コンドームが破れたときには…知っておきたい正しい避妊法

ライフスタイル
2018.08.18
大人女子のための保健体育。より豊かで楽しいセックスは、体への正しい知識と、それに基づく戦略=セックスリテラシーがあってこそ!
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セックスリテラシーを高めるために必要なのは、取りも直さず性と体に関する正しい知識。でも、「避妊に関心はあっても、性感染症には無防備なのが心配です」(産婦人科医・高橋幸子先生)「セックスは相手あってのこと。互いの心と体に関心を持ち合える関係が理想です」(NPO法人ピルコン理事長・染矢明日香さん)

ここでは“避妊”に関するリテラシーを○×形式でチェック!

排卵は月経中に起きる。

×:排卵はないので妊娠はしにくいけれど、セックスするにはリスクが。
「排卵後に妊娠が成立しなければ、その約2週間後に月経が起こる。排卵は普通、月経中には起こりません」(高橋先生)

下の表で、女性の体のサイクルを改めて確認しよう。排卵がないので妊娠しづらい期間といえるけれど、

「精子は7日ほど生きていることがあるし、排卵も毎回同じスパンで起きるとは限らない。避妊は必須ですし、月経周期が安定していないならなおさら注意が必要です。また、子宮内膜症の原因になるという説もあり、月経中のセックスにはそれなりにリスクがあることを知っておきましょう」

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月経周期が28日の場合のサイクル。2種類の女性ホルモンの分泌量の変化に応じて、排卵と月経が起きる。卵子の寿命がおよそ1日なのに対し精子は約1週間と長め。排卵日前の数日間と、排卵直後は妊娠しやすさが高まる。

避妊は男性だけに任せてはいけない。

○:むしろ女性が主体的に行うべき。
「人生設計を考えるうえでも、妊娠するかしないかは重要なこと。女性が自分でコントロールしていくことが、欠かせません」(染矢さん)

主な避妊方法は下の通り。ちなみに外出し(膣外射精)は効果ナシ。

「コンドームとピルがよく知られていますが、コンドームは避妊の失敗率が3~14%と高く、途中で取れないようにきちんと着ける、性交の最初から最後まで着けることがマストです。それに対し、ピルは非常に高い避妊効果がありますが、まだまだ浸透していないのが現状。女性主体の避妊法として、ぜひ選択肢に入れてほしいです」(高橋先生)

【主な避妊法】
基礎体温法:安静時の体温を毎日測り、排卵期や月経時期を予測。「でも、これだけでは不完全。体調を把握するのに役立つものとして、補助的に行うのがおすすめです」(高橋先生)。近年、生理日管理アプリも増えている。

男性用コンドーム:日本では最もポピュラーな避妊法だけれど、「正しく使わないと失敗率がぐっと高くなるので注意して。ただし、性感染症予防のためには必須のものです。必ず、最初から最後まで着けましょう」(高橋先生)。

IUD(子宮内避妊具):医師の処置で子宮内に小さな器具を入れ、受精卵の着床や子宮内膜が厚くなるのを防ぐ。2~5年そのまま使えて避妊効果も高い。欧米ではもはや主流だけれど、日本では出産経験者のみ可能。

低用量ピル:女性ホルモンが含まれる処方錠剤を1日1錠飲み、排卵を抑える。正しく使えば99.9%避妊可能。通常は28日に1度軽い月経を起こすが、最近は120日間出血を起こさないタイプも。費用は年間2万5000円程度が目安。

ピルは正しく飲めばほぼ確実に避妊できる。

○:ピルは、飲み忘れがなければ99%避妊ができます。
「現在、日本で誰もがアクセスできる避妊法の中で最も効果が高いのは、ピルです」と、高橋先生。正しく飲めばほぼ確実に避妊できるが、

「飲み忘れてしまうと“すり抜け排卵”で妊娠の可能性が高まるので注意を。一日の中で、飲むタイミングを決めるといいでしょう。ピルは月経困難症や子宮内膜症などの婦人科系トラブルの改善にも効くし、卵巣がんや子宮体がん、乳がんのリスクを下げることも分かっています」

気をつけるべき大きな副作用に血栓症が挙げられるけれど、

「35歳未満でたばこを吸わない人のリスクは低め。血栓症の予兆である手足や胸、頭の痛みが出たらすぐに相談できる窓口も製薬会社が整えています。飲み始めの6か月間に何ごともなければ、ほぼ大丈夫です」

ピルを飲んでいると、将来妊娠しづらくなる。

×:ピルを飲むのをやめれば、排卵が起こります。
意外と多いのが、この誤解。

「ピルには体と同じ2種の女性ホルモンが含まれ、それが脳の下垂体に働いて排卵をストップさせている。飲むのをやめればこの指令がなくなり、排卵が起こります。ピルには子宮内膜症を改善する働きもあるし、子宮の状態を良くするという意味で、むしろ妊娠にはプラスになると考えられます」(高橋先生)

避妊に失敗しても、72時間以内なら避ける方法がある。

○:72時間以内に飲めば妊娠のリスクを下げられる薬があります。
ピルを飲み忘れていた、コンドームが破れた…! そんなときは、

「72時間以内に緊急避妊用のアフターピルを処方してもらう方法も。対応可能な婦人科は、ネットでも探せます。日本で処方されるアフターピルは1回の服用で済む“ノルレボ錠”で、吐き気などの副作用も少ないです。が、1万5000円程度かかり、100%避妊はできないうえ、体への負担もゼロではない。避妊失敗時の緊急用として覚えておき、やはり普段の避妊を確実に」(染矢さん)

高橋幸子先生 埼玉医科大学社会医学助教、産婦人科医。家族計画協会クリニックなどで診療を担当。小・中・高での性教育授業にも積極的に関わる。

染矢明日香さん NPO法人ピルコン理事長。中高生や若者向けの性教育やキャリア教育プログラムなど、性の健康教育に関する啓発や講演活動を幅広く行っている。

※『anan』2018年8月15・22日号より。イラスト・長谷川まき 取材、文・新田草子

(by anan編集部)

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