【心理学的解説】心が傷ついた時にこの言葉を唱えたい。
2巻エピソード19「白川さんのだし巻き卵」より。高校時代白川さんは、クラスの美人・姫子からいじめられていた。“美人だから何したって許される”と言われていた姫子の悪意に、決して泣き寝入りしなかった白川さん。当時に思いを馳せた時の、心の言葉。
「第三者に自分を侵害された時、心のバリアを修復するための言葉を持っておくといい。白川さんにとってはこれがその言葉。しかもこれは、自分軸で物事を捉えている。素晴らしいと思います」
6、イライラが募っている時“自分のストレスを人にぶつけたって自分に跳ね返ってくるだけ”
【心理学的解説】ストレスは自分で対処するのが大人。
1巻エピソード08「白川さんの脳内変換」より。かつて仲良しだった同期や女性上司から、小さな嫌みを言われた白川さん。でもその嫌みの裏には、彼女たちのストレスがあるのでは、と分析。
「人間関係においては好意を伝えると好意が、逆にストレスをぶつけるとストレスが返ってくるという、返報性の法則があります。これはまさにその表れ。ストレスは他者に向けても解決になりません。自分で対処する白川さんは大人ですね」
7、どうしても前向きになれない時“私たちいつも上り調子じゃなくてもいいんだって”
【心理学的解説】ネガティブな自分を認めることって大事。
2巻エピソード15「町田さんの明日」より。仕事でクタクタ&ストレスマックス状態の、経理課の33歳・町田さん。夜、暴飲暴食してしまい、翌日後悔。その話を聞いた白川さんの反応。
「最近の女性たちは、ネガティブな感情や行動をしてしまう自分をすごく嫌う傾向があります。でも実際は、“ダメな自分を受け入れる”ことこそが、本当の意味での自己肯定。お菓子食べちゃっても、まあいいか、と思っていいんです」
8、生理前で憂鬱な時“機械だってメンテナンス必要なんだから! こちとらホルモンバランスに左右される人間ですので!”
【心理学的解説】コントロールできないことは手放してしまっていいんです。
2巻エピソード05「白川さんとネガティブオバケ」より。調子が悪かった日の帰宅後、生理に! 腹痛のため気持ちがどんどん沈み、思考回路もネガティブに…。暗くなる自分を止めるべく、白川さんはこのセリフで開き直る!
「人間、理由がなくても不安定になることはあるもの。そういう時は、自分でコントロールできること、できないことをまず切り分け、できないことは手放していい。そんなふうに開き直れるっていうのは、一つの心の強さです」
9、容姿を悪く言われた時“心の中では受け取らないではね返しちゃおうよ”
【心理学的解説】言葉を真に受けない。それが一番大事です。
2巻エピソード26「林檎ちゃんの脳内変換」より。身長が高いことがコンプレックスの朝比奈さん。男性社員にそれをネタにされることが多いが、言い返せず自己嫌悪に。そんな朝比奈さんを勇気づけるべく、白川さんが口にした言葉。
「反論できる・できないが重要なのではなく、一番大事なのは、その言葉を真に受けないこと。白川さんが言うように、聞いたふりをしながら受け流せばいい。心の中で“NO”と思いましょう」
しらかわさん 本名は白川桃乃、この作品の主人公。“私は私 可愛く強く”がモットーの、営業事務の25歳。ピーチティーを愛し、ロールオンアロマで気分転換。実はシャイ。
しし マンガ家。2019年よりTwitterにアップした「メンタル強め美女白川さん」が反響を呼び、’20年11月に単行本化。現在、2巻まで発売中。Twitterは@sisi0ccc
つかこし・ともこ 公認心理師、臨床心理士。東京中央カウンセリング代表。水希名義の著書に『銀座No.1ホステスの心をつかむ話し方』(だいわ文庫)など。
※『anan』2022年2月2日号より。
(by anan編集部)