歴史と伝統の芝テニスの季節到来! 群雄割拠の戦いを制するのは誰だ?
昨年はウクライナ侵攻問題で様々な制約を受けた大会となったが、今年はロシアとベラルーシの選手の出場が許可され、ランキングポイントも復活する。通常の大会に戻り、熱戦が期待される。
先日の全仏オープンで大きく話題となったのが、車いすテニスの小田凱人(ときと)だ。わずか17歳1か月で男子シングルス全仏オープン史上最年少優勝。さらに最年少で世界ランキング1位に立った。今年引退を発表した国枝慎吾のプレーに刺激を受けて車いすテニスを始めた新星が瞬く間に絶対王者への階段を駆け上がっている。芝の経験はほとんどないが、ウィンブルドンでも初優勝して、小田王朝到来への足掛かりとするのか。
男子シングルスの主役はジョコビッチだ。全豪、全仏オープンで連勝し、年間グランドスラムも視野に入れている。レジェンドのフェデラーが引退、ナダルが来年の引退表明をする中、この男は一人元気にコートを駆け回っている。以前ほどの支配力はなくなってきたが、重要な大会で取り切る力は健在だ。特にウィンブルドンでは、フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレーの4人が2003年から19大会連続でタイトルを手にしており、まさに「聖域」となっている。目立った対抗馬は不在だが、昨年史上最年少で世界1位になった20歳のアルカラスをはじめとして、若手世代が総出でジョコビッチを止めにいく展開か。それでも、優勝に向けてジョコビッチの視界は良好だろう。
女子は全仏を制して勢いに乗るシフォンテクがここも優勝して女王宣言となるか。ハード、クレーでの成績は申し分ないが、芝はまだ勝ち切れずに課題となっている。過去のウィンブルドンではベスト8の経験すらない。連覇を狙うリバキナは今シーズン大躍進。年間1位も見える位置でこの大会を迎えており、飛躍のきっかけとなったウィンブルドンで再び躍動できるか期待が集まる。他にも有力な選手が数多くひしめいており、混戦が予想される。
また、全仏女子ダブルスでの失格騒動の後に混合ダブルスで優勝した加藤未唯(みゆ)にも注目したい。初のグランドスラム獲得で自信をつけて次は女子ダブルスでも結果を残せるか。
小田凱人選手
9歳で骨肉腫を発症し左脚の自由を失う。パラ五輪の国枝慎吾のプレーを見て車いすテニスを志し、わずか7年で世界の頂点に立つ。
ノバク・ジョコビッチ選手
全仏の優勝でグランドスラム通算23勝は単独最多記録に。ウィンブルドンでも優勝して、センターコートの芝を食べることになるのか。
エレナ・リバキナ選手
今シーズン絶好調で、ランキングを20近く上げ3位へ。芝コートに合った高速サーブや高速ショットを武器に連覇を狙う。
イガ・シフォンテク選手
現女子シングルス世界1位。全仏ではけがを乗り越えて連覇。攻撃的なプレーが持ち味で、今年こそ芝コートにフィットできるか。
ウィンブルドン選手権2023 日程/7月3日(月)~16日(日) 会場/イギリス・ロンドン「オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケ・クラブ」 NHK総合、WOWOWで放送予定。
※『anan』2023年7月5日号より。写真・Getty Images SportsPressJP/アフロ 文・今田望未
(by anan編集部)