
今年20周年を迎えるアニメ『銀魂』で、熱狂的ファンも多い神威(かむい)を演じる日野聡さんと、新たな『銀魂』を作った安藤尚也監督&前川貴史プロデューサーに、2月13日に公開を控えている『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-』の見どころ&裏側を聞きました。
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日野聡 as 神威
今だからこそできる、神威の表現に挑戦
登場頻度は高くないものの、キャラクター人気投票では常に上位にランクインする神威。そんな人気者を演じる日野さんは「多くの人に愛してもらえて嬉しい」と話す。
「いい作品にするため、そして、神威というキャラクターを裏切らないために、自分は純粋に全力で向き合ってきただけなので、結果的に多くの方が好きだと言ってくださるのは本当にありがたいですし、正直、ほっとしています(笑)」
神威が本格的に登場したのは「吉原炎上篇」から。その物語が新エピソードとなって再構築されると聞いた時は「驚きと嬉しさと、“当時のような声が出るかな?”という不安と、いろんな感情を抱いた」そう。演じる上で努めたのは“原点回帰”。
「『銀魂』は最後まで録り切っているので、その中で築き上げてきた神威像を原点に戻す作業がまず必要でした。TVシリーズで培ってきた妹・神楽との関係性をゼロに戻し、再会時の気持ちにリセットする大変さはありましたが、フレッシュな気持ちで演じることに重きを置いて臨みました」
新劇場版のアフレコ前には「TVシリーズを見返した」そうで。
「皆さんの声に若さを感じましたし、16年あまりの歳月が経ったからこそ新たに出せるものもあるかなと思ったので、TVシリーズをそのまま踏襲するというよりは、今だからできる神威の表現をやってみたいと思いました。神威は、自分より上の者に対しても物怖じせずに向かっていくタイプで、言動にも余裕を感じます。ただ、当時の自分の演技にはまだ青さがあり、緊張も感じられたので、経験を積んだからこそ出せる余裕さや落ち着きなどは意識しました」
戦闘民族“夜兎族”の血を濃く受け継ぎ、優男風の見た目ながら、笑顔で人を殺(あや)める神威。強さと柔らかさが混在するキャラクターの表現方法についても伺うと…。
「二面性みたいなものは誰しもが持っていて、その切り替えを瞬時にできるか、時間をかけてやるか、その違いだと思うんです。なので、神威が重きを置いているところやスイッチになる部分を考えて、切り替えるようにしています」
長年、向き合ってきた神威は、「不器用さも魅力」と語る。
「神威は妹のことも父親のことも母親のことも大切に思っているけれど、それを表に出すことはない、非常に不器用な人間だなと。その不器用さを“夜兎”の血や本能で戦うことで、自ら抑え込んでいるのかな、なんて思うんですよね。特に、TVシリーズの最後のほう、神楽との兄妹ゲンカで不器用な優しさが垣間見える度に憎めないよなって。そういう彼の足りない部分や本心的なものを銀さんは見抜いてるんじゃないかと思います」
今回、スペシャルエディションの表紙は銀時×神威の2ショット。二人の関係性は、日野さんの目にはどう映っているのだろう。
「神楽にとっては“二人のお兄ちゃん”で、表と裏みたいな。神威にしてみたら、銀さんは自分がなれなかった理想のお兄ちゃん像であり、ちょっと羨ましく思いつつ、ありがたくも感じているのではないかと。自分がそう接してあげられないもどかしさも銀さんが引き受けてくれている。そういう意味で素敵な関係だなと思います」
神威も大活躍する新作映画を、多くのファンが楽しみにしている。
「新たに足されたエピソードも面白いですし、皆さん、『おおー!!』と思ってくださるんじゃないかな。『銀魂』はキャラクターたちの言葉に重みがあり、特に『吉原炎上篇』は家族の在り方や親子の繋がりといったものが色濃く描かれ、その中で銀さんが心に刺さる思いを届けてくれる。そこが魅力であり、『銀魂』が愛され続ける理由なのかなと思いますね」
Profile
日野聡
ひの・さとし 8月4日生まれ、アメリカ・サンフランシスコ出身。出演作に『鬼滅の刃』(煉獄杏寿郎)、『ハイキュー!!』(澤村大地)、『呪術廻戦』(加茂憲紀)など。現在、『花ざかりの君たちへ』(神楽坂真言)に出演中。
監督・安藤尚也×プロデューサー・前川貴史
“らしさ”を守りつつ、映像は華やかに!(安藤)

ファンの間でも人気の高い「吉原炎上篇」。数ある長編シリーズの中で、新作映画にこのエピソードが選ばれた理由は気になるところ。
前川貴史(以下、前川) 人気キャラが多数登場し、鳳仙という明確なラスボスがいて、笑いあり、涙あり、バトルもあり…と、映画にしやすい題材というのが理由の一つ。さらに、『銀魂』は基本、1話完結で進み、そこに大きな話(長編回)が入ってくるのですが、その大きな話の流れの出発点になったであろうエピソードが「吉原炎上篇」なので、選ばせていただきました。
── 今回、『銀魂』に初めて参加された安藤監督。その心境は?
安藤尚也(以下、安藤) 『銀魂』の監督を務められてきた高松信司さんや藤田陽一さんには、自分がアニメ業界に入るきっかけになった人でもあるぐらい影響を受けていて。その方々が作り上げてきた作品を自分が引き継いでいいのかと、最初は不安に感じました。でも、自分に求められたのは、『銀魂』を新しい映像クオリティで、他のジャンプ作品の劇場版とも勝負できるようなフィルムを作ることだったので、それなら自分の中の引き出しで挑戦してみようと決意しました。
── 実際、迫力満点の特報映像が公開されると大きな話題に。
安藤 横長のカメラで撮ると臨場感が出るので、今回はシネマスコープサイズで制作しようと決めていて。作画や美術に関しても令和のアニメの等身感を出すために、TVシリーズからは一新。線の太さやライティングにもこだわり、全部構築し直しました。ただ、自分も元々、『銀魂』の大ファンですし、“銀魂っぽさ”は守りたいと思って。真面目なことを言ったあとに、しょうもない下ネタが出てくるんだけど、なんか泣けちゃう…みたいな。そうした『銀魂』の魅力が損なわれることのないよう注意して取り組みました。
── 今作では、お馴染みのメンバーの桂や真選組も出てきて大暴れ。
安藤 桂や真選組の登場はプロデューサー陣からの提案で。
前川 お願いしました。
安藤 ただ、彼らを出すのであれば空知先生の意向を大事にしたいと思い、相談したところ、たくさんのアイデアをくださって。桂と近藤の絡みだったり、近藤の女装も空知先生の案ですから(笑)。
前川 本当に素晴らしい脚本に仕上がったなと思います。
声優陣の演技に年季と凄みを感じました。(前川)
── 作品を熟知する声優陣の演技には「年季を感じた」とのこと。
安藤 同じ台詞でもTVシリーズとは全然違う言い方をされている印象で、芝居って変わるんだなと驚きました。杉田(智和)さんの声にも当時より色気を感じて。銀さんの喋り方、エロくて素敵でしたね(笑)。
前川 どのキャストさんも年季が入っているなと思いました。
安藤 鳳仙役の銀河万丈さんとか、とてもエネルギッシュで、シブさも増していて、より鳳仙ぽい。阿伏兎役の大塚(芳忠)さんもそうですし、日野さんの神威も解像度が上がりすぎて、すでに日野さんが神威みたいな。皆さんそんな感じで、アフレコ中、「すごい、すごい!」と興奮しっぱなしでした(笑)。
── ストーリーも映像も声優陣の演技も全てがパワーアップ。公開を待つファンに伝えたいことは?
前川 本当に全部が見どころなんですが(笑)、あえて言うなら鳳仙に注目してほしい。自分も年齢を重ねたことで鳳仙の哀愁だったり、彼の言っていることがわかるなーと。基本的には皆さん、銀さん目線で観られると思いますが、2回目、3回目は鳳仙目線で観ていただけたらより楽しめると思います。
安藤 僕的には晴太に注目してほしい。今回は特に、彼の頑張りを見せたいと思い、気をつけて作ったので。そして、晴太と日輪、万事屋など各チームの絆が魅力的な作品なので、そこを楽しんでいただけたら幸いです。
Profile
安藤尚也
あんどう・なおや 12月7日生まれ、愛知県出身。アニメ監督、演出家。手がけた作品に、『Paradox Live THE ANIMATION』『藤本タツキ17- 26 シカク』など。
前川貴史
まえかわ・たかし 12月30日生まれ、神奈川県出身。アニメプロデューサー。代表作に、『銀魂 THE FINAL』『新劇場版 銀魂-吉原大炎上-』など。
information

『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-』
原作・スーパーアドバイザーゴリラ/空知英秋 監督/安藤尚也 監修/藤田陽一 脚本/岸本卓 キャラクターデザイン・総作画監督/竹内進二 主題歌/SUPER BEAVER「燦然」 2月13日公開。
anan 2483号(2026年2月10日発売)より




















