写真・齋藤 弦、上田 崇、小川朋央 /スタイリスト・山本真里江、武政、高島聖子 /ヘア&メイク・杉村理恵子、草場妙子、天野誠吾 /取材、文・瀬尾麻美、石飛カノ(PR)
【RIKA in OKINAWA】足立梨花さんが、沖縄で本格空手体験!
2020年の東京オリンピックで正式種目に追加された「空手」。最近、美容やダイエットに興味を持つ女性たちに武道を取り入れたエクササイズが話題だけれど、実は空手も注目を集めているメソッドの一つ。呼吸を大切にして心身を鍛えるという、いまの女性が求める方法論があるからだ。
日本だけでなく世界中で関心を集める「空手」の真の姿とは? それを確かめるため、空手発祥の地である沖縄を訪れたのは、女優の足立梨花さん。美と健康に興味のある女性の代表として、本格的な空手の練習を体験してもらった。
表情、姿勢、佇まい…。約1時間半で驚きの変化が。
今回、足立さんに空手の指導をしてくださったのは、沖縄県体育協会の佐久本嗣男先生。実はこの方、世界大会3連覇含む7冠の経歴を持つ空手界のレジェンド。そして、一緒に稽古をした佐久本先生のお弟子さんたちは、世界選手権を連覇中の喜友名諒選手や金城新選手、上村拓也選手など世界レベルの選手がずらり。さすがに足立さんも少し緊張しながらご挨拶。そして、いよいよ練習がスタート。
ウォーミングアップは小刻みに脚を動かしながらの道場ダッシュ。カラダが少しずつ温まってきたところで、空手の基礎である“立ち方”の練習に入る。前屈立ち、四股立ち、猫足立ち、結び立ちといったいくつかのパターンを教わるが、しっかり顔を上げて前を向き、肩の力を抜いて胸を張るのが基本。周囲は一流選手だらけなので、体幹の安定した立ち姿が居並ぶ光景はとにかく美しい。全身のすみずみまで神経が行き届いているような、独特のオーラが感じられるほど。足立さんも見よう見まねでトライすると…。「足立さん、とても上手い! 初心者でこれはなかなかできないですよ」と、先生からお褒めの言葉。確かにスッと腰が安定した足立さんの立ち姿は、端正で凛とした佇まい。
基本の立ち方をマスターしたら、いよいよ形の見せどころである“蹴り”“突き”“受け”の練習に。ここでは、動作の早さや美しさはもちろん、気合の入れ方も大事になる。初めて空手を見る人は、何よりこの気合の声に圧倒されるはず。“突き”の素早い動作に合わせ、体中に溜めたエネルギーを掛け声とともに一気に放つ! この「静」から「動」に一瞬で変わる迫力が空手の大きな魅力の一つ。
ウォーミングアップ
四股立ち
猫足立ち
蹴り
突き
受け
「前に前に! 負けるな!」という先生の激励に押されて、足立さんも「えい!」と、気迫ある掛け声。その表情は真剣そのもの。最初は少し照れながら繰り出していた蹴りや突きも、いつしか見違えるほど力強く。「空手の形は、何度も繰り返し練習することが大切です。そのとき、気持ちは常に“前に前に”。負けずに自分自身を出し切ってください」と、佐久本先生。そして最後は、心静かに全員で黙礼。約1時間半の稽古があっという間に終了したのだった。
空手は“心の文化”。心身を磨くことで、内面まで美しい女性に。
足立 今日、人生ではじめて空手を体験させていただいたのですが、想像以上に楽しかったです!
佐久本 それは良かったです。足立さんはとても呑み込みが早いので、もしかして経験者ではないかと思うほどでしたよ。
足立 実は子供の頃に少林寺拳法を習ってたんです。ただ、似ているように見えてカラダの動かし方は少しずつ違ってくるので、コツをつかむまでが大変でした。
佐久本 空手の形はテクニックももちろん大事ですが、私が伝えたかったのは“空手を好きになってもらいたい”という気持ちです。短い時間でも、達成感を得ていただけたなら嬉しいですね。
足立 ところで、空手は沖縄が発祥の武道なのですか?
