
イラストレーターの杉浦さやかさんによる『東京ホリデイ 花さんぽ』をご紹介します。
癒しと非日常なひとときを求めて。花や緑の名所を歩く12か月の記録
12月はイチョウの葉が舞うキャンパスで晩秋の澄んだ空気を満喫。2月はひと足早く春の気配を感じに梅詣でへ。イラストレーターの杉浦さやかさんによるおさんぽ本の第3弾は、東京の街を彩る花や木々がテーマ。季節ごとに見頃を迎える植物をめぐって散策した一年が、優しいタッチのイラストとともに描かれる。
「昔からお花は好きでしたが、年齢を重ねるほどに関心が増してきて。疲れを感じることも多くなったからか、自然に包まれると気持ちが明るくなるんです。友達とも若い頃はお買い物ばかりしていたけれど、近頃は庭園に行くようになりました」
庭園や公園がお目当ての“花さんぽ”の場合、開始時間が重要に。
「混雑が少ない朝の時間は気持ちよくさんぽができるので、早めの行動を心がけています。花や緑でリフレッシュしたら、周辺のお店が開き始める時間。コースをガッチリ決め込まず、きょろきょろしながらそぞろ歩きするのが理想です」
素敵な場所を見つける秘訣を尋ねると、「下調べは大事だけれど、結局のところなんでも面白がる気持ちが大切なのかも」とのこと。その言葉通り、どのエリアにも温かなまなざしが注がれているのを感じるが、自身のお気に入りのページは?
「母と行った旧古河庭園のバラと洋館を描くのはすごく楽しかったですね。素敵な着こなしで訪れる方が多く、ファッションウォッチも心が躍りました。母もお花が好きで、子供の頃は一緒にさんぽをするたびに花の名前をたくさん教えてくれました。名前を知るとぐんと親しみが湧いて、風景の一部だったものが友達のように思えるんです。私も娘に花の名前を教えながら歩いていますが、どうやら聞いていなさそう(笑)」
おさんぽ本の第1弾『東京ホリデイ』の出版から22年。東京という土地を歩き続けてきた杉浦さんは街の変化をどう感じているのだろうか。
「お店がどんどん入れ替わるのを寂しいと感じた時期もありましたが、下町風情と若者のお店が融合した清澄白河のような街も含めて最近は面白いなと感じるように。それに、緑がある場所って実はあまり変わっていないんですよね。だからこそ、たまに訪れると非日常を味わえる部分も。東京にはそういった庭園がたくさんあるので、一度足を踏み入れてみると新しい世界が開けるのでは」
Profile
杉浦さやか
すぎうら・さやか 1971年生まれ、東京都出身。美大在学中よりイラストレーターとして活躍。可憐なタッチが幅広い世代から支持され、『わたしたちの歳時記』(ワニブックス)など、著書多数。
information
『東京ホリデイ 花さんぽ』
花や木々が楽しめる13のエリアから、171のスポットを紹介。本文には描ききれなかった周辺情報が描き込まれた、手描きの地図も必見です。祥伝社 1760円
anan 2476号(2025年12月17日発売)より

























