とんでもないサンドイッチだ。バンズからはみだす相当な分厚さのほの温かいパストラミにかじりつけば、スモーキーな香りと共に肉の底知れない旨味がぶわっと立ち上がる。なんてこった。浅草橋から6月に芝浦へ移転した『THE GOOD VIBES』は、パストラミサンドイッチの常識を覆す。かつてニューヨークで食べたそれは薄切り肉がパサパサして塩っぱくて冷たくて、雰囲気込みのおいしさなんだなあ……と思わずにはいられなかったのに。
この革命的な味わいを生み出したのは米澤文雄シェフ。ニューヨークの『Jean-Georges』で腕をふるった経歴を持ち、現在は青山『The Burn』の料理長を務める。「牛バラ肉をじっくり塩漬けし、柔らかくなるまで煮込み、さらにスモークし、5日間かけて仕上げます。僕の料理人生で最高で最強のパストラミです」と、手の掛け方と気合が異常。さらにキャロットラペや粒マスタードの甘みや酸味を添え、料理としての完成度を高めている。原動力は「アメリカの食文化の本当の魅力を伝えたい」、その一心。
ハンバーガーやピザだけがアメリカの味ではないのだ。他にも、コールスローを合わせたジューシーなエスプレッソBBQポークサンドや、熟成肉メンチカツサンドなど、動転レベルのサンドイッチがずらり。いつかアメリカに出店して全米を震撼させてほしい。
自家製 手仕込み ビーフパストラミサンド¥1,450、自家製レモネード¥450。NYのソウルフードを米澤シェフなりの解釈と技術でアップデートする。
「教科書通りの作り方はあるけれど、それでやるからおいしいとは限らないんです」
Sandwich joint THE GOOD VIBES 東京都港区海岸3-13-12 バウハウス芝浦1F TEL:03・6811・5639 10:00~19:00(18:00LO/モーニング10:00~11:30、ランチ11:30 ~14:00 、カフェ&ディナー14:00~19:00) 無休
ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
※『anan』2019年7月3日号より。写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子
(by anan編集部)
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