エシカルフードを選ぶとき、知っておきたいことは?
エシカルな消費を心がける際に目を向けたいのが、食の分野。
「日本のエシカルフードは、フードロス対策やアップサイクル、オーガニックなどの環境配慮に対しては積極的で関心も高まっています。その一方で、労働者の人権配慮やアニマルウェルフェアに関しての理解はまだ足りていない部分が。これらを意識した消費がよりよい未来づくりに欠かせないのではないでしょうか」(農畜産物流通コンサルタント・山本謙治さん)
生産や流通など、食に関わるすべての人や動物などに配慮されているのが本来あるべき社会の姿だとすれば、私たちが今後意識すべきこととは?
「まずは知ろうとする姿勢が大切です。買う前に検索し、生産背景を調べるだけでも違うはず。そして買い物をする際、一人ひとりが5回に1回でもエシカルな消費を意識すれば、それだけで大きな力になると思います」
たとえば、特別な日に自分にご褒美を買うのと同じように、エシカルなものを購入するのもひとつの方法。3人の識者がおすすめするエシカルフードをご紹介します。
1、フィシュル!
未利用魚のミールパック
市場に出回ることなく大半が廃棄されてしまう未利用魚と呼ばれる規格外や傷みやすい魚をミールパックにしたサブスクサービス。「若い世代にも魚食を広めたいという思いから、和洋中と幅広いテイストや、豊富な魚の種類で、普段使いにぴったり。鮮度のよい魚を瞬間凍結しているので、フレッシュな味わいでおいしい」(フードナビゲーター・柴田香織さん)。6パックおまかせ便初回限定¥3,773。https://fishlle.com
2、斗々屋
はらぺこ
上・14種類のお野菜コトコト整い美ネストローネ
右下・タンパク質+ひよこ豆のサジカレー
左下・癒しのイエローアンチエイジングポタージュ
無添加でカラダにやさしいレトルト。「放牧豚を使ったり、ヴィーガン対応のカレーやスープは、瓶のまま加熱できゼロウェイストな生活にぴったり。レトルトに頼りたい日に重宝します」(サステナブルフードPR、ライター・松浦裕香里さん)。美ネストローネ¥530、カレー¥840、ポタージュ¥520※瓶のデポジット代¥100。CIRTY BIOSK by Totoya/東京都渋谷区代官山町20‐12 TEL:03・6826・0339 11:00~18:30 不定休
3、磯沼ミルクファーム
ジャージーヨーグルト オールスター
アニマルウェルフェアの概念を取り入れた酪農を実践する牧場。「八王子という立地を生かしたオープンな牧場は多くの人にとって学びの場に。牛の名前や接し方からも、愛が伝わります。健やかに育った牛のヨーグルトは、脂肪分を均一化しないノンホモ製法。上部に脂肪分のクリーム層ができるので、ここを食べるのも楽しみ」(柴田さん)。500ml¥1,080。https://www.isonuma-milk.com/
4、りんねしゃ
草地放牧牛 ソーセージ
北海道よつ葉乳業ノンホモ牛乳を生産する酪農家で役目を終えた、経産牛の肉を使用。よつ葉乳業独自のアニマルウェルフェア基準をクリアしている。「大役を終えた牛たちの命を最後まで大切に食べ切るという理念に共感します。一般的に、経産牛の肉は食用には適さないといわれますが、赤身肉のコクが引き立っておいしい」(松浦さん)。約240g(3本)¥1,720。https://rinnesha-shop.com
5、PURE RARE
豚バラ、豚ロース
環境先進国フィンランドで抗生物質不使用の100%フィンランド産飼料を使い、アニマルウェルフェアへの配慮だけでなく、処理場・加工場の電力に再生エネルギーを使用するなどエシカルを徹底。「日本ではとても実現できないであろうサステナビリティへの配慮にあふれる環境で生産された豚肉で、味もおいしい」(農畜産物流通コンサルタント・山本謙治さん)。300g各¥698*編集部調べ。日鉄物産株式会社 TEL:03・6772・5086
6、ヤマキ醸造
とうふのマヨ
豆腐の製造余剰分や、角が欠けて製品化できない豆腐をアップサイクルしたプラントベースのマヨネーズ風ドレッシング。食品添加物不使用や国産素材にこだわり、豆腐のやさしい風味とコクが印象的。「製造段階で不可避的に出てしまうフードロス対策に取り組む商品。よいエシカル、よい循環を体現しているので応援したいと思えます」(山本さん)。150g¥734。https://yamakijozo.shop/
7、おおち山くじら
おおち山くじら3缶ギフトセット
(イノシシ肉のスパイス煮込み、イノシシ肉の黒ビール煮込み、イノシシ肉のポトフ)
獣害対策で捕獲されたイノシシの肉を活用した洋風煮込みの缶詰。「ジビエを食べることは、山や森、遠い未来の私たちの生活を守ることにつながるアクションだと思います。スパイスやハーブを使って作られた無添加の煮込み料理は、驚くほどコク深い。ジビエ料理はハードルが高いと感じる人にも、取り入れやすいおいしさです」(松浦さん)。200g×3種¥3,100。https://yamakujira.jp/
山本謙治さん 農畜産物流通コンサルタント、農と食のジャーナリスト。農産物の流通業を経て独立。農業・畜産の商品開発やマーケティングに携わる傍ら、地域の郷土料理や特産物の魅力を伝える活動をライフワークに。
柴田香織さん フードナビゲーター。食とコミュニケーションをライフワークに、食に関わるディレクションや執筆、プランニングなどを行う。2拠点生活を送る湯河原では、不定期で食をテーマにしたワークショップを開催。
松浦裕香里さん サステナブルフードPR、ライター。オーガニック食品メーカー広報を経て独立。自分にも地球にもサステナブルな食を中心とするPRやブランドコンサルティング、執筆業などを通し持続可能な食の楽しみを伝える。
※『anan』2024年3月13日号より。写真・清水奈緒 スタイリスト・野崎未菜美 取材、文・宮尾仁美
(by anan編集部)