堂本光⼀さんの4年ぶりとなるコンサートツアー「KOICHI DOMOTO LIVE TOUR 2025 RAISE」が現在開催中。圧巻のダンスパフォーマンスで“堂本光⼀の世界観”を体感できるステージから10⽉11⽇(⼟)に横浜アリーナで⾏われた公演をレポートします。


前回のツアー「KOICHI DOMOTO LIVE TOUR 2021 PLAYFUL」から4年──。コロナ禍の制限がない状態での満を持しての完全解放ツアー。オープニングは、どんなに燃え尽きても歩みを⽌めずに踊り続けると誓う、⼈⽣を⿎舞する壮⼤なナンバー「The beginning of the world」から。12名のダンサーを従え、圧巻のパフォーマンスで会場を魅了。ペンライトをオフにしての演出で真っ暗な会場を炎の特効が眩しく照らした。そして、「皆さん、ようこそいらっしゃいました。今⽇を最⾼の⽇にしましょう。最後までよろしく」と光⼀さんが挨拶すると、前回のツアーラストで歌った「Time to go」など、「PLAYFUL」の楽曲を再現するブロックへ。4年前と今が繋がるステージを届けた。

まずは「約4年ぶりのツアーとなりまして。お待たせいたしました。お久しぶりでございます」と会場に集まった1万5000⼈に挨拶。「4年前がコロナ禍ということで、全席着席で声を出さないお願いをしながらのライブになりましたが、それ以来のライブです。お客様のステージを⾒るマナーもすごく出来上がっていて、もう⼀⽣座ったままのライブでもいいんじゃないかと思ったぐらい、とても素敵なライブではありました」と前回のソロライブを振り返る。そして、「10代の頃から応援してくださっている⽅? 10代の頃から応援してくださってるということは、30年前からですよね。どこで道を間違ったか、最近応援し始めたという⽅ももしかしたらいらっしゃるかもしれません。初めて私のライブにお越しくださった⽅も中にはいらっしゃいますか?」と、質問を投げかけ、ファンとコミュニケーションタイム。初めてと⼿を挙げた会場のファンを⾒て、「いらっしゃいませ。ありがたいなぁ。いいんですか? 寺⻄くんじゃなくて(笑)」と笑わせる。

横浜アリーナでの公演は、3⽇間で4公演。1⽇2回ステージに⽴つハードな⽇もあるということで、「私はM気質なもんで頑張っちゃうんですけど。明⽇のことは考えずに、今⽇は今⽇のことを…。舞台もライブも今しか作り上げられない空気感というものがありますから、今という時間を楽しんでいきたいと思います」と宣⾔し、ここからは4年ぶりの待望のソロアルバム『RAISE』の世界へ突⼊。

「RAISE」には気持ちを⾼める、盛り上げる、励ますなどの意味があり、新たな⼀歩をテーマにしたアルバムの楽曲たちは、まさに気持ちが⾼まるドラマティックな曲ばかり。ボーナストラックに収録した「I」も披露。この曲は、「薄荷キャンディー」のカップリングで光⼀さんが作詞・作曲した⼈気曲だ。⼥性⽬線で歌っており、「20歳そこそこで、⾃分でもよく書いたなって⾃分で⾃分を褒めてあげたい(笑)。40後半になった私が20代で作った曲をどんなふうに表現するか聴いていただければ」とあの頃より⼤⼈の魅⼒を滲ませながら、歌う場⾯も。ここからは、ミステリーツアーの世界観に迷い込んだような⾮現実の世界観にどっぷり誘われる。ファンクラブの⽣配信でニューアルバムの収録曲の中でも好きだというコメントが多かった「ホテル・ミラージュ」ではダンサーと華麗にステップを踏み、ミュージカルスターの⾵格を漂わせる。かと思えば「Satisfy」では、⽣バンド演奏のリズムと⼿拍⼦の⾳に⾝を委ねながら、パッション全開でロックにシャウト! ファンが求める堂本光⼀像に寄り添いながら、王道でありながらも、新たな⾳楽の世界を追求する姿勢が伝わってきた。

