もうすぐ4月。年度が替わるこの時期は、歓送迎会でお酒を飲む機会が増える時ですね。漢方相談でもよく「お酒はどれくらいなら飲んでいいのか」と聞かれます。けれど結論から言ってしまうと、お酒は、中医学的には体には必要のないものなのです。お酒は体に「湿熱」をもたらし、極寒の中で暖を取ったり、寒さから来る肩こりを緩めるためにほんのひと口飲むのは有効なのですが、それを過ぎると今度は体に余分なものを溜める原因になってしまいます。その余分なものとは「痰湿」。ヘドロのような病理副産物で、むくみやだるさ、肌荒れなどを招くやっかいな存在です。左党のみなさんには残念なお知らせなのですが、中医学の視点で考えると、やはりお酒は控えるべきものといえます。
「解酒毒」効果がある、柿やりんごなどの果物を。
とはいえお酒には、みんなで楽しく飲むことでストレス発散になったり、コミュニケーションに役立つという一面も(僕も時々飲みます)。そんな時のために今回は、なるべく体に負担をかけない飲み方をお伝えします。
まず第一に心がけたいのが、冷たいお酒は避けること。冷えたビールや氷入りのサワーは湿熱をもたらすだけでなく、内臓を冷やして脾や胃の働きを弱めてしまいます。氷なしの飲み物か、温かい日本酒や紹興酒などを選ぶようにしましょう。ちなみに中医師が集まる宴席ではみんな、常温のお酒も、手で酒杯を包んで温めながら飲んだりします。さらに、しばらくお酒を口に含んで温めてから飲む人も。体にダメージを与えないお酒の飲み方として、ぜひ参考になさってください。
また、お酒と一緒に食べるおつまみにも注意を。体に負担をかける揚げ物や味の濃いもの、刺し身などの生ものは避け、火が通った野菜料理を中心に少しずつ食べるようにしましょう。悪酔い防止効果がある、しょうがやあさり、里芋、緑豆もやしが入ったメニューもおすすめです。
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そしてお酒を飲んだ翌朝には、「解酒毒」作用のある柿やグレープフルーツ、りんごなどの果物を。ただし果物には体を冷やす作用もあるので、ほどほどに。お酒の選び方や養生食の知識を持っておきつつ、やはりお酒の量を過ごさないことが一番の予防策であることを、忘れないでくださいね。
さくらい・だいすけ 漢方専門家、国際中医専門員。中医学の心得や養生法をゆるくつぶやくツイッターが人気。『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)ほか、監修書・著書多数。
※『anan』2020年3月18日号より。イラスト・原田桃子 文・新田草子
(by anan編集部)