いま再注目を集める、新世代ジャズ入門。
ここ最近また注目度が高まっているジャズだが、他ジャンルの要素も加わり、新しい形になっている、と音楽評論家の柳樂光隆さんは話す。
「ジャズは、20世紀初めにアフリカ系アメリカ人が作った音楽ですが、アフリカの音楽とヨーロッパのクラシック音楽、カリブ海の音楽などが混ざり合いながら生まれたもの。つまり元々いろいろなものの足し算でできた音楽で、その後もいろんなジャンルと融合し続けてきました。古い形も残しつつ、ずっと形は変わっているので、実はこれが正解というものはないんです」
使用楽器、グループ編成など実に幅広いが、題材も自由。
「他ジャンルでも見られる流れですが、最近はセルフケアなどをテーマにした曲が増加。初心者の方も自分好みのご自愛ソングがきっと見つかるはず」
今回は柳樂さんが注目するジャズアーティスト7組と、ご自愛におすすめの楽曲をご紹介!
石若 駿
他ジャンルとも軽やかに融合。日本が誇る、トップドラマー。
1992年生まれのジャズドラマー。くるりや星野源などポップスのアーティストとの共演も多い。「演奏技術はもちろん、無邪気な人柄も魅力的。ジャンルが異なっても面白い人がいたらすぐに連絡して、一緒に音を出す。石若くんさえ追っていたら、今の面白い音に出合えるはず」
写真・山路ゆか
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「You」
ブランディー・ヤンガー
ハープの音色が独自に進化。唯一無二のサウンドを奏でる。
NY生まれのハーピスト。R&Bやロックなどが融合したオリジナリティ溢れる音色で、注目を集める。「今引っ張りだこのアーティストで、ハープのエレガントな音色にとにかく癒されます。そこに強すぎないヒップホップっぽいビートが組み合わさり、さらに落ち着きます」
写真・Mike Lawrence/Getty Images
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「Brand New Life」
エズラ・コレクティヴ
陽気な音に、楽しく踊れる! UKジャズの注目の5人組。
UKジャズ・シーンを牽引する、5人組バンド。「最近注目を集めているUKジャズは、パーティミュージックのような楽しいサウンドが特徴。その盛り上がりを担うバンドの一つで、先日の来日公演も大盛況。アフロビートの躍動感もあり、ハイテンションなサウンドが最高!」
写真・C Brandon/Getty Images
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「No Confusion」
サマラ・ジョイ
圧倒的な歌唱力を武器に、王道ジャズを歌い上げる。
第65回グラミー賞で「最優秀新人賞」を獲得した、正統派ボーカリスト。「高い歌唱力で、驚くほど速いテンポの曲も歌いこなす。最新アルバムのタイトル曲『Linger Awhile』は、出かけるときにぴったり。TikTokで披露しているアーティストのモノマネもチャーミング!」
写真・Rich Polk/Getty Images
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「Linger Awhile」
ドミ&JD・ベック
日本のゲーム音楽もルーツ。高い技術とセンスの持ち主。
キーボードのドミとドラマーのJD・ベックの2人組。彼らの超絶技巧は、界隈でもすぐさま話題に。「ヒップホップやゲーム音楽も好きなふたりで、その要素を音楽にも取り入れています。最新アルバムは元気いっぱい! 全体的にポップなので、聴いていて楽しい気分になれます」
写真・Emma McIntyre/Getty Images
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「NOT TIGHT」
サシャル・ヴァサンダーニ&ローマン・コラン
真夜中に聴いても心地よい。静かで優しいハーモニー。
シカゴ出身のボーカリストとフランス生まれのピアニストのユニット。2021年発売の1stアルバムが話題に。「コロナ禍の自粛期間中に作られた、静かで親密な音楽は、様々な人を癒しました。ビリー・アイリッシュやサイモン&ガーファンクルなど、カバーも多数」
写真・Dave Stapleton
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「I Love You」
ギャビ・アルトマン
ギターの弾き語りが心に響く。ノスタルジックなムード。
フランス出身のシンガー&ギタリスト。「ノラ・ジョーンズの『Don't Know Why』の作者がプロデュース。本人は’40~’50年代のジャズミュージックやボサノバも好きなので、ノスタルジックで少しオーガニックな雰囲気。フォーク要素があり、ジャズ初心者もおすすめ」
写真・Paul CHARBIT/Getty Images
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「I’ll Tell You Something」
なぎら・みつたか 音楽評論家。メディア出演も多数。21世紀以降のジャズをまとめた『Jazz The New Chapter』シリーズ(シンコー・ミュージック)を監修。
※『anan』2023年6月21日号より。
(by anan編集部)