佐久本 そうです。もともとは中国拳法と沖縄に昔からある「手(てぃー)」と呼ばれる武道が融合してできたといわれています。沖縄では、約8割の公立中学校の授業で空手を教えているんですよ。
足立 8割も! それはすごい。
佐久本 最近は、国内外を問わず空手を始める女性も増えています。所作や姿勢は良くなりますし、とにかく汗をかくので健康的だと思いますよ。
足立 汗をかくと代謝が上がってお肌にもいいですよね。それに、形のトレーニングはいろいろな筋肉にちょうどいい負荷がかかるので、ダイエットにも良さそう。
佐久本 空手では、体の軸を安定させるトレーニングが重要になってくるので、ボディラインを程よく引き締めたい女性にもおすすめです。
足立 私も、最近ちょうど運動不足を感じていたところだったので(笑)、久しぶりに体を動かせて大満足です。空手の形なら、一人でも場所を選ばず続けられるのも魅力的だと思いました。
佐久本 1畳ほどのスペースがあれば、道具も必要なく始められます。それから、形に集中しているあいだは余計なことを考えずに無心になれるので、精神的にも余裕を持つことができる。それも武道のいいところですね。
足立 確かに、1時間ちょっとの稽古があっという間に感じられました。頭がすっきりして、リフレッシュできた感じというか。先生の「負けるな!」という気合の入った言葉にも励まされました。
佐久本 空手は武道であると同時に、“心の文化”でもあります。何か物事に取り組むとき、自分から気持ちを前に出していくことはとても大事なこと。空手を通じて心の芯を鍛えることで、相手に対する思いやりや気配りの気持ちも育てられるはず。
足立 それはまさに、女性の“内面の美”にもつながりますね。私も、日本の文化である空手の魅力を、もっとみんなに知ってもらいたいと思いました。
【KARATE BEAUTY】 東京オリンピックでは、金メダル以上のものを取りにいきたいです。
鋭い眼光、隙のない足さばき、目で追えないほど素早い突きや蹴り。全日本はもちろん世界空手道選手権でも女子KATA(形)で金メダルを獲得。現在のところ負けなしの絶対女王、清水希容選手。
道場を一歩出ると、23歳のチャーミングな女性。その彼女に空手の魅力を尋ねてみると……。
―空手にハマったのはいつからですか?
「9歳で空手を始めてすぐに好きになりました。とくに“形を打つ”のが好きで。小さい頃は教えてもらったことを自分で体現できるのが楽しくて。思うように動けるようになると、もっと良くしていきたいと思うように」
―形って厳格に決まっていて創作しちゃいけないんですよね?
「そうなんです。だから、ただ打つだけだと単なる形になってしまいます。同じ動きでも自分の感情を表現することで個性が出ます。間合いや緩急の入れ方で人それぞれ全然違う形になるんです。全身を使って自分を表現することがすごく楽しい」
―清水さんが所属する流派、糸東流の特徴をひと言で言うと?
「技のスピード感やキレが特徴だと思います。手の動きが速くてよく見えないってよく言われます(笑)。でも私の性格に合ってます」
―どんな性格?
「わー! って表現したいタイプ。じわじわ形を打つのが苦手でわーっと爆発的に表現したいというか。なので、今日みたいに撮影で普通に歩いてくださいと言われると、どうしていいか分からなくて、動きがぎこちなくなります」
―でも、とても姿勢がいいです。
「日常生活に形が影響してるんです。学校の体育でダンスの課題があると、形っぽくなってキレが出てしまったり。走り方も姿勢が良すぎてターミネーターみたいって言われてました(笑)」
―ダラダラすることはない?
「ありますよ。でもあまり姿勢が崩れると、変な部分が痛くなって形に影響が出てしまうんです。それを元に戻すのが大変。本当はグダグダするのも好きですけど形のために気をつけてます」
―そこまで、徹底してるんですね! 姿勢以外にカラダへの影響は何かありますか?
