定番レシピを科学的に検証。失敗しないポイントがわかる。
料理家の樋口直哉さんは「ブログの強みはレシピの行間を書けること」と話す。「行間」とは、なぜその工程が必要かを示した「根拠」のこと。樋口さんはその意味を丁寧に解きほぐす。なぜなら、ここに料理上達のポイントがあるから。
「料理って“意思決定の連続”なんです。切り方や火加減をどうするか、調味料を入れる順番など、決めることがたくさんありますよね。そんなとき、レシピをなぞるだけでなく、料理の構造や原理原則を理解していれば迷うこともなくなります」
例えばハンバーグの作り方。
〈肉ダネに卵を入れない理由〉は、目からウロコ。
「理由は単純。今と昔では食材の品質が異なります。挽き肉の鮮度は昔に比べてよくなっているので、結着力を補うための卵はもう必要ないんです」
さっそくハンバーグを作ってみたら…卵を入れない分、肉の味がしっかりしておいしい!
「ときにはタンパク質の働きなど、理科の時間みたいな話をすることもあります。でも、科学的根拠を並べるだけでは読者にお届けするレシピにはなりません。目指すのは、“ちょっといいふつうの味”。その目標に向かって、今まで当たり前だと思っていた工程をひとつひとつ見直し、現代の食材に合わせて、レシピをアップデートしていきたいと思っています」
思わず「なるほど!」と膝を打つ、樋口さんの説得力のあるレシピから目が離せません。
『新しい料理の教科書』「note」に綴ったブログを書籍化。ハンバーグやオムライス、唐揚げなどの定番料理のレシピを検証し現代の食材に合わせて再構築。今は必要ない調理工程や意外な料理のコツに驚きの連続。来年1月刊行予定。予価1400円(小社刊)
ひぐち・なおや 料理家、作家。服部栄養専門学校卒業。『おいしいものには理由がある』(KADOKAWA)など著書多数。
メインの野菜はひとつだけ。初心者にやさしい快適レシピ。
スープ作家の有賀薫さんが、毎日スープを作るようになって7年。手間も時間もかかりそうなのに、たいへんでは?
「『スープ・レッスン』で紹介しているスープは、メインになる野菜はひとつ。調理時間も早いものだと5分くらいです。例えばにんじんスープの材料は、にんじん、塩、油だけ。鍋に入れて少量の水でしっかり蒸し煮すれば、市販のコンソメを使わなくても十分なんです」
「cakes」に掲載すると、「にんじんのおいしさをはじめて知りました」と、コメントが寄せられた。シンプルすぎて印象に残る写真も反響を呼んだ。
スープを作り始めた頃は、有賀さん自身も段取りに面倒くささを感じていたそうだ。
「あれもこれもとつい材料を加えてしまい、今思えば自分で手間を増やしていました。でも、担当編集さんに「この食材、本当に必要ですか? 極限まで減らせませんか?」と聞かれて考え直してみたんです。そうしたら、なくても十分成立すると気づいて楽になった。その代わり、少ない材料でも旨みをしっかり出す方法を研究しています」
野菜の焦げ目を利用したり、蒸し煮や炒め煮で素材のおいしさを引き出すと、味わい深いスープが生まれた。
「シンプルすぎて、食べてみるまで不安かもしれません。でも、旬の野菜は十分おいしいから大丈夫。その上、効率的で経済的、健康にもいい。スープ作りが楽しくなったら嬉しいです」
『スープ・レッスン』「cakes」の連載から生まれた本。少ない材料で、旬の野菜を使ったスープレシピを紹介。旨みを引き出すポイントをおさえれば、誰でも簡単においしいスープが作れる。1300円(プレジテント社)
ありが・かおる スープ作家。「note」「cakes」などで発信中。著書に『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(文響社)ほか。
※『anan』2018年12月5日号より。写真・中島慶子(樋口さん) 取材、文・神武春菜
(by anan編集部)
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