映画『君の声を聴かせて』に出演したホン・ギョンさん、ノ・ユンソさん、キム・ミンジュさん。ヨンジュン(ホン・ギョン)、ヨルム(ノ・ユンソ)、ガウル(キム・ミンジュ)の3人が織りなす、爽やかなラブストーリーを軸に、三人の魅力に迫ります。

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    自分の体から滲み出るものを自由に表現できるのが手話の魅力のひとつ

    大学を卒業したヨンジュンはやりたいことがなかなか見つからず、両親が営む弁当屋で手伝いをすることに…。そんなある日、配達先のプールでヨルムに一目惚れする。ヨルムは手話でコミュニケーションをとっていたが、ヨンジュンは大学時代に手話を習った経験があり、手話でヨルムとの距離を縮めようとするが…。

    ── ヨンジュンは大学時代に手話を習った経験があり、ヨルムも妹が聴覚障がい者ということもあり、手話ができます。会話のほとんどを手話が占めますが、撮影前にどんな準備をしされたのか、また、手話に感じた魅力を聞かせてください。

    キム・ミンジュ(以下、ミンジュ) 撮影に入る3カ月前から教室に通い、聴覚障がいを持っている方を含め、先生に教えていただきました。日常生活の中で自然と出るように、できるだけ先生とは手話で会話をするようにしていましたね。

    ノ・ユンソ(以下、ユンソ) 手話はとても直感的な言語であると思うんです。たとえば(実際に手話を交えながら)〝写真を撮る〟であれば、カメラを構えてシャッターを押すという私たちが行うような動きですし、〝聞き流す 〟は右耳から左耳に音が素通りする様子を表現します。だんだんと意味が予想できるようになって、面白くなっていきました。正直に言うと手話を学ぶのは大変だと感じていたんですが、やればやるほど興味が芽生え、手話を通じて、私自身が成長できたと思いますし、大きな財産にもなりました。3人で同じレッスンを受けて、スケジュールが合えば集まって練習をして。そうした時間を通じて親しくなれたのもよかったです。

    ホン・ギョン(以下、ギョン) 僕は手話での演技に自由さを感じました。セリフを言葉で発する場合は、声の高低であったり、どこにアクセントを置こうかだとか、いろんなことに気を使います。一方、自分の中から湧き出てくる感情を、言葉ではなく、表情やジェスチャーで表現できるのが手話。なので、できる限り自分自身の肉体から溢れてくるものに身を任せてみようと思ったんです。それができたことが楽しかったですね。

    ユンソ 遠く離れていても手話だとわかるんですよね。撮影の合間も、「暑いね」「大丈夫?」と、3人だけで秘密の会話をしたりして(笑)。

    念じていればいつか叶う!? 魔法の瞬間を待つのがホン・ギョン流・叶え方

    ── 作品の中でも、人混みのバスの中でヨンジュンが、離れてしまったヨルムと手話で話しているシーンがありましたね。ヨンジュンは、一目惚れしたヨルムにとても積極的にアプローチしていました。みなさんは恋愛に限らず、人間関係において自分からアプローチできるタイプですか?

    ユンソ 私はヨンジュンのように積極的に声を掛けるタイプではないし、したこともないですね。友人から誘われれば、提案にすぐ乗って楽しく遊ぶんですけど、自分から約束を取りつけるまではしません。でも、声を掛けてもらい、会話をしてみてその人の魅力に気づいたら、少し積極的になれるのかなと思います。

    ギョン 僕もヨンジュンのようには動けないです。ただ、僕には強く念じていたら、望んでいた瞬間が訪れたという不思議な経験があります。

    ヨンジュン それは祈るということ?

    ギョン それに近いかも。ひたすら念じて、想いが叶う魔法のような瞬間が訪れるのを待つんです。

    ユンソ 「そうなる、そうなる」ってずっと念じ続ける…?

    ギョン そう。そうすると、まだ知らない人とも、然るべきタイミングで出会うことになるという予感のようなものが芽生えて、本当に実現すると信じているところが僕にはあるんです。

    ミンジュ 私は内向的で、初対面の人と積極的に交流できるタイプじゃないから、いつもどうしようかと思っていたけど、今度からホン・ギョンさんの方法を試してみます(笑)

    「私はできる」と自分を鼓舞してくれるのはいつも家族の存在だった

    ── では、ヨルムは妹のガウルをとても大切に想い、水泳選手としての夢を支えます。お三方にとって、そうした存在はどなたになりますか。

    ギョン ありきたりな答えになってしまいますが、やはり家族ですね。僕が前に進めるのも、両親の存在がとても大きいです。休みの日にご飯を食べるといった、日常的な時間のどの瞬間も貴重で大切です。実家に住んでいる愛犬も!

    ユンソ 私も家族。小さい頃から私の夢を応援してくれ、最大限のサポートをしてくれました。大学時代はモデルをやっていたんですが、いきなり演技を学びたいと言い出した時も、快く「やってみなさい」と両親が後押ししてくれたおかげで、今の私があります。友人も人間として成長させてくれます。私は、韓国語で言うところの〝人の福〟、人に恵まれた人間なんです。

    ミンジュ 私もお二人と同じように、家族ですね。本当に心強い支えになってくれています。そして、スタッフの方々やファンのみなさんからの応援が、〝私はできる〟と自分自身を信じる力を与えてくれます。

    ギョンさんの不思議な行動が現場の癒しに!?

