パリオリンピックへとつながる世界トップチームとの熾烈な戦い。
パリ五輪の出場権を獲得するには2つのルートがある。一つは今年9~10月に開催されるパリ五輪予選で8チーム中2位以内に入ること。もしもそこで届かなかった場合は、来年6月の世界ランキングによって出場権を獲得できるかどうかが決まる。ネーションズリーグは、パリ五輪予選に向けてチームを作り上げるためにも、ランキングを上げるためにも、非常に重要な大会。世界トップの16チームが3週にわたって世界各地で予選ラウンドを戦い、上位8チームがファイナルラウンドに進む。日本代表は男女とも名古屋で、予選ラウンド第1週を戦う。
昨年、世界ランキングを11位から7位へと大幅にアップさせた男子日本代表は、さらなる躍進を狙う。その中心として期待されるのは、世界最高峰リーグであるイタリア・セリエAで存在感を放ったアウトサイドヒッターの2人、主将の石川祐希と21歳の髙橋藍だ。
石川にとっては、セリエAでプレーすることはもはや挑戦ではなく日常。参戦8年目となった22‐23シーズンは、ミラノの大黒柱として、プレーだけでなくリーダーシップも発揮し、強豪を倒してクラブ史上初の準決勝に進出する原動力となった。
髙橋は日本体育大学に在籍しながら、覚悟を持ってセリエA参戦を選び、レギュラーをつかんでフルシーズン活躍。持ち前の守備力に加え、高さのある相手に対する攻撃も磨いた。「特にイタリアで力をつけてきたスパイクやサーブを、日本代表でも発揮したい」と意気込む。
女子大会は、男子に先立って5月30日に開幕。日本はランキング6位からさらなる上位を目指す。そのために今年掲げるのはサーブ強化だ。
主将の古賀紗理那は「サーブでエースを取ったり、崩して、そこからのブロックとディフェンスで拾って速い展開で攻め返すというのが私たちの勝ちパターンになると思うので、そこを見てもらえたら」と語る。
勝ちパターンを確立し、来年メダルを獲得するために。パリ五輪に向けた戦いはもう始まっている。
龍神NIPPON(男子日本代表)
髙橋 藍(日本体育大学) 高い守備力を武器に19歳で東京五輪に出場。成長著しい21歳。攻撃力にも自信をつけた。
石川祐希(右)(パワーバレー・ミラノ) 海外で実績を重ね、目標とする“世界トッププレーヤー”に着実に近づく頼れるエース。
西田有志(左)(ジェイテクトSTINGS) 躍動感あふれるスパイク、サーブが魅力の点取り屋。豪快に奪うサービスエースに注目。
火の鳥NIPPON(女子日本代表)
石川真佑(日本バレーボール協会) Vリーグで日本人最多得点記録更新。今年は兄・祐希と揃っての五輪出場権獲得を目指す。
古賀紗理那(NECレッドロケッツ) 今年のVリーグでNECを優勝に導きMVPを獲得。昨年末に男子代表の西田との結婚を発表。
関 菜々巳(東レアローズ) 昨年の世界選手権で正セッターとしてベスト8入りに貢献。日本の高速コンビバレーの要。
【バレーボール ネーションズリーグ2023】
<男子日程>
第1週 6/6~6/11 名古屋
第2週 6/20~6/25 フランス
第3週 7/4~7/9 フィリピン
ファイナルラウンド 7/19~7/23 ポーランド
<女子日程>
第1週 開催中~6/4 名古屋
第2週 6/13~6/18 ブラジル
第3週 6/27~7/2 タイ
ファイナルラウンド 7/12~7/16 アメリカ
男女とも日本戦全試合、BS‐TBSで放送。
※『anan』2023年6月7日号より。写真・アフロスポーツ Getty Images 取材、文・米虫紀子
(by anan編集部)