光⼀さんのライブでの楽しみは、時間を忘れるほど軽快なMC。光⼀さんの公演の前に横浜アリーナでNEWSがライブをやっていたことに触れ、「先ほどまっすーが来てくれて、楽屋で会いましたけど。『NEWSもツアーやってんでしょ』って⾔ったら、『おととい、僕ここにいました』って。ということは、ステージの何か使い回ししてるかと思うかもしれませんが、そんなことは、ございません。唯⼀、使い回してるのは会場のサービス映像です。あれは僕が向こう側に⾏った時に顔が⾒えるように…と思いきや、あそこに歌詞が出てるんです。ほとんどね、ピンスポットの逆光で⾒えないけど(笑)」と明かしてから、「久しぶりに名古屋公演でコンサートやって、お客様の顔がね、本当にキラキラしてました。あ、顔は⾒えてないって⾔ってるから、⽭盾が⽣じるか(笑)。でも、キラキラしていて。こんなにも待ってくださっていたんだ、ありがたいなって」と感謝の想いを語る場⾯も。

ファンクラブも新しく発⾜されたことから「お⾦のかかる時代だからね、もう皆さん、取捨選択を⾃分でして⼊会していただければ。もう何でも⾼い。⽶も⾼いね〜! ちょっとずつ下がってるけど、ガソリンも⾼いじゃないですか」と昨今の物価⾼に触れ、「今、ハイオクで172円ぐらいかな。昔は120円で。コンビニでペットボトルの⽔500mlが100円ちょっとで売ってたでしょ。ガソリンのほうが⽔より安いんだ。⽔のほうが⾼いんだぜ。私の世代は⽔道⽔を飲んでた時代で、皆さんも同じくらいですかね(笑)」と親しみを感じさせる話も。「⾃動販売機で⽔が買えるようになってさ、飲んだら味せーへんやないかい。あのカルキの味が⽔の味だと思います。その時代でしょ? いや、私はその時代じゃないっていう⽅、⼿を挙げてもらってもいいですか」と客席に尋ねるとチラホラ⼿が挙がり「嘘つけ!!」とツッコむというお客さんとのやりとりが⾯⽩い。

「いろんな時代の移り変わりっていうものをね、僕ぐらいの短い⼈⽣でも経験して。でも、短い⼈⽣といっても、⾃分の寿命を半分超えちゃってますけどもね。明治時代だったら、死んでいる年齢ですから。今の医療にも感謝ですよ」。そこからコロナ禍の時、コンサートや舞台を開催しながら、いろんなルールを設けていつも通りにできないことから、エンターテインメントをどう盛り上げていくのが正解か悩んでいた話に。その時、お世話になっているお医者さんから、『光⼀さんたちができるのは、こんな時だからこそ、本当に皆さんに元気を与えること。それは医者にはできないことなんです』って、おっしゃってくださって。すごく励みになった」と、しみじみ。

コロナ禍からは怒涛の変⾰の⽇々を送ってきた光⼀さん。「会社も変わったり、ファンクラブも変わったり、もういろんなことが⼤変で。オープニングの『The beginning of the world』はとにかく突き進んでいくんだというようなメッセージも込められた曲を歌いました。ソロでアルバムを作るのも悩んだんですよね。⼀体、⾃分はどんな曲を表現すればいいんだろうって。昨年、『SHOCK』の幕を下ろして。そんな⾃分がソロでライブをやるにあたって、どんな曲を表現しようってスタッフの⽅と相談してもなかなか曲を決めることができなかったんですけど。『The beginning of the world』に出合ったことで、今の状況だからこそ、ここからスタートなんだよ、ここから幕が上がっていくんだという強いメッセージを込めた。この曲が決まってからは、トントン拍⼦でアルバムが出来上がっていきました」と、こういう時代だからこそ、エンターテイナーとして⾃分らしく、どんな楽曲を届けるのか模索していたことを明かす。

そして、話題は25〜6年もの⻑きにわたってのライフワークだった『SHOCK』がラストを迎えたことについてに及ぶ。「どうなんですか? やはり『SHOCK』がないっていうのは、皆さんにとっては寂しいものなんですかね?」と会場に尋ねると「寂しい」と声を揃えるファン。ここで『SHOCK』のDVD映像化と映画館での上映が決定した報告をしてスクリーンにダイジェストが映し出されると「こうやって⾒たら、俺カッコいいなぁ。どっちがいいですか。あのコウイチさん(役名)とこの光⼀さん」とファンに確認。「あっち〜」と声を上げる少数派もいたことから、「向こうのコウイチさんがいいなら、(ライブを)⼀⽣やりません(笑)。終わったんだから、受け⽌めなさいよ。あなたも分かって(笑)」とドSモード!?

