左から、三浦宏規さん、髙橋 颯さん

ドラァグクイーンを夢見る高校生のジェイミーが、周囲の偏見に屈することなく、自分らしい生き方を貫いてゆくミュージカル『ジェイミー』。’21年に日本初演された、ポジティブでハッピーなミュージカルが再演。ジェイミーを演じるのは、前回から引き続いての髙橋颯さんと、今回初参加の三浦宏規さん。


ジェイミーの夢に向かうポジティブなエネルギーに力をもらえるミュージカル。

三浦:今回の出演が決まってから初演の映像を見させていただいたんですが、「なぜ自分はこれを劇場で観なかったんだろう」って後悔するぐらい素敵な作品でした。

髙橋:演じている側も手応えを感じて楽しかったです。ただ、もっとやれることがあったのではという反省もあるんです。だから今回は、いろいろな人とのかけ合いの部分をもっと深く追求していけたらなと。

三浦:ジェイミーって、ドラァグクイーンになりたいというアイデンティティの部分は絶対に崩さない強さを持ったキャラクター。それはすごいけれど、ある意味自己中心的でもあって、まだまだ未熟なところがある人間だと思うんです。でも、周りをパッと明るくするパワーがあって、そこが周りが手を差し伸べたくなるところなんだろうね。

髙橋:宏規くんのジェイミーを見てると、芯が強いけれどすごくキュートで。だからこんなに周りに愛されるんだろうなって納得する。

三浦:何それ(照笑)。そういうアナタも相当キュートだし。あと、すごく自由で独創的。どこまで計算してるのかはわからないけれど、テンプレートのお芝居をしないから、見てるこっちは全然予測がつかなくて、そこがジェイミーっぽい。

髙橋:でも周りは戸惑うよね。僕はお芝居経験が少ないから、そこは気をつけなきゃと思っていて…。

三浦:そんな必要全然ないって。

髙橋:バドミントンで言ったら、来たものを打ち返そうとしてラケットのフレームに当たっちゃって、思ってもない方向に飛んでいく感じ。

三浦:なにそれオモロい(笑)。

髙橋:稽古場で、宏規くんを含めてWキャストの方たちが、笑ったり手を叩いたり、リアクションを返してくれるのも大きいかもしれない。

三浦:遠慮なく笑うからね。

髙橋:だから逆に、ここは笑うところでしょっていう場面で笑いが起きなかったりすると、笑わせようと頑張っちゃうんですけど。

三浦:楽しませたい人なんだね。

髙橋:演出のジェフリー(・ペイジ)も、それを楽しんでくれているのが伝わるからありがたい。

三浦:ジェフリーはよく「演劇はリアリズムじゃない。アートだから」って言うんですけど、僕もそれには同意していて。リアリズム一辺倒ではなく、だからって過剰にショーアップするんじゃなく、そこのいいバランスを探っていきたいなって。

髙橋:その場その瞬間に生まれたグルーヴも大事にできたらいいよね。

三浦:お母さんとの場面とか、もう瞳子(とうこ)さん(安蘭けいさんの愛称)に委ねちゃってる。瞳子さんと対峙していると、勝手にジェイミーとしての心が動いていく感覚があるから。

髙橋:僕はまだ、2幕のお母さんと抱き合うシーンとか、ちょっと恥ずかしいんですよ。ふたりのことを世界に見せつけるって歌う場面とか。

三浦:あのシーン、最高だよね。

髙橋:この間、瞳子さんも「遠慮しないでいいよ」と言ってくださったので、僕も身を委ねていけたらと思っています。無駄なシーンがひとつもない作品なので、一個一個を丁寧に大事に演じていきたいなと。

三浦:冒頭からお客さんが物語に前のめりになれる構成だと思うんです。それは僕ら次第でもあるけれど、そこでお客さんの心を掴んで、最後まで引っ張っていけたら、絶対に楽しんでいただけると思います。

自分らしい生き方を肯定してくれる感動作。

自分らしく生きることを、これほどすがすがしく描いた作品があっただろうか。教師が自分の身の丈に合った夢を持てと語る中、主人公のジェイミーは、ドラァグクイーンになりたいと夢を語る。それを「キモい」と否定する同級生はいても、卑屈になることなく自分の道を信じて進んでゆく。そのポジティブなパワーは爽快だ。しかも、母親のマーガレットも親友のプリティも、そんなジェイミーを肯定し背中を押してゆく。そこで歌われる「He's My Boy」「It Means Beautiful」はどちらも名曲。ハッピーなだけでなく、親子愛に友情に感動できること間違いなしだ。写真提供:ホリプロ

三浦宏規さん

Profile

みうら・ひろき 1999年3月24日生まれ、三重県出身。最近の主な出演作に、ミュージカル『レ・ミゼラブル』『ナビレラ』などがある。11月開幕の『デスノート THEMUSICAL』への出演も控えている。

髙橋 颯さん

Profile

たかはし・ふう 1998年5月8日生まれ、埼玉県出身。ダンスボーカルユニット・WATWINGのメンバーとして活躍し、俳優としても舞台やドラマに出演。主な出演作に『デスノート THE MUSICAL』、TBS日曜劇場『DCU』。

ミュージカル『ジェイミー』

Information

上演中~7/27(日) 東京建物Brillia HALL 日本版演出・振付/ジェフリー・ペイジ 翻訳・訳詞/福田響志 出演/三浦宏規・髙橋颯[WATWING](Wキャスト)、安蘭けい、唯月ふうか・遥海(Wキャスト)、神里優希・吉高志音(Wキャスト)ほか 全席指定S席平日1万3000円、土・日・祝日1万3500円ほか ホリプロチケットセンター TEL:03・3490・4949(平日11時~18時) 大阪、愛知公演あり。

写真・小笠原真紀 取材、文・望月リサ

anan 2454号(2025年7月9日発売)より

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白紙に戻したい、もしくは別の生き方をしたいという心境になりやすい日です。イメージチェンジへの憧れ。結果として実際にそういう行動に出る人もいるでしょう。それでも、今やっていることを途中で投げ出すと後で問題になりがちなので、リセットに走る前に、とにかくやっておくべきことだけは終えておくほうが無難です。

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