    ── こうしてお話を伺っていると、みなさんが醸す空気が温かく素敵な関係性なのが伝わってくるのですが、撮影現場ではいかがでしたか。

    ユンソ カメラが回っていない間も、監督を捕まえては意見を聞き、このシーンはどんなふうにできるだろうとずっと話し合っていました。もちろん、たわいもない冗談を言い合ってもいましたし、ホン・ギョンさんが突拍子もないことを仕掛けてきたことも(笑)

    ミンジュ 照れ隠しなのか、急に一人でびょんびょん跳ねたり、撮影チームが大変な時に、日本語で「よし!」「がんばれ!」って叫び出したり(笑)。日本での舞台挨拶でも叫んでいましたよね。

    ユンソ ホン・ギョンさんの急な叫びは、すっかり慣れました(笑)。そういう意味でも、私たちのムードメイカーはホン・ギョンさんじゃないですか?

    ミンジュ 同感!

    ギョン (真顔で)僕は自分がやるべきことに集中していましたよ。

    ユンソ 決してネガティブな意味ではなくて!

    ギョン ふふふ、わかっています(笑)

    幸せとは平穏な日常こそがもたらしてくれるもの

    ── ヨンジュンは夢を探している最中で、ガウルは水泳選手としてオリンピックに出場するという大きな夢を抱いています。みなさんは、どんな夢や目標を持っていますか。

    ギョン ムービースター!

    ── すでにその夢は叶っているのでは…?

    ギョン いえいえ! 僕の中には〝スター〟とも違う、〝ムービースター〟の明確な定義があるんです。映画を観ていて、息ができなくなるほど圧倒されることはないですか。それができるのは、たとえばアル・パチーノやトム・クルーズといった、カリスマともいえるムービースターであり、僕もそうなりたいです。

    ユンソ ホン・ギョンさんがムービースターなら、私はグローバルアクターで(笑)。というのは冗談ですが、私は幸せというのは平穏な日常がもたらしてくれるものだと思うので、これから先も仕事とプライベートのバランスを取って過ごしていくことが目標です。仕事の面では、初めての瞬間に出合いたいですね。こうして出演映画が日本で公開されるのも私にとっては初めてのことで、そうした経験をたくさんしたいです。

    ミンジュ 私も、いろんな経験をたくさんしたいですね。私は仕事をしている時が幸せなので、大切な人たちと一緒に、長く続けていけたらと願っています。

    夢を尋ねた際に「ムービースター!」とお答えになったホン・ギョンさん。その定義は「秘密」と仰ったのですが、こちらが聞きたい空気を察知してお話くださり、優しさを感じました。ノ・ユンソさんは手話を交えながら答えてくれ、しっかりとご自身の「財産」になさっていることが伺えました。ミンジュさんは、雑誌の表紙にあるロゴ〝anan〟を見て、「(IZ*ONEの時に取材を受けたことを)覚えています。いい思い出です」と日本語で話してくれ、スタッフ一同感動しました。

    Profile

    ホン・ギョン

    1996年生まれ。2017年に俳優デビュー。2020年、映画『潔白』にて百想芸術大賞映画部門の男性新人演技賞を受賞し大きな注目を集める。今回の作品が自身初のラブストーリー主演となった。出演作品に映画『本当に遠いところ』(2021)、ドラマ『悪鬼』(2023)、Netflix初の韓国アニメ映画『あの星に君がいる』(2025)など。ソル・ギョング共演のNetflix映画『Good News(英題)』が待機中。

    ノ・ユンソ

    2000年生まれ。モデルとして活躍後に2022年、オールスターキャストの話題作『私たちのブルース』で俳優デビュー。2023年にドラマ『イルタ・スキャンダル ~恋は特訓コースで~』にて百想芸術大賞ドラマ部門の女性新人演技賞を獲得した。本作では、ほぼ全編で手話での演技に挑戦し、百想芸術大賞映画部門新人演技賞を受賞。出演作品にドラマ『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』(2024)、映画『20世紀のキミ』(2022)など。

    キム・ミンジュ

    2001年生まれ。インディペンデント映画『The Fault Is Not Yours (英題)』(日本未公開/2019)で俳優としての活動を開始。翌年、オーディション番組『PRODUCE 48』の選抜により、2018年にアイドルグループ「IZ*ONE」の一員としてデビュー。グループ解散後は、時代劇『禁婚令 -朝鮮婚姻禁止令-』(2022)、ドラマ『コネクション』(2024)、ドラマ『アンダーカバーハイスクール』(2025)などに出演。

    Information

    映画『君の声を聴かせて』

    大学卒業後にやりたいことが見つからず、就職する気になれないヨンジュン(ホン・ギョン)は両親が営む弁当屋の配達を手伝うことに。配達先のプールで手話を使って話すヨルム(ノ・ユンソ)に出会い、一目惚れする。大学時代に習った手話を使い、ヨルムに近づこうとするが、ヨルムは聴覚障がい者でオリンピックを目指す妹ガウル(キム・ミンジュ)がいて…。

    オリジナル映画:『聴説』(プロデュース:ペギー・チャオ/監督:チェン・フェンフェン)

    監督:チョ·ソンホ『エンドレス 繰り返される悪夢』

    出演:ホン・ギョンノ、・ユンソ、キム・ミンジュ

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    写真・田尻陽子 取材、文・小泉咲子

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