そして、「ライブももちろん⼤変ですよ。すごく⼤変なんだけど、やっぱ『SHOCK』に⽐べちゃうとね、全然楽なんですよね。楽って⾔ったら⾔葉おかしいか。全然、堪えないんです。俺の体どうなってんだ(笑)。そんなんだから、光⼀だったら⼤丈夫っしょって、このスケジュール。まぁ、いいんです。それに応えて信頼に変わるなら応えてよういう昔の昭和脳なんです、私(笑)」と⾃虐を交えつつ、⼈並外れた体⼒と精神⼒で舞台に挑んでいたことをうかがわせる。

そして、ダンサーと⼀緒にステージを⾏ったり来たり、練り歩く「Night & Bye」については、「振り付けというと、僕はただ練り歩くだけなのに、どこに⾏くのか忘れるっていう(笑)。いや、そういうのが一番難しいんだよ。ずっと動き続けてたので、踊りって覚えられるんですよね」と、歩くだけのほうが踊りより難しいと⼒説して観客を驚かせる。また「ずーっとライブをやってるのにあの⼈、⼿を振らないなって?(笑) 今のところ、⼿を振るような曲がないじゃない、難しいじゃない? 今回のアルバムを作るとなった時、悩みましたって⾔ったけど、最近のサウンドを追っかけてもしょうがないし、⾃分らしさを追い求めたいじゃない? でも、最近の曲を聴いてみたら、『私、すごく可愛いでしょ?』みたいな(笑)。これはどうしたものか。後輩の曲を聴いたら、ラップだらけ。今回、私のアルバムにもラップはあるけど、落ち着いたラップじゃない?」と⾔ってから、⼋百屋のおじさんのような低い声で「YO、YO、メン! 茄⼦、安いよ、安いよ、茄⼦100円!」とラップ調で歌って会場を爆笑の渦に包み込み、「ああいうラップはちょっとできない(笑)。後輩くんがやるとカッコいいけど、僕がやると野菜のたたき売りに…」と、おどけて爆笑が起こった。

ラストスパートの「愛の⼗字架 〜Promise 2U〜」では、2012年「KOICHI DOMOTO Concert Tour 2012 “Gravity”」ツアー以来となる浮き橋の演出が。観客の頭上に「LOVE CRISE」の歌詞にある“夢浮橋”を体現した幻想的な空間に⼀変。光⼀さんが頭上を歩くと下にいるファンがペンライトを盛⼤に振って沸いた。

アンコールでは、胸元が深くV の字にカットされた⾊気全開の⾐裳を着て登場し、会場から「フゥー」という⼤歓声が起こる。「俺に何をさせたい?(笑) いや、これはね、初⽇の愛知のほうでも事件がありまして。衣裳が引っかかるんですよ。腕を上げた時に引っかかって、踊りづらくて。絶対、カッコいいからってデザイナーの⼈が⾔うけど、⾒た⽬よりも踊りを優先したいって話して。調整してもらったのに『これなら引っかからないでしょ』って、背中がさらに開いてた(笑)」とセクシーすぎる⾐裳の裏話が⾶び出した。

「私、今回のコンサートを2時間に収めようとしたんですけども、現在20時20分過ぎ。どうなってるんだ…。いや〜、本当にそんな喋りましたかね?」と通常通りのロングタイムMCだが、あっという間に時間が経つことに驚く。そして、「最後に皆さん暴れていただいて、お別れしたいと思います」と、「IN & OUT」ではトロッコでスタンドの観客の⽬の前へ。歌い終わると「帰り、どうか気を付けて、現実に戻って帰っていただけたらと思います。夢の空間だったでしょう? 夢見心地のままでいると何が起こるかわからないので、現実に戻っていただきたいと思っております(笑)。また、こんな夢の世界が皆さんと⼀緒に作れたらいいなと思ってます」と余韻に浸るファンに優しく呼びかけるジェントルな⼀⾯も。⽣バンドによる極上のサウンドと圧巻のダンスパフォーマンスで魅了した2時間20分。夢の空間を楽しんでもらえる極上のエンターテインメントを届けるためにエンターテイナーとして⾛り続ける光⼀さんを称えるかのような拍⼿が鳴りやまず、会場はいつまでも温かい空気と愛に満ち溢れていた。

⽂・福⽥恵⼦

Share

  • twitter
  • threads
  • facebook
  • line

Today's Koyomi

今日の暦
2025.10.
17
FRI
  • 六曜

    先負

かつて取り組んでいたことに再挑戦する可能性が高い日です。それは「いろいろ寄り道もしたけれど、やっぱり私にはこれが合っている、ここでまた頑張ろう」という意気込みの表れです。ずっとそうしたくても何かの事情で慎重になっていたかもしれません。できるタイミングが来たと感じたなら、そのチャンスを逃さないことです。

Movie

ムービー

Regulars

連載