小さくとも声を上げる勇気の連鎖が絆に繋がる。
「ハラスメントへの認識をアップデートしてほしい」
と語るのは『ハラスメントの境界線』を上梓した相模女子大客員教授の白河桃子さん。
「日本は職場にいる時間が長く、職場を家のように履き違えている人がいます。だから、ハラスメントを訴えられた人の言い分も『部下を子供のようにかわいがっていた』となってしまう。完全に、境界線を踏み誤っているわけです。ハラスメントは司法、行政、各組織で定義づけられていますが、個人によって“ここからはハラスメント”という境界線はそれぞれ。たとえば、彼氏や彼女の有無を尋ねられることに抵抗がある人もいれば、気にならない人もいます。問題が起きた後ではなく、普段からハラスメントについて話し合い、境界線を明らかにしておくことが、職場での絆作りの第一歩です」
職場の風通しを良くする方法に呼び名を変えることがあるそう。
「役職で呼ばず、性別に関係なく“○○さん”と呼び名を統一してみる。呼び捨てもやめます。すると、フラットな関係に感じられ、互いに尊重し合い絆を深める相手として認識できるため、職場の空気が良くなっていくはずです」
職場ハラスメントQ&A
Q.飲み会でのハラスメントから逃れるには?
「参加を断れるといいですが、そうもいかない場合は予防策を打っておきましょう。飲み会中に携帯を鳴らしてくれるよう予め知人に頼み、席を立つチャンスを作っておくのも一手。セクハラされそうになったら、わざとコップを倒し、その場の空気を切る方法もあります。そもそも、ハラスメントが横行しがちな飲み会は、行わないに越したことはありません。ランチ会を提案するのも手です」
Q.ハラスメントに遭ったら?
「我慢は禁物。何も解決せずツラくなるだけです。直接、加害者に言えるのであれば、真剣に『やめてください』と伝えましょう。笑顔を浮かべると、相手は『大したことではない』と誤解しかねません。同じ職場に信頼できる人がいれば相談を。声を上げると『私も同じように感じていた』という人が出てくるもの。告発の声は多いほど力を持ちます。社内外の相談窓口の利用も考えてみましょう」
Q.セクハラ・パワハラ以外に知っておきたいハラスメントは?
「まず、妊婦に対する“マタハラ”があります。加害者は男性に限らず、恒常的に人手が不足し、女性の多い職場では、同性の不満が産休や時短取得者に向くことも。育児参加する男性に対するハラスメント“パタハラ”の加害者も男性に限りません。そして、性的指向や性自認についての嫌がらせである“SOGIハラ”も、来春から企業の対策が義務化されるハラスメント関連法案に盛り込まれました」
ハラスメントの境界線 セクハラ・パワハラに戸惑う男たち 働く男女への取材や最新データを通じ、職場におけるハラスメントの実態に迫る。その上で、働きやすい組織の形を提案。中公新書ラクレ 900円
しらかわ・とうこ ジャーナリスト、相模女子大学客員教授。専門テーマは働き方改革、女性活躍、ワークライフバランスなど。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。代表作に共著『「婚活」時代』(ディスカヴァー携書)。
※『anan』2019年11月13日号より。写真・内山めぐみ 取材、文・小泉咲子
(by anan編集部)
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