
マネスキンのダミアーノ・デイヴィッドが初ソロ作を世界同時リリース。“恐れ”と向き合った全14曲と制作の裏側をananに語ってくれました。
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自分にフォーカスする、そして「恐れ」と向き合う
新世代ロックシーンを牽引するバンド、マネスキン。そのヴォーカリスト、ダミアーノ・デイヴィッドさん(Damiano David)が初のソロアルバム『ファニー・リトル・フィアーズ(FUNNY little FEARS)』を世界同時リリース。力強くセクシーなパフォーマンスで知られる彼がこのアルバムのテーマにしたもの、それは心の奥にしまい込んだ“ある感情”だった。
「このアルバムを通して僕のパーソナルな部分、特に自分の中にある感情を発信して世の中の人に知ってもらいたいんだ。バンドは他のメンバーもいるから、自分がこうしたいっていう気持ちだけで活動するわけにはいかないでしょう。もちろん僕はメンバーと共同作業することも好きだけど、ソロアルバムには自分にフォーカスして、思いの丈を詰め込みたいと思って」
はにかみ顔で、ソロアルバムを作るにあたってのきっかけを打ち明けてくれたダミアーノさん。世界的ロックスターだけれど、柔らかくて繊細な佇まい。そんな彼がリリースした初ソロアルバムはその名の通り、彼の中にある「恐れ」がテーマになっている。
「子供の頃から高いところが怖かったし、暗いところも苦手だった。それでいてよくばりな自分自身のことも恐れていたし、いまもそうかもしれない。でも今回アルバムのために歌詞を書くなかで、ぐしゃぐしゃしていた感情の輪郭がはっきりしてきて、思考が整理される感じがあって…。その作業を通して恐れの正体が見えてきたし、自分は弱い人間だってことも認められた。その上で、もっと自分の魅力に目を向けようと前向きになれたことも、このアルバムを作る前と後で変わったことかな」
セルフケアのようなアルバムづくり
私たちがノートに思いのたけを書き出して、心を整える。そんな身近なセルフケアにも通ずるものがあるような…。そうたずねると「まさに同じこと!」と頷いた。
「僕の場合はそこにメロディーがあって、韻を踏んだ言葉で思いをつらねるわけだけど。でもこれを後から聞いたら『あの時の自分は、こんなことに悩んでいたのか』なんて思うだろうね。サウンドの面でもキャッチーなポップからバラードまで幅広いけど、どれもいまの僕を表すメロディばかり。音でも『ああ、この時代の僕はこうだった』と振り返ることができる、いまの僕のスナップショットのような一枚になっていると思う。きっとこれからもその時代時代で、自分のサウンドを探し続けていくことになるんだろうね。もちろんマネスキンの僕も僕。でもバンドとソロの僕はまったく別の表現なんです。むしろそうして競わず、影響し合わない関係が理想。…なんて言ってるけど、こうして一人で活動することにはまだ慣れていないし、経験を共有できる仲間がいることって、あらためて貴重だなと噛み締めています(笑)」
アンアン読者に、おすすめの曲を挙げるなら?
弱さや恐れと向き合い、ありのままの思いを表現した全14曲。同じように迷いながら自分と向き合うアンアン読者へ…特におすすめの曲はありますか?
「もちろんすべての曲に意味があるし、自由に聴いてほしいけれど、特に最後の14曲目『Solitude ソリチュード』は同世代へのいいメッセージになると思う。いろんな評価に心が揺れることもあるけど、外からの評価はアクセサリーでしかなくて、一番大事なのは自分自身がどうしたいか。だから自分がいま頑張っていることを信じて進んでほしい。そんな思いが届くといいな」
繊細でリアルな声の“手ざわり”が、深い孤独(Solitude)を際立たせる一曲。日本盤ボーナス・トラックとなる「Voices」(ライブバージョン)の熱く激しいパフォーマンスとのギャップもお聴き逃しなく。
anan本誌では、ダミアーノこだわりのビューティルールを聞きました。6月18日発売(2451号)のananをチェックして!
profile
ダミアーノ・デイヴィッド
Damiano David 世界を席巻するイタリア発バンド「マネスキン」のフロントマン。バンドとしては昨年のサマーソニックではヘッドライナーも務め、日本でも絶大な人気を集めている。初ソロアルバムを携え、10月27日(東京)、29日(大阪)の日程で、ワールド・ツアー日本公演も予定している。
information
『FUNNY little FEARS(ファニー・リトル・フィアーズ)』
往年のミュージカル映画の世界をほうふつとさせる「Born With a Broken Heart(ボーン・ウィズ・ア・ブロークン・ハート)」のMVも公開中。初回生産限定盤 ¥3,300、通常盤 ¥2,860。(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル)