障がい者と健常者が互いに助け合い踊りまくる!
近藤:ハンドルズのそもそものスタートは、埼玉県の福祉課から車椅子の方と何かやれないですか、と話をいただいたところからなんだけど。
勝山:まず、プロデューサーである僕のところに依頼がきたんだけど、最初、良平さんは断るんじゃないかと思ったんですよ。
近藤:なんか「やってみるか」って軽い感じで引き受けたんだよね。正直、最初の顔合わせのちょっと前くらいから「大丈夫かな?」って若干不安になっちゃったんだけど、始まってみたら、向こうの方がすごくフラットな姿勢で来てくれて驚いた。
勝山:でも一回きりで終わるかなと思ったら、県の側から次の年はどうしましょうかってアイデアを求められるようになって。障がい者のバンドを入れるとか、高校生と一緒にやるとか、提案させてもらって。
近藤:初期の頃は、正直どこまで踏み込んでいいのか探りながらだったな。車椅子をひっくり返すとか、やりたいけれどタブーなのかなって不安もあって、本人と介助の人やご家族に確認しながら、ひとつひとつ壁を越えていった感じ。でも、こちらの想像よりもずっとみんな面白がってくれていて、当事者より周りの社会のほうがずっとナーバスになっているんだなと思ったの。
勝山:そのときの公演で結局車椅子を倒したんだけど、めちゃくちゃクレーム来たからね。でも本人はめちゃくちゃ面白がってやっていて、社会の構図を見た気がした。
近藤:そういう世間の意識を少しでも変えられたら面白いなっていうのも、続けてきた理由かもしれない。あと純粋に、彼らが表現体として強いんだよね。僕らがいろいろ見せたくなって、ついこねくり回して踊ろうとしてしまうところを、彼らはストレートに踊ってみせるんだけど、それが逆にシンプルでよかったりして。こっちもすごく学びがあった。
勝山:僕が驚いたのは、2回目に稽古場を覗きに行ったら、お互いにすごく図々しい関係になっていたこと。もしかしてすごいものを見てるかもって感動しましたもん。
近藤:こっちも慣れちゃってね。
勝山:そういう意味で、コンドルズのメンバーってすごいなと思う。この公演でコンドルズ8人・ハンドルズ8人って人数を揃えているのは、ペアを組んでマンツーマンで始めるほうが仲良くなるし、図々しい関係を築きやすいと思ったから。健常者と障がい者が一緒にやる作品て、どうしても先生と生徒みたいな構造になっているものが多いんだけど、そういう体制をぶっ壊したいと思って。
近藤:2人1組にしたら、お互いが助け合う瞬間があったりして。これ、結構いいシステムだよね。
勝山:休憩時間も、ひとりぼっちになる人がいないのがいいなと。
近藤:ハンドルズが、コンドルズのノリが好きで「あれがやりたい」って思ってくれてるのも大事。今回は女性の出演者もいるんだけど、全員学生服でやろうと思っています。

遠慮のないやり取りに、観ている側も障がいの有無が気にならなくなってくる。2024年『Lay Your Hands On Me』より
PROFILE プロフィール
近藤良平さん
こんどう・りょうへい 南米出身。コンドルズ主宰、ダンサー、振付家。話題を呼んだ「サラリーマン体操」をはじめドラマやPV、CMなど多くの振付を手がける。彩の国さいたま芸術劇場芸術監督も務めている。
勝山康晴さん
かつやま・やすはる 静岡県出身。コンドルズプロデューサー兼ダンサー。ロックバンド・FF0000でも活躍。現在、静岡市を拠点にオリジナル作品を創作・発表する「ラウドヒル計画」総監督も務めている。
INFORMATION インフォメーション

ハンドルズ×コンドルズ 2nd STEP『Walk This Way』
4月12日(土)・13日(日) 新宿・こくみん共済coopホール/スペース・ゼロ 構成・振付・演出/近藤良平 プロデューサー/勝山康晴 出演/ハンドルズ:浅山結以、今井彩、小倉正裕、川上正太郎、菊池楓子、佐野小春、樋口達登、堀口旬一朗 コンドルズ:石渕聡、香取直登、鎌倉道彦、黒須育海、橋爪利博、藤田善宏、安田有吾、山本光二郎 一般5000円 U25 3000円 高校生以下2000円 障がい者1000円 ROCKSTAR TEL:03・5272・0991
anan2442号(2025年4月9日発売)より