「突きや蹴りで肩甲骨を動かしたり普段固まりやすい股関節を動かすので、とてもバランスのいい全身運動だと思います。形は最大の力を出してそれを止めるので体幹の力も付きますし血行も良くなって柔軟性も高まります。それと集中力。ちょっと調子が悪いなと思うと技の冴えがなくなります。そういう意味で心もカラダも一体になれるんじゃないかと思います」
―生活すべてが空手! という感じですね。形の練習はどれくらいするんですか?
「1日6〜8時間です。突きの動きひとつに何時間もかけることもあって、あっという間に終わっちゃうんです」
―1日8時間!? お休みは?
「とくにないです。カラダが疲れたら1日休むという感じ。今日みたいにお洒落したいなとも思うんですけど休みの日は疲れ切って外出できない(笑)。元気なときは郊外に行って星を見たり自然に触れてぼーっとするのが好きです」
―そういう練習の成果が東京オリンピックで見られるんですね。抱負を聞かせてください。
「みなさんと同じように私も金メダルを目指していますが、東京オリンピックでは今までで最高の形を打ちたいです。私の形を見て、心を打たれた、印象に残ったと言ってもらえる選手になりたい。金メダル以上のものを取りにいきたいと思います」
【KARATE EXERCISE】 毎日の美カラテエクササイズで、カラダとココロを磨く。
「空手の形では100%の力を出して最後にピタッと動きを止めます。そのときにお腹にぐっと力を入れるので体幹が鍛えられ、ウエストが引き締まります。ストレス解消にもなって気持ちも強くなり、集中力も養えますよ」
おヘソから指3本分下にある丹田を意識して、3秒間鼻から息を吸い、12秒かけて口からふーっと吐く。これを数回繰り返した後、基本の立ち方から練習してみて。
1. 常に丹田を意識するので、体幹が安定して姿勢も良くなる。
2. 一つ一つの動作に集中することでインナーマッスルが鍛えられる。
3. 突きや蹴りなど力強い動作は、ストレス解消にも効果的。
2周で3分! 美カラテサーキット。
START! 四股立ち → 突き → 受け → 蹴り ( → 上級編:回し蹴り)
空手の形の動きを連続して行うカラテサーキット。突き、受け、蹴りの動作を素早く行い、最後にピタッと止めることがポイント。動作には十分にタメを作り、動かす部位に意識を集中させることが大切です。2周行って約3分でフィニッシュ。蹴りの動作の「回し蹴り」は上級者用。慣れてきたら挑戦を。
基本の立ち方3種類にさっそく挑戦!
突きや受けのときの四股立ちは下半身を強化する立ち方。前屈立ちは突き、受け、蹴りの際に多く使用する立ち方。猫足立ちは接近戦で用いられる立ち方です。いずれも丹田に力を入れて。
股関節を思い切り開いて腰を落とし、つま先を45度外側に開く。太ももが膝に向かって水平に近くなるように。背すじはまっすぐ。
NG:膝の角度が大きく、腰がしっかり落とし切れていない。お腹にぐっと力を入れて。
左右の肩甲骨をしっかり動かし、拳を前方に突き出して止める!
相手のみぞおちを突く動き。拳を握って腋を締め、拳で前方を突くと同時に反対側の肘を後ろに素早く引く。突くときは最後に手首を返しピタッと止めること。左右交互に10回。
扇を描くようにして相手の突きを素早く受ける!
相手の突きを受ける動き。左腕の肘を曲げて拳を前に、右肘を後ろに引く。右手の拳を左腕の内側に滑らせてから、扇を描くように右手を内側から外側にはらう。左右交互に10回。
膝下を鋭く前に蹴り出す! バランス感覚がかなり重要。
左足を前に出した前屈立ちで左手の拳を前に。右膝をお尻より高く上げたら膝下をまっすぐ伸ばし、相手のヘソ下を蹴る。膝を曲げて元の姿勢に。最初は壁に手をついてもOK。
これができれば上級者。軸足を回転させて蹴り!
前屈立ちから膝を曲げて右の太ももを外側に引き上げる。かかとはお尻の高さ。軸足のかかとを前側に回転させつつ、右足で回し蹴り。