生産過程がわかるものを選ぶことが第一歩。
私たちの暮らしと直結し、日々必要となる食品は、エシカル消費の中でも最も身近な存在といえる。選び方の基準としては、
「誰が作っているかがわかり、その姿勢に共感できるものを選ぶことが大切だと思います」と、ライターの齋藤優子さん。フードナビゲーターの柴田香織さんも同様。
「私が選ぶようにしているのは、“モヤモヤしないもの”。つまり、どんな材料でどう作っているのかを自分が知っているものを選ぶこと。オーガニック認証などは一つの基準ですが、声高に主張していなくてもエシカルな取り組みをしている作り手はたくさんいます」
たとえばそのオーガニック食材。体へのやさしさに注目されがちだが、化学合成農薬などを使用しないことから、これを選ぶことで環境への負荷を減らすことにもつなげられる。また、日本では年間643万tともいわれる食品ロスの問題。その歯止めとしては、買いすぎないのはもちろん、食材を無駄なく使いきるよう工夫している作り手を選ぶことも大切だ。
ほかにも家畜が健やかに暮らせるよう飼育環境が整えられたり、海の生態系を壊さないように漁が行われていたりと、生物を取り巻く環境に配慮した生産者も、近年は増えてきている。
しかし一方で、肉や魚を食べること自体が、環境に負荷をかけているという考え方もあるという。
「なかでも食肉は、エサとなる穀物を作るための水と動物自体が飲む水が必要に。水不足が深刻な今、ときには動物性の食品を食べない日があってもいいのでは。そのうえでヴィーガンは有効だと思います」(ライター・斉藤アリスさん)
朝ごはん
地域再生を目指して、地元の食材で作るパンや、牛の豊かな生育環境が想像されるヨーグルトなど。エシカルな朝食が、一日の始まりに活力をくれる。
牛と人の幸せを大切に。愛情いっぱいのヨーグルト。
磯沼ミルクファーム「天使のほほえみヨーグルト」300ml¥1,134(税込み)
敷地内を牛が自由に歩けて、牛舎の衛生管理も行き届いている。みんなのびのびしていて人懐こいんです」と、牧場を訪ねたことがあるという斉藤さん。そんな牛の乳で作られるヨーグルトは、乳脂肪分が一般的なヨーグルトの2~3倍にあたる8%と濃厚。ミルク本来の甘さとクリーミーな食感で、感動のおいしさ。東京都八王子市小比企町1625 TEL:042・637・6086 http://isonuma-farm.com
コーヒー豆の副産物で作る甘酸っぱいシロップ。
海ノ向こうコーヒー「カスカラシロップ」300ml¥825
カスカラとは、コーヒーの種を包む赤い実のこと。「捨てられることが多いカスカラをシロップに。環境保全につながるのと同時に、アジアのコーヒー農家の新たな収入源として開発されたという点でも応援できる」(齋藤さん)。甘酸っぱいカスカラシロップは、レモンを搾って炭酸水で割ると爽やか。坂ノ途中 京都府京都市下京区西七条八幡町21 TEL:075・200・9773 https://uminomukou.com
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地元食材のパンで、地域の農業を支える。
かまパン&ストア「かまパンの朝食セット」¥3,000
“地産地食”を合言葉に、地元・神山町の食材でパンを作る『かまパン&ストア』の朝食セット。「神山の気候風土の中で培養した酵母を使ったパンはどっしりしていながらもちもち。小麦の栽培も始めているそうです」(齋藤さん)。セット内容は、パン3種とホットケーキミックス、キウイすだちソース、コーヒー。徳島県名西郡神山町神領字北190‐1 TEL:088・676・1077 https://foodhub.shop-pro.jp
柴田香織さん フードナビゲーター。伊勢丹三越研究所の食品ディレクターを経て、東京―湯河原2拠点で活動準備中。
齋藤優子さん ライター。『BRUTUS』『Hanako』などでフード記事を数多く執筆。食だけでなく洗剤などもエシカルな品を選ぶよう心がけている。
斉藤アリスさん モデル、ライター。Hanako webにて「alice’s tokyo walk」を連載中。著書は『斉藤アリスのときめきカフェめぐり』(エイ出版)。
※『anan』2020年4月8日号より。写真・田村昌裕 スタイリスト・中根美和子 取材、文・保手濱奈美 撮影協力・UTUWA
(by anan編集部)