9月21日から28日にかけて、クライミングの世界選手権がソウルで行われる。
有力選手目白押し! 各種目で表彰台の期待が
昨年のパリ五輪では「ボルダー&リード」および「スピード」の2種目だったが、世界選手権ではボルダーとリードは別種目として実施される。世界選手権に限らず、2028年のロサンゼルス五輪でも同様に「ボルダー」「リード」「スピード」が実施される予定だ。
種目が分かれているため、パリ五輪とは異なる様相を呈する。例えば、特定の種目に強さを発揮する“スペシャリスト”にとって世界選手権は有利に働く。その一人が森秋彩。パリ五輪ではボルダー&リードに出場、4位入賞の成績をあげたが、リードだけをとってみると、決勝でトップの結果を残している。相対的にはボルダーを苦手とするだけに、得意とするリードでの好成績が望める。
パリ五輪のボルダー&リードで銀メダルを獲得した安楽宙斗にとって、種目が分かれていることは表彰台に上がるチャンスが2倍になることを意味する。安楽は2023年、ボルダー、リードそれぞれにおいて年間王者になっていることが象徴するように、どちらも得意としている。世界選手権でも、両種目での活躍が楽しみなところ。
パリ五輪で活躍した森、安楽の2人と共に注目したいのは野中生萌と中村真緒。
野中は長年活躍を続けてきた第一人者で、東京五輪では銀メダルを獲得している。パリ五輪では準決勝で敗退したが、その後も国内外の大会で転戦を続け、存在感を示してきた。得意とするボルダーで上位進出を目指している。
中村は主にボルダーで好成績を残してきた選手。今年5月のワールドカップで同シリーズ初優勝を飾るなど好成績をあげており、現在(8月31日付)、ボルダーでは世界ランキング3位につけている。世界選手権でも楽しみな一人だ。
男女ともに有力選手がいる日本のスポーツクライミング。ロサンゼルス五輪へのスタートともいえる年に行われる世界選手権で、今後の展望を切り開くパフォーマンスを、そして日本の地力をみせる活躍を各選手に期待したい。
安楽宙斗(あんらく・そらと)

2023年のワールドカップで史上初のボルダー、リード両種目年間王者に。高校3年生で出場したパリ五輪で銀メダルを獲得。
森秋彩(もり・あい)

パリ五輪のボルダー&リードでは前半のボルダー最下位から巻き返し4位。2023年世界選手権ではリードで優勝、連覇なるかに注目。
中村真緒

現在25歳の中村は、ユースの頃から国際大会で活躍。一時期日本代表から外れることもあったが巻き返し、世界選手権代表に。
野中生萌(みほう)

世界選手権は初めて出た2014年以来、継続して出場。ボルダー、リード、スピードの総合成績で争われた東京五輪で銀メダル。
Information
クライミング世界選手権 ソウル2025
開催期間:9/21(日)~9/28(日)
開催地:韓国・ソウル
anan 2463号(2025年9月17日発売)より