ブレイキンの世界選手権がこの週末、ベルギーで開催される。「スポーツ競技としてのブレイキンは2018年のユースオリンピックから始まったばかりですが、来年のパリ五輪の正式競技になったこともあって認知度が上がり、今回の世界選手権でもパリ五輪出場者の内定が出るので、注目が集まっています」と話すのは日本ダンススポーツ連盟ブレイクダンス部本部長の石川勝之さん。

パリ五輪を見据えた白熱バトル。トップを争うB‐girlの2人に注目!

日本勢は男女2名ずつが出場予定だが、特に女性ダンサー(B‐girl)に注目したい。「国内には世界で活躍できる才能のあるB‐girlが多くいますが、今の2トップは間違いなくこの2人」(石川さん)という、AmiとAyumiだ。

「ブレイキンは通常、トップロック(導入部のダンス)、フットワーク(地面に手をついての足さばきやステップ)、パワームーブ(背中や頭など体の様々な部分を用いた回転技)、フリーズ(音に合わせて動きを止める)の4要素で構成されます。Amiの特徴はその4つのレベルが平均して高いこと。特に男子顔負けのパワームーブをいとも簡単に入れてくるところは圧巻です。一方のAyumiの強みは、技と技を繋ぐ「トランジション」へのこだわりと、「ボキャブラリー(動きの種類)」の多さ。ブレイキンでは同じ技を2回使うことはNGなのですが、彼女はとにかく手数が飛び抜けていて、一つのムーブの中にこれでもか、と細かな動きを入れてくる。フットワークからフリーズへの流れなど切れ目なく踊る様子は、ただただすごい」

採点競技だが、ジャッジは相対評価で行われる。ダンサーは1対1でフロアに上がり、音楽に合わせて踊りを披露する。ちなみにDJの選曲は事前にわからないため、完全に即興。1ラウンドごとに審判が判定し、2~3ラウンド行ったトータルの勝ち数で勝敗が決まる。音楽に合わせた激しいムーブについ目が行きがちだが、「審判は、何の技を使ったか、ではなく、どういう流れの中で使うかを重視している」と石川さん。

「絵画に例えるなら、ゴッホとピカソを比べ、タッチが全く異なるのに採点するような競技。選手自身もどちらかというとスポーツマンよりアーティストという意識が高い。そういう意味では踊りを観るときは絵のタッチの違いを楽しむように、この人ってこういう踊り方をするんだな、と注目してみてほしいですね」

Entame

B‐girl Ami(湯浅亜実)
1998年生まれ。小学生の頃からブレイキンを始める。2019年の第1回大会に続き昨年の世界選手権で優勝するなど、Ayumiと共にトップを争う。「オリジナリティもあり、男性にも勝つほどパワフル」(石川さん)

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B‐girl Ayumi(福島あゆみ)
1983年生まれ。カナダ留学中にダンスを始めワールドワイドに活躍する先駆者。今年、全日本ブレイキン選手権を2連覇。「時間があれば宿舎の部屋で練習していたりと、地道な努力家。感心しています」(石川さん)

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ブレイキン世界選手権 9月23~24日、ベルギー・ルーヴェンで開催。

石川勝之さん 日本オリンピック委員会ブレイキンの専任コーチングディレクターとして選手をサポート。B‐Boy「KATSU ONE」としての顔も持つ。「海外では中国のB‐girl 671、リトアニアのB‐girl Nickaの2人が要チェック」

※『anan』2023年9月27日号より。写真・アフロ AP/アフロ

(by anan編集部)

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