ミュージシャンにとってYouTubeはどうあるべき? 岡崎体育の持論とは

エンタメ
2024.11.09

岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ミュージシャンのYouTube」です。

僕の持論ですが、ミュージシャンにとってYouTubeとは本業である音楽を聴かせる場所であればそれでいいと思います。黎明期のYouTubeは、MTVと契約していなくてもミュージックビデオが無料で観られる動画共有サイトとして、音楽ファンにとってかなりありがたい存在でした。ところが多様なYouTuberたちの登場もあり、気付けばYouTubeはテレビのバラエティ番組のように、さまざまなスタイルやスタンスのコンテンツが楽しめるメディアとして進化していきました。そうであるならば、その流れに沿ってミュージシャンたちも自分たちのMVを披露する場としてだけでなく、独自コンテンツを作ったほうがいいのか? 例えば「印税でポルシェの新車、買ってみた」的な? もし、そう問われることがあるとしたら、冒頭で申し上げた通り僕はその必要はないと考えています。

YouTuberやYouTubeに活躍の場を見出す芸人さんたちと違い、僕も含め多くのミュージシャンたちは誰もがトークに長けているわけでも、企画力があるわけでもない。バラエティショーのテンションでコンテンツを作っても、盛り上がりに欠けたり、深掘りすることがなさすぎて、マイナスの印象になってしまうこともあるかもしれない。なので、無理やりその分野に乗り込むことは必要ないのではと僕は思います。そもそもYouTubeっぽいノリが似合うミュージシャンというのも少ないと思います。だって、普段MCも少なめな寡黙なバンドの方々が急に「よいしょーっ!」と掛け声かけて「いまさらメントスコーラやってみた!」とかいうサムネをあげていたら、なんか違う…となるはずです。

もちろん、広瀬香美さんのようにご自身のスキルと人柄でバズる方もいると思いますし、HEY-SMITHの猪狩(秀平)さんのように自分のバンドのチャンネル内で、ミュージシャン同士でしか聞き出せない話をいろんなミュージシャンの方に聞いたり、より深くバンドの音作りを知りたい人に向けてギターを徹底解説する動画を公開するような、ミュージシャンという強みを生かせるコンテンツを作れるならありだなと思います。でもそれを上手にできる方は限られている。であるならば、YouTubeでもしっかり音楽で勝負していけるようにMVの再生回数を回すことに努力を傾けたほうがいい。僕のMV「失恋ソング」ももっともっと回ってほしいです!

PROFILE プロフィール

岡崎体育

おかざきたいいく 新デジタルEP『Pedigree』が配信中。ホールワンマンTOUR「盆テク博覧会」がスタート! 金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』(TBS系 毎週金曜22:00~)に出演中。

写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND) 文・梅原加奈

anan 2420号(2024年10月30日発売)より

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