辞書を引き、いろいろな形容詞をインプットして。
この間、「雰囲気が柔らかい方ね。でも、意思は固いのね」と、“硬さ”を表す言葉で褒めてくれた方がいたんです。最初は、そんな人がいるんだとびっくりしたものの、見た目ではなく、纏っている空気感みたいなものを評価された感じがして、すごく嬉しい気持ちになりました。それに、言われたほうが嫌な気持ちになることのない、失礼が一切ない表現だなと感心もし、私も人柄を褒める時に真似してみたいと思ったんです。「すごくいい人ですね」のようなフレーズと比べると、少し具体的な感じもしますよね。硬度に関する表現でいうと、お茶などの感想として「口当たりが柔らかい」と言うこともあるし、エステを受けた時の「肌が柔らかくなっていますね」とか、美容院で言われる「頭皮が柔らかいですね」もポジティブな意味合いです。また、「ソフトな」「ハードな」という言い方もできますよね。硬度のほかにも、人や場の空気感を表す言葉はたくさんあって。たとえば、劇場で全然ウケなかった時は、芸人同士で「今日はしっとりしたお客さんだね」と、湿度で表すことも。そういう表現は、相手を傷つけないだけでなく、文学的な感じがするし、奥行きも出ます。ほかにもいろいろな表現を考えてみたりもしたのですが、日本語って本当に面白いなと思いました。
空気感をいろいろな言葉で表すためには、言葉を知ることがポイントに。まずは辞書を引いてみて、いろいろな形容詞をインプットすると、普段使える褒め言葉のバリエーションを増やせると思います。また、たとえば「柔らかい」「硬い」など自分がよく使う形容詞を辞書で調べて、多様な意味を学ぶことで、よりいろいろな場面で使うこともできるようになりそう。言葉と向き合ってみましょう!
よこさわ・なつこ 芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。
※『anan』2024年5月22日号より。写真・中島慶子 イラスト・別府麻衣 文・重信 綾
(by anan編集部)