
横向きになって半身で走る…。一度見たら忘れられないコミカルな動きに誰もが夢中! 「江戸走り」ブームの火付け役である大場克則さんがanan世代におすすめの走り方を指南。
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江戸走りとは?
江戸時代の人たちが長距離移動に使っていた走り方にヒントを得て、大場克則さんが考案。文献を参考に当時の歩きや走り方を研究し、筋力に頼らず重心移動と脱力で進む方法を編み出した。それをSNSで発信したところ、若者の心を惹きつけて人気が爆発!
空前の江戸走りブームは完全に想定外!
昨年12月に発表された「JC・JK流行語大賞2025」のBeReal.部門の1位に選出されるほど話題の「江戸走り」。その考案者である大場克則さんに、江戸走りが誕生したきっかけや、時の人となった今の心境を直撃!
── 江戸の走り方に興味を持ったきっかけを教えてください。
江戸時代の走り方を研究し始めたのは2014年のこと。その前の年に100kmマラソンに挑戦したんですが、膝が痛くてリタイアしてしまったんです。その挫折をきっかけに長く走れる走り方を調べるようになり、その中で自分の興味を惹いたのが江戸の走り方。当時の飛脚は、東海道五十三次の江戸から京都まで約500kmの距離をわずか3~4日で走ったとか。そこで国会図書館に通い、様々な文献を読み漁って研究を続けて独自に考案したのが江戸走りです。
── その考案した江戸走りをSNSに投稿し始めた理由は?
研究した成果を広く知ってもらい、江戸時代の走り方を文化として残したいと思ったからです。いろいろと調べましたが、わざわざ当時の走り方を記録している文献はなく、もちろん当時の走り方の映像もない。ただたくさんの文献に、江戸時代の人の歩き方は特殊だったということが記載されていたのと、浮世絵に描かれた走る姿を参考に、膝や体の角度、体の動きを工学的に研究して、自分なりの江戸走りを確立しました。だから私の江戸走りが、当時と同じものかどうかはわかりません。ただこの先の未来、昔の走り方を研究する方が現れた時に役に立てればとの思いから、現代の伝達技術を用いて記録をカタチとして残そうと、SNSに投稿しました。
── それが2億7000万回以上も再生されるほどの大ブームに!
自分でも驚きました。始めた頃に投稿したショート動画「1分間に288歩走る」が突然100万回再生され、翌年に投稿した「0.6秒で曲がる」は、なんと1500万回再生。完全に想定外をいっちゃってますね(笑)。私は栃木の田舎に住んでいるのですが、先日近所のマクドナルドでコーヒーを飲んでいたら、地元の中学生に「写真撮らせてください!」と声を掛けられて、面割れしちゃいました。作務衣姿なら目立つだろうけれど、その時はジャージを着ていたのですが…。さすがにこの現状は、ビックリを超えていますね。
東海道五十三次間を江戸走りで繋げたい!
── 江戸走りに惹かれる人が多い理由をご自身なりに分析すると?
単純に面白いからでしょうね。江戸走りをすると、自然と笑いが生まれるんです。だから見るだけでなく、実際にやってみたくなる。若い人たちの感性にビビッとくるものを編み出せたことは本当に嬉しいことです。昔の知恵を使うことで、いろんな可能性を広げることができる温故知新な部分も魅力なのかもしれませんね。また江戸走りを習得して日常でも活かせるようになると、普段の歩き方よりラクに歩けて疲れにくくなると思います。実際に私も腰が痛くなることがなくなりました。さらにそれ以上に、気分が上がる! やはり自分の足で歩けると、いろんなところに行ける楽しみが増えて、私自身、行動範囲が広がりました。
── 今後の目標を教えてください。
江戸走りの文化を広めるために今以上に発信を続けながら、この研究成果を学術的にまとめて後世に残していきたいです。また江戸走りで東海道五十三次間の約500km走破を計画中。現在、そのプロジェクトを進めるためにチームメンバーを募っていて、2028年には挑戦したいです。
江戸走りに早速トライ!
まずはここから。江戸走り準備運動
江戸走りは、今の時代の走り方とは異なる部分が多いので、実践する前に基本の立ち方をマスターしつつ、準備運動もしっかりと!
基本の立ち方

膝を軽く曲げてつま先重心で立つ。/「江戸時代の人たちは、軽く膝を曲げてつま先で立つのが一般的な立ち方でした。これが江戸走りの基本姿勢になります」(大場さん)。まず腰を前に傾けて、前傾姿勢をキープ。膝を軽く曲げて、つま先立ちに。かかとは紙1枚程度浮かせる。※ 足指の付け根の上に膝が乗るように。
準備運動

軽くジャンプして、ふくらはぎを刺激。/つま先立ちに慣れていない人が急に江戸走りをすると、ふくらはぎを痛める恐れが。「だから先に柔軟性を高めておくために、基本の立ち方のまま10~15回ジャンプしましょう。忍者のように足音を立てずに跳ぶと、自ずと着地が穏やかになり、負担が軽減されます」
これぞシグネチャー! 横走り
手足を内側・外側へ回しながら走っていた江戸の走り方をヒントにした「横走り」。顔を正面に向けて走る理由は、城で敵に囲まれた時をイメージしているから。
夏祭りに向けて今から習得を。着物走り
膝をすり合わすように走る「着物走り」。浴衣や着物で、下半身の身動きがとりにくい時もスマートに走れて、上品見えするので重宝するはず!
重心移動がポイント。階段上り法
江戸走りを使えば、階段もなんのその! 重力で倒れる力をフルに利用して、階段を一気に駆け上ろう。これをマスターすれば、駅の長い階段もへっちゃら!
教えてくれた方
Profile
大場克則
江戸時代の走り方を研究して約11年。独自に考案した江戸走りのショート動画総再生数は2億7000万回以上。アイドルから小学生まで真似をするほどのブームに。作務衣とわらじがトレードマーク。現在61歳。
anan 2483号(2026年2月10日発売)より


























