
『nope steam & wine』の蒸し点心。手前から〈手作り点心盛り合わせ〉¥680~ 〈豚スペアリブ 豆鼓と唐辛子蒸し〉¥1,480 〈旬野菜の蒸籠蒸し〉1人分¥880 ナチュールが揃うグラスワインは16種類あり¥680~
海外発グルメが多数トレンド入りしている2025年。ananトレンド大賞2025、フード部門から、“Neo点心”をご紹介。
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【Neo点心】せいろ蒸し料理のブームが自宅を飛び出し外食にも波及!?
蓋を開けた瞬間に湯気が広がるライブ感もたまらない
今年は自宅で作るせいろ蒸し料理が大ヒット。レシピ本が次々出版され、せいろや蒸し器が飛ぶように売れるという話題も飛び込んだ。そんななか蒸し器を使う中華の点心も、にわかに注目に。
「点心とは、中華圏発祥の軽食や甘いお菓子のこと。焼き小籠包などもそれにあたり、必ずしもせいろに入っているわけではありません。ただ最近は“スチーム”を謳う中華料理店が出てくるなど、せいろで蒸した点心への注目度の高まりを感じます。自宅で作るせいろ蒸し料理のブームが、外食にも影響しているのかも。小さなせいろが目の前に運ばれ、蓋を開けると湯気とともに点心が現れる…。あくまで私見ですが、そんなシズル感も人気の要因なのではないでしょうか」
と話すのはフードライターの小石原はるかさん。こぢんまりとして洒落た中華料理店が増えているのも、スチーム点心の人気に繋がっているのではと考える。
「最近は、ワインと楽しむ小皿の中華を提供する質の高い店が安定的に支持を集めています。今回紹介している『nope steam & wine』や『yum』がまさにそう。一方、庶民的な『七星潭茶楼』などもあり、それぞれ個性が異なるのは、小規模店ならではだと思います」
SUMMARY
・蒸し料理のトレンドが外食の点心にも影響。
・蓋を開けると湯気が立つ。その絵ヂカラも魅力。
・普段使いから特別な日まで、店の個性もさまざまに。
今年は自宅でのせいろ蒸し料理が人気となり、中華店の点心にも注目が集まる結果に。湯気とともにアツアツの点心が現れるビジュアルも、人々の心を掴んでいる。ワインと一緒に点心を楽しむ店や、日常使いできる店など、選択肢も幅広く、存在感を高めた。
本格的な広東の点心をカジュアルに味わう
『nope steam & wine』は、スチーム中華を主役にした店。広東料理を学んだ高木祐輔さんが、ヘルシーかつ幅広い人になじみやすい料理をワインとともに提供する。「スパイスを活かした創作中華とワインが楽しめることで人気の『nope』に次ぐ新店。焼売や湯葉巻きといった点心はもちろん、それ以外の蒸し料理もいただけます」
『nope steam & wine』東京都武蔵野市西久保1-3-10 CHOUETTE MUSASHINO 1F TEL. 042-227-8116 11:00~14:30(14:00LO)、17:00~22:00(21:00LO) 水曜休、不定休
点心のひだまで美しい。珠玉の一品をワインとともに
点心とワインのペアリングを楽しむなら、ここは外せない! 点心師の西原みのりさんが腕を振るう人気店。「西原さんは、『グランド ハイアット 東京』の『チャイナルーム』など、名店で点心師としての経験を積んだ方。例えば海老とモロヘイヤなど、オリジナリティのある組み合わせの点心が得意。形成も美しく、とても仕事が丁寧で、工夫を凝らしていることが伝わります」
『yum』東京都渋谷区幡ヶ谷1-6-5 幡ヶ谷コーエイマンション1F TEL. 03-6300-0440 17:00~23:00(22:00LO) 木曜休、不定休
供されるのは台湾の点心。王道人気のメニューが嬉しい
台湾の都市・花蓮(カレン)に魅せられたという店主が一人で切り盛りする店。小籠包や海老餃子など日本でも人気の蒸し点心6種類がスタンバイ。「料理も空間も実直な印象。手作りの点心は素朴ながらも味わい深い。台湾のお酒やお茶、そして壁に貼ってある台湾の地図や写真など、そこかしこから台湾愛が感じられます」
『七星潭茶楼』東京都江東区亀戸6-9-7 第九共立ビル104 TEL. 03-5858-9922 平日12:00~14:00、17:00~22:00 土・日・祝日14:00~17:00、17:00~22:00 火曜・第3水曜休
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Profile
小石原はるか
フードライター。ジャンルを問わずさまざまな飲食店を巡り、雑誌やWebなどで執筆を行う。共著に『東京最高のレストラン』(ぴあ)、著書に『自分史上最多ごはん』(弊社刊)などがある。
anan 2467号(2025年10月15日発売)より