フェスのステージでも私ひとり。挑戦することが楽しいんです。
「良い意味でバラバラな曲が揃ってますよね(笑)。だからタイトルをつけるのが難しいなと思ったんですけど。今年の3月の日本武道館公演を経て、これからも変わらずポップな音楽を水曜日のカンパネラとしてお届けしていきたいなという想いを込めて『POP DELIVERY』というタイトルにしました」
ちなみに水曜日のカンパネラはケンモチヒデフミさん(作曲・編曲)が曲を作り、楽曲をどう表現するかは詩羽さんに任されている。
「レコーディングの前にケンモチさんから歌詞の説明が軽くあるくらいで歌い方の指示は基本的にないので、自分の感覚で歌っています。私が一番大事にしているのはライブでの表現。今作の『アルキメデス』はまだライブでやったことがないんですけど、ラップのパートが多いですし、コールアンドレスポンスもやれるかな? とか色々考えています」
「アルキメデス」は斬新なモチーフによる言葉遊びと軽快なリズムが楽しい。レゲエ調で始まりながらもキュートにポップに展開し、夏フェスのステージが目に浮かぶような「マーメイド」も聴きどころ。
「『マーメイド』のようなレゲエ調の曲は今までなかったので、ラップの部分は荒々しく低めの声にしたり、そこ以外はポップな声で表現したりと、声の使い分けは意識しました。バンドがたくさん出演するフェスでも、水曜日のカンパネラのステージに立つのは私ひとり。ちょっとアウェイなときも、自分たちの曲を聴いたことがない人たちの心をどう掴むかという挑戦が楽しいです」
一方、ワンマンライブでは大人はもちろん小さい子たちからも歓声が。詩羽さんは全身でメッセージを放つ。
「ライブには小学生もたくさん来てくれますし、私のメイクや髪型を真似してくれる子たちも。中高生になれば流行りを気にしたり、『可愛い』の定義が生まれてしまうけれど、ファンの子たちが自分の『可愛い』を大切にしていることが良いことだと思う。なのでこれからも自分のことを大事にして、自分を愛していこうねって伝えていきたいです」
3rd EP『POP DELIVERY』。TVアニメ『ラーメン赤猫』(TBS系)の主題歌「赤猫」など全8曲を収録。CD¥2,500(ワーナーミュージック・ジャパン)
すいようびのカンパネラ 2013年からコムアイを主演歌唱とするユニットとして始動。’21年にコムアイが脱退、2代目として詩羽が加入し新体制での活動がスタート。’22年2月にリリースした「エジソン」がバイラルヒットした。
※『anan』2024年6月19日号より。写真・岡﨑果歩 インタビュー、文・上野三樹
(by anan編集部)