社会のじかん

堀潤の「社会のじかん」第472回:闇バイト

エンタメ
2024.12.13

意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「闇バイト」です。

指示される犯罪がエスカレート。全貌が不明な点も。

闇バイトの問題が深刻化しています。SNS上の求人で「短時間で高報酬」などの誘い文句に軽い気持ちで応募してみたら、知らないうちに犯罪に加担させられてしまう。応募の際に個人情報を送っているため、やめようにも「家族に危害を与える」などと脅され、逃げられなくなってしまうのです。詐欺の受け子から強盗まで最近は指示される犯罪がエスカレートしています。

警察庁は、「自分自身や家族への脅迫が理由であっても犯罪に関わってはいけない。勇気を持って抜け出し、すぐに警察に相談を」と、SNSでビデオメッセージを公開しました。警察庁の幹部が顔を出して動画で直接語りかけるのは、とても異例な出来事です。

10代など若い世代がターゲットになっていることから、『あの時こうしなければ……本当に危ない闇バイトの話』(廣末登、芳賀恒人 監修)など、組織との繋がりや手口をわかりやすく漫画で紹介している本も出版されています。オンラインゲームで誘われ、詐欺の受け子や違法薬物の運び屋にさせられたり、銀行口座を売ったら犯罪に使われ共犯で逮捕されるなど、手口はさまざまです。求人に「#ホワイト案件」と書かれていたり、テレグラムやシグナルなど秘匿性の高い通信アプリで応募させられるものは、闇バイトの可能性が高いので注意しましょう。

最近特に、闇バイトによる強盗事件が増えていますが、恐ろしいのは全貌がまだわかっていないことなんですね。家の窓ガラスを割って侵入し、数十万円のお金を奪うなど、犯行手口がとても稚拙で、金品を盗ることだけが目的のようには思えません。

求人に応募する際は、自分がどういう相手から対価を得るのかを調べ、自衛しなければいけないと思います。また、求人サイトやSNSの運営会社は、闇バイトを締め出す努力をしなければいけません。これは政治の責任でもあると思います。自民党はSNSを通じた闇バイト強盗事件の頻発を受け、「治安・テロ対策調査会」を再編成し「治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会」を設置しました。犯罪に加担させられる若者がこれ以上増えないよう、急ぎ対策を求めます。

PROFILE プロフィール

堀 潤

ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。メインキャスターを務める報道情報番組『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜18:00~19:00)が放送中。

写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

anan 2425号(2024年12月4日発売)より

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