一般にマルチプレイヤーとは複数の楽器を演奏できる音楽家のことですが、そこから転じて、複数の役割をこなせる人のこともマルチプレイヤーと呼ぶと思います。芸能の世界でも、マルチに活躍されている方が多いですよね。俳優さんや芸人さんが歌を歌って音楽活動をしているだけなら昔からあることですが、最近では本格的にバンドを組んで、楽器の演奏や作詞・作曲などをとても見事に手がけている方もいらっしゃいます。そうやって、お芝居の世界も、お笑いの世界も、音楽の世界もシームレスで自由に行き来ができることは本当に素晴らしいことだと思います。僕自身も、ミュージシャンでありながら、お芝居の仕事をさせていただいたり、バラエティ番組に出演させていただくことがありますが、どの現場でも温かく迎え入れてもらえるのはありがたいことだなと思っています。いろんな人が、いろんな場所で自分の才能を存分に発揮できる世の中は、芸能の世界に限らずそうあるべきだと思います。
学生の部活だって、野球部に入ったら野球だけとか縛らないでいいんじゃないか、と僕は思うんです。スポーツが得意な子は多分、どのスポーツだって得意。野球部と陸上部とバスケットボール部を掛け持ちしたっていい。いろんなことにチャレンジしてみて、その中でもこれがもっともやりたい、得意だなというのを見つければいい。大谷翔平選手だって二刀流で注目を集めました。どれか1つだけになんて絞らなくていい、できることはなんでもチャレンジしたほうが個性が伸びるというのは、新しい時代のひとつの価値観だと思います。
それに、やってみないと自分に向いているか向いていないかなんてわからないです。僕も以前、とあるフェス会場のバックステージにダーツの機械が置いてあって試しに投げてみたら、めっちゃダーツがうまかった。その後、関ジャニ∞の丸山隆平さんにダーツバーに連れていってもらったのですが、その時もやっぱりすごく高得点をあげることができた。自分でまったく気づいてなかったですが、ダーツの才能が僕の中に眠っていました。いろんなことに挑戦していれば、自分にはこれが向いているという“なにか”に、いずれ出合えると思います。それがたくさん見つかれば、マルチプレイヤーになることだって夢じゃないと思います。
おかざきたいいく コンセプト・アルバム『OT WORKS III』とアナログ盤12インチシングル『サブマリン』が発売中。全国17都道府県19公演のライブハウスを巡る「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」(12/23まで)がスタート!
※『anan』2023年10月25日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND) 文・梅原加奈
(by anan編集部)