体温のスイッチをOFF
人は、内臓や筋肉、脂肪などから発生する深部温度が夜になると下がる。毛細血管が多い手足から体温を逃がし、眠る準備がスタートする。この状態を作る効率的な手段が、入浴。そして、室温のコンディショニングだ。
【適切なタイミングの入浴で、“入眠タイマー”をセット!】
深部温度は上がった分だけ大きく下がろうとします。この性質を上手に使えば、熟睡に繋がります。しかし、深部体温は変動しにくい。「そこで強力なスイッチになりえるのが入浴です。40℃のお湯に15分入ると深部温度は0.5℃アップ。そこから約90分かけて深部体温は元の温度に戻っていき、さらに時間が経つと入浴前よりも低くなります」。つまり、お風呂から出て90分後のタイミングで布団に入れば、深い眠りが得られるのだ。
【部屋の空調を整えて、熱がこもらない環境を。】
室温が高いと大量の汗をかき、湿度が高いとその汗が蒸発せず、手足から熱が逃げないため、眠りが妨げられる悪循環に…。「寝室の温度と湿度をコントロールしないと、睡眠の質は上がりません。今は環境に配慮したエアコンもたくさんあるので、空調をつけっぱなしにすることも手です」。また、寝具によっても深部体温は異なってくるそう。「マットレスは低反発よりも高反発のほうが熱放散が多く、入眠前半の体温が下がりやすいです」
脳のスイッチをOFF
体温を理想的にコントロールできたら、次は脳のスイッチをOFFに。「高速道路を運転していると眠くなるのは、風景が変わらないから。モノトナス=単調な状態を作り出すことが、脳のスイッチをOFFにする鍵になります」
【寝る前の脳に興奮はNG! “退屈”が深い眠りを誘う。】
脳を休息させるには、何も考えないのが一番。といっても、実際どうしたら? 「例えば音楽を聴いたりスマホで動画を見たりするのは、リラックスできるなら大丈夫ですが、リコメンド機能につられて見続けると、脳を刺激し寝付きにくくなる。終わりにする時間を決めること」。仕事のメールチェックやネット検索もNG。「これらは脳を興奮させ、光の影響も加わり睡眠と覚醒のリズムを調整するメラトニンが分泌されにくくなります」
【就寝のルーティンを作り、“眠りの門限”を守る。】
アスリートが大事なシーンで、いつもと同じ一連の動きを行い、集中する“ルーティン”。実は、睡眠にも有効! 「脳はパターンを好みます。この性質を利用して、毎日寝る時間を変えず、いつも通りのベッドで、いつも通りにパジャマを着て、いつも通りの照明と室温で寝る。ベッドでの読書やテレビ視聴も習慣になっているのなら有効。眠りにつくまでの一連の流れの中で、脳は無駄なことを考えずに、スイッチをOFFにできるんです」
西野精治先生 睡眠研究の最高峰と称されるスタンフォード大学睡眠生体リズム研究所(SCNラボ)所長。医師。睡眠・覚醒のメカニズムを、分子・遺伝子レベルから研究している。
睡眠医学の最先端をわかりやすく解説した西野先生の著書『スタンフォード式 最高の睡眠』。20代の働く女性を主人公にしたコミック版が、8/27発売。サンマーク出版。
※『anan』2018年8月29日号より。イラスト・加納徳博 取材・文・小泉咲子
(by anan編